2023.11.12 [ 総務管理課 ]
秋の夜長と野麦峠
秋の夜長、冷んやりした空気に包まれた静かなひとときはなんとなく寂寥感が漂います。
そんな心細さを埋めるため私は今、スマホ片手に読書を始めました。
きっかけは残暑厳しい9月中旬、松本から岐阜、富山へと移動した時の事です。
野麦峠の文字を横目に、ふと、昔母と一緒に映画館で観たある映画が頭に浮かびました。
タイトルは「あゝ野麦峠」。
当時、主人公とほぼ同じ年齢だった私は、ある地方都市在住でした。
舞台となった場所が日本のどこにあるのかもよく知らないまま、映画の映像とストーリーに心を打たれ、涙がこぼれた思い出があります。
「そうだ、いつか原作を読んでみようって思ってた」
即Kindleで電子書籍を購入。
長野県民になって、より身近にこのノンフィクション小説を読める機会が来るなんて、人生のタイミングにとても感謝しています。
そして、子供の頃感じた哀しい映画の息苦しさから原作を読む事をなんとなく避けてきたことにも、今更ですが気づきました。
年齢を重ねて実際に読み進めると歴史や時代背景と共に、映画とは少し違った印象を受けます。
多くの元女工達の証言を元にした記録作品となっていて、過酷さはもちろんなのですが、そんな現実の中にも辛く哀しいだけではなかった当時の様子が淡々と伝わってくるのです。
読みながらまるで、子供だった自分に読み聞かせをするような感覚。
人生を振り返り、更に100年以上昔の主人公へ思いを馳せる秋の夜長。
少しずつ心ゆくまで、想像力たくましく読書の秋を過ごしています。
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