楽園信州

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<VOL.245>I♥信州(あいラブしんしゅう)

I♥信州(あいラブしんしゅう)
エンジニアからオーガニックファーマーへ
~わたしが育てる、あなたの野菜~(2)

「I♥信州」は、長野県外から信州へ移住された方に、移住のきっかけや信州での暮らしの様子をお伺いし、長野県の魅力をさらに伝えていこうというコーナーです。
第18回目のI♥信州は、1999年に京都府から上伊那郡辰野町に移住された志野勝英さんにお話をお聞きしました。
前編では、志野さんが辰野町に移住されるまでの経緯をご紹介しましたが、後編では志野さんの農場「オーガニックファーム「やじろべえ」」の取り組みなどをご紹介します。
◆前編はこちら


<生産者と消費者、お互いの“顔”が見えるお付き合い>

1999年に辰野町に移住された志野さん。
移住前からの夢であった有機農業家として約15年、「オーガニックファーム「やじろべえ」」を運営されています。
農業それ自体が環境に何らかの負荷を与える宿命を持っています。
何十年、何百年の時を経て生き続けてきた土地の自然環境と農業とのバランスを取りながら進めていきたいとの願いを込め、自身の農場に「やじろべえ」と名付けました。

志野さんがまず初めに育てた野菜は「ラディッシュ」。
収穫が早いこの野菜は、収入源を確保するためにも最適なものでした。
しかし、もちろんそれだけで生活が成り立つわけではなく、様々な野菜栽培を続けながら、販路も拓いていく…会社員時代とは別次元の難しさを味わいました。

志野さん:「サラリーマンは卒業。脱サラじゃなくて卒サラだといって百姓を始めたのですが、初めのうちは売り先を探しながら野菜を作って…と、とにかく必死でしたね。表面的にはなんとかなるさという感じで構えていましたけど。

有機農業を始めるにあたっては、流通ではなくて個人向けに宅配することをメインにしたかったので、京都の知人や妻の友人、あとは松本や塩尻で環境関係の講演【環境に関心のある方々が来られるでしょうし】に参加して発言したりして、宣伝していました。」

こうして地道に宣伝を続けることで、グループでまとめて購買してくれる消費者や、レストランへの販売など徐々に販路を拡大していった志野さん。
食材のプロであるレストランから、自分で作った野菜に対する評価をきっちりとしてもらえたことで自信にも繋がっていきました。

志野さん:「消費者の方に美味しいと言ってもらえることがもちろん一番嬉しいのですが、レストランからは野菜の特長を活かしたいろんな食べ方・調理の仕方を教えてもらえることもあって僕自身勉強になります。」

志野さん:「“生産者の顔が見える”って良く言うじゃないですか。消費者からしたら“生産者”の顔が見えるけど、生産者からしたら“消費者”の顔って見えないんですよ。
消費者の方がどう考えていてくれるかということが、生産者にとって一番の励みであり力でもあるのに、消費者の方の思いがフィードバックされない。個人向けにやっていきたいと思ったのは、そこなんですよね。お互いに“顔”が見える方法でやりたかったんです。」

消費者と生産者が結びつく農業が、志野さんの理念とする農業。
単に安心・安全というだけではなく、自分たち自身が口に入れたくないような作り方で作ったものは、お客様に出せないという強い信念を持っています。
一年目は三反だった畑も、二年目で五反、三年目で一丁と広げ、現在は志野さんと奥様でちょうど目が届く範囲の七反ほどに落ち着き、育てる野菜も今では60種類以上に増えました

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