日本酒、味噌、醤油、漬物等の製造や日本料理店、温泉旅館などに欠かせない桶(おけ)・樽(たる)。日本の伝統的な木製品でありながら、最近は金属やプラスティック等の素材に代替され、その需要は落ち込んでいます。
そこで、桶・樽に今一度光をあて、異業種連携による質の高い木の文化の復活をめざそうと、桶・樽産地である木曽地域において二月六日(木)、桶・樽サミットが開催されました
この行事は、木曽地域の林業関係者で構成される「森林と緑をはぐくむ集い実行委員会」が主催。「集い」の一環としてサミットが開催され、県と中部森林管理局の共催のもと、岐阜県や林業関係団体、醸造・食品・観光関係等異業種の団体が協賛する広がりのあるイベントとなりました。会場の木曽文化公園文化ホールには、県内外の産官学、様々な立場の皆さん450人が集い、桶・樽に代表される本物の「木の文化」の再構築に向けた様々な取組の話題に耳を傾けました。
事例発表では、桶・樽の製造と利用それぞれの立場で4名の方から報告がありました。製造の立場では、志水木材産業㈱(南木曽町)の稲葉直士さんから木曽の木材を活かした桶樽製造の取組、日本木槽木管㈱(横浜市)の平川政治さんから大型木製受水槽の製造に関する取組の発表がありました。
また、利用の立場からは、山みず季URARAつたや(木曽町)の池田操子さんから旅館の風呂に木曽の木材を活用している取組を、桶仕込み保存会(長野市)のセーラ・マリ・カミングスさんから全国の蔵元や食品会社に呼びかけて桶仕込みの復活を試みる活動の発表がありました。
日本木槽木管㈱の大型貯水槽
トークセッションでは、中部森林管理局の鈴木信哉局長がコーディネーターを務め、五名の製造者や利用者と共に、新たな需要の開拓や相互の連携、技の伝承などについて語り合いました。
木を使うことの優位性や伝統にこだわらない日本人のメンタリティの問題にも話が及び、木曽の職人魂の生の声に会場が沸く場面もありました。
コーディネーターの鈴木信哉中部森林管理局長
「木桶の風呂は宿泊客からも好評」と語る「つたや」女将の池田操子さん
「桶職人の技の伝承を」と語るNPO法人桶仕込み保存会のセーラ・マリ・カミングスさん
「大型の貯水槽や味噌桶等を地域材で作れる」と語る日本木槽木管㈱の平川政治さん
「長年生きてきた木に失礼のないモノづくり」職人魂を語る㈱桶数の伊藤今朝雄さん
「木桶の方が漬物の味が良い」と語る「みたけグルメ工房」の西尾礼子さん
サミットの締めくくりに、木の文化を再構築できるようネットワークを強化して、木のある暮らしを再生していくことを宣言する「桶・樽復活宣言」を、つたやの池田操子さんが読み上げ、満場の拍手で参加者全員の総意として採択され、サミットは終了しました。
ステージを飾る桶等の木工品
会場入口では様々な木工品の展示販売も行われました。
和食が世界無形文化遺産に登録された今、今回のサミットを機会に桶・樽の作り手と使い手が連携し、日本の伝統的な「木の文化」の復活に向けて具体的に何をしていくべきか、さらに新たな動きが始まることが期待されます。
※コーディネーターを務めた中部森林管理局の鈴木局長の思いが、同局のホームページに掲載されています。
http://www.rinya.maff.go.jp/chubu/koho/koho_si/pdf/1401-moku-siri-zu.pdf
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