2013.11.02 [ 自然・山・花 ]
菊花咲き競う頃【井月さんのこころ33】
井月さんのこころ シリーズ その33
春先から育ててきた菊が見頃を迎えました。
寒冷紗で覆っていますが、このところの冷え込みで花が少し霜焼けになりました。
かつては百鉢以上を育てたこともありますが、最近はなかなか時間が作れず、今年は盆養(大鉢)3鉢と福助(小鉢)8鉢のみ。作りやすい管物が中心です。
福助とはいっても、達磨(中鉢)に仕立てようと挿し芽しておいたものを鉢上げする暇がなくて、徒長し始めたので、あわててビーナインで成長を遅らせたので不出来です。
極力消毒をせずに作りましたので、いつの間にか青虫に葉や花を食べられてしまい、みすぼらしい枝や花もありますが、手を掛ければそれなりに応えてくれるので、出来が悪くても咲いてくれればご機嫌です。
写真: 菊(管物盆養) 赤:天女花絵 黄:泉郷汽笛 白:清見の春雨
井月さんにも菊を詠んだ句がたくさんあります。
霜除る菊や小庭のしき松葉 井月
写真: 井月句碑 「霜除る菊や小庭のしき松葉」(飯島町 聖徳寺)
菊咲や陶淵明が朝機嫌 井月
以下、この句の評釈について、井上井月研究者である竹入弘元氏の「井月の魅力 その俳句鑑賞」(ほおずき書籍)から引用させていただくと・・・、
陶淵明(三六五~四二七)は、中国東晋・宋の詩人。役人生活を嫌って県令を最後に「帰去来辞」を作って辞任し、帰郷した。酒と菊を愛し、自適の生活を送った。「菊を観る東籬の下、悠然として南山を見る」の詩、「桃花源記」などは日本でもよく知られ、古来愛された詩人。井月も当然尊敬していた。
菊の見事な朝。井月は思いやる。陶淵明もご機嫌だと。
(菊・秋)
陶淵明ならずとも、菊を愛でて酌み交わす酒は格別。特に、酒好きな井月さんには。
ほかにも・・・・・
鉢数にその色分てけふの菊 井月
一枝は肴代りや菊の花 井月
白菊や闇にかくれのなき酒屋 井月
以下、後者の句についても、竹入弘元氏の評釈を「井月の魅力 その俳句鑑賞」(ほおずき書籍)から引用させていただくと・・・、
白菊が夜闇の中に明らかに、目指して来た酒屋全体も浮かんで見える。白菊の本数も多く、今を盛りと咲いている。
「唐木亭にて」と前書きあり、伊那市上牧の酒造業唐木文左衛門、号春鶴、後号改め菊園は、菊を愛し、明治九年秋には風友を集めて、菊花の宴を開き、席上詠んだ句を冊子にした。序文を井月が書くなど親しく交際していた。
(菊・秋)
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