2013.04.07 [ 自然・山・花 ]
「花に酒」愛おしむ頃【井月さんのこころ6】
井月さんのこころ シリーズ その6
伊那谷は残雪の山々に桜がよく似合います。咲き誇る桜の下で花見を楽しむ心は今も昔も変わりません。
4月1日、近年最速の開花宣言があった高遠城址公園の桜も見ごろを迎えようとしています。
「い~な上伊那」ブログのバナーにも使用させていただいている
「満開の桜と桜雲橋」(伊那市観光協会提供)
高遠さくら祭り2013 「開花情報」はこちらからご覧ください。 http://takato-inacity.jp/h25/archives/category/blom
さて、桜を詠んだ井月さんの句も数多くあります。
酒好きであった井月さんは、あちらこちらで花見の宴に紛れ込みながらお酒も楽しんでいたようです。
旅人の我も数なり花ざかり 井月
旅ごろも耻(はじ)つつ花の筵(むしろ)かな 井月
翌日(あす)しらぬ身の楽しみや花に酒 井月
春の日や小半酒(こなからざけ)も花心 井月
「小半酒」とは、一升の半分のまた半分、二合五勺のことだそうです。
現在では、天下第一との誉れ高い高遠城址の「タカトオコヒガンタカトザクラ」も明治の初期に植えられたものだそうですから、晩年の井月さんも高遠城址では若木の桜枝を眺めていたことでしょう。
以下、「翌日しらぬ身の楽しみや花に酒」の評釈について、井上井月研究者である竹入弘元氏の「井月の魅力 その俳句鑑賞」(ほおずき書籍)から引用させていただくと・・・、
花に酒が楽しみというのは誰しもだが、酒好きの井月は別格。そんな当然のせりふも「翌日しらぬ身」という自覚がわさびを利かせる。思えば人間誰しも明日の運命は分からない。頼るべき妻も子もなく、さらに老いを加えて、今の一瞬一瞬を愛おしむ井月である。
「翌日しらぬ日和を花の盛りかな 井月」もよい。桜も今の一刻を愛おしむ。
(花・春)
「タカトオコヒガンザクラ」の歴史を紐解けば、明治四年の廃藩置県の折、旧高遠藩士が地元にあった通称「桜の馬場」から移植したのが始まりとのこと。
以来、約140年。現在、公園内の桜は約1,500本を数え、奈良の吉野山、青森の弘前城とともに「桜の日本三大名所」に数えられるほどになりました。
桜の名所をめぐり伊那谷の名物を味わう おすすめ観光コースのご案内
http://www.pref.nagano.lg.jp/xtihou/kamiina/syoko/kanko/senryaku/kanjoho(model20120401).htm
高遠さくら祭りのリーフレット 伊那市創造館前の枝垂れ桜
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