みなさんこんにちは 商工観光課のNです。
先日、「思わぬ掘り出し物に出会えるかも!? 第53回木曽漆器祭・奈良井宿場祭が開催されます!」ということでお祭りの紹介をさせてもらいましたが、なんと今回、お祭りの実行委員長である石本さんにお話しを伺い、お祭りの見どころや3年ぶりの開催に対する想いなどをお聞きすることができました。
(今回お話を伺った石本則男さん。普段は同じく職人である奥さんと夫婦で工房を営んでいる。第53回木曽漆器祭・奈良井宿場祭の実行委員長のほかにも、木曽漆器工業協同組合理事長や塩尻商工会議所漆器部部会長を務められている。やさしい語り口の中に、お祭りや漆器を未来へ繋いでいくための強い想いを感じた。)
―今回で第53回目の開催となる木曽漆器祭・奈良井宿場祭。まずはどのようなお祭りなのか教えてください。今回が第53回ということは、1970年ころから始まったお祭りなのでしょうか。
1968年(昭和43年)ころに、当時の若い人たちの漆器に対する熱い気持ちがあって、祭りをやろうというところから始まったということです。
まず最初に木曽平沢で木曽漆器祭が始まり、その後奈良井も参加して宿場祭という形で参加していまの形になったような形です。その中で奈良井ではお茶壺道中をやるようになりました。(現在は奈良井・木曽平沢・贄川の3地区で開催)
ただ、今年についてはコロナの影響もあってお茶壺道中は中止ということで、全体的に安心・安全ということを意識しながら開催するという形になっています。
―もっと木曽漆器を盛り上げていこう、アピールしていこうという気持ちが当時の若い人たちにあって、それを形にいうことで始まったお祭りなんですね。
そうなんです。このお祭りは漆器を通して作り手と使い手が触れ合うことを楽しめるお祭りということでやっています。作り手と使い手、あるいは住民が触れ合う中で、漆器そのものもそうですし、漆器の背景にある歴史やその流れを感じていただいたり、奈良井宿場祭の方でも、江戸時代から続く中山道の歴史や人々の営み、そういったものと触れ合えるお祭りだと思ってもらえばいいなと思っています。
この3日間は町のあちこちで漆器を展示していたり、職人さんたちもそこに居りますので、この機会に若い方を含めたいろんな方に来ていただき、漆器を知っていただいたり、職人さんやお店の人と話したり、触れ合っていただける、それができるということが一番いい点なんじゃないかと思いますね。
(記事を書くにあたり、塩尻市産業政策課にお願いしてご提供いただいた前回(2019年)開催時の写真。)
―普段は直接話したり触れ合う機会が少ない「作り手」の方と直接話すことができたり、それぞれの作り手さんの漆器に対する思いに触れることができるというのが1つの見どころなんですね。
そうですそうです。このお祭りが発展してきた理由っていうのに、人と人との繋がりを大事にしてきたってことがあると思います。木曽平沢はちょっと休んだりする場所があまりないし、公衆トイレも数が多くない、そういうこともあって、当初お祭りが始まったころはお客さんに家のトイレを使ってもらおうだとか、家に寄って休んでもらおうっていうことでやっています。それをずっとそういうやり方でそれぞれのお店がお客さんにおもてなしをするなかで、人と人の触れ合いがあって、それをいいと思ってもらって栄えてきた。こういうお祭りだと思うんですね。
ただこういうことがコロナで非常に難しくなっている。コロナの対策をしながら気をつけてやっていく必要があるなかで、今までやってきたお祭りとはやり方を変えてということを考えています。
―コロナが流行するなかで、お祭り自体のあり方ということも変えながらやっていこうということですね。
今回お祭りをやるにあたって、一番は安心・安全なお祭りということで考えています。コロナ対策というものを自分たちとしてもしっかりとやっていくなかで、お客さんにも安心して来ていただけるよう、今できる精一杯のおもてなしをしたいと思っています。
今のこの状態の中でお祭りをやるということで、お祭りにきていただく方にご不便をおかけする点もあるかとは思いますが、今できるおもてなしで、精一杯お迎えしたいということを思っております。
―新型コロナウイルスの影響で2020年、21年とお祭りが中止になり、今回3年ぶりの開催になるかと思います。最後に、3年ぶりの開催に対する思いをお願いします。
待ちに待ったというかね、世の中が急激に変わっていく中で私たちとしても戸惑ったところはあったんですけれども、この時代にあった新しいものをということで、今回で53回目を迎えますが、1回目に戻ったような新たな気持ちでおります。コロナの中でも安心・安全な、新しい祭りを構築していくスタートだ、新しい時代の始まりだという気持ちをもって、今できる精一杯の安心安全をもって、皆さんに楽しんでいただけるお祭りをと考えております。
また、環境の保全や環境への影響が問題になるなかで、漆器というのは再生可能であったり、究極のエコであったり、人に優しかったり、環境に優しい、そういう特徴があります。そういうところをこれからの時代を生きていく若い方たちにもぜひ来てもらって見ていただきたい。若い人が生きていく中で、環境問題も含めた中で漆器を使うことによる貢献というものもあると思うので、まずは漆器というものがあるんだということを知っていただきたいと思っています。
このお祭りは毎年3万人前後の方に来ていただいておりました。この2年間は開催できなったということで、我々としても待ちに待って、やりたくてもやれなかったなかで、非常に大きい空白期間だったと思っています。元のお客さんが戻ってきてくれるのか、また新しい人が来てくれるのかということ含めて心配はありますけど、ただもう、昭和43年の第1回目のときの気持ちで、新しいお客さんを迎えるような気持ちで、本当に精一杯いまできるおもてなしで、とにかく皆さんをお迎えしたいと思っています。
(同じく塩尻市産業政策課にお願いしてご提供いただいた前回開催時の写真。)
木曽谷は暖かい日差しとさわやかな風が吹く絶好のお出かけ日和が続いています。お祭りのにぎやかさに誘われて中山道の古い街並みを歩いてみれば、暖かいおもてなしの心とお気に入りの漆器にきっと出会えますよ。新型コロナウイルスの感染対策に気を付けながら、ぜひお出かけしてみてくださいね!
※祭りの最新情報や駐車場情報等の詳細については公式HPをご覧ください。
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