2014.09.27 [ 歴史・祭・暮らし ]
百舌鳥の子育てに 【井月さんのこころ79】
稲刈りも昔と違って、コンバインやバインダーなどの機械がやってくれるので、鎌を使って手刈りをすることはなくなりましたが、井月さんは、このように詠んでいます。
売に来る鋸鎌や百舌鳥の声 井月
この句の評釈について、井上井月研究者である竹入弘元氏の「井月の魅力 その俳句鑑賞」(ほおずき書籍)から引用させていただくと・・・、
農民相手の行商人は、時期に合わせて品物を揃える。稲刈りに先立ち、売りに来るぎざぎざの歯の鋸鎌。
昔は稲刈りが遅かった。今は種蒔き田植えが早く、胴割れ米にならないようにと早めに収穫するが、昔は遅くまで稔らせる方が籾が太ると考えて霜が下りるまで置いて刈った。木の梢で百舌鳥の声がけたたましい。秋も更けた。
(百舌鳥・秋)
この句の竹入弘元先生の評釈にもでてくる「ぎざぎざの歯」の鋸鎌には、子供の頃の苦い思い出があります。
調子に乗って「ザクッ!ザクッ!」と稲株を刈っていて、勢い余って足の脛を切ってしまったことがあります。普通の鎌と違って「ぎざぎざの歯」で切ると、その痛さと傷の治り難さは格別でしたね。
百舌鳥(もず)も毎年やって来て、隣家との間にある植木の中の巣で子育てをしています。
夏には、昆虫や蛙などを咥えてきて、雛に運びます。
たまに「たちっこ(立子)」が親鳥から逸れて地面に落ちていたりもしますが、近寄ると親鳥が喧しく鳴きたてて、牽制してきます。
この季節、雛は立派に巣立ち元気よく飛び回っています。
燕は既に南へ帰りましたが、百舌鳥もいずれ居なくなります。
旅立ちの気配漂ふ百舌鳥の声 青巒
更に遡って先週末は、京都へ旅してきました。
紅葉にはまだ早い古都を3日間かけて歩きましたが、渡月橋辺りにはまだ燕がたくさん飛び回っていました。
落柿舎にて「芭蕉翁・去来翁の句碑」建つ庭で梢を見上げて
柿の実や子育て仕舞う二人旅 青巒
五月雨や色紙へぎたる壁の跡 芭蕉 柿主や梢はちかきあらし山 去来
二日目は特別公開中の東寺などを拝観し、午後には京大芝蘭会館で脳科学者・茂木健一郎氏の講演をお聴きしました。
演題は「Creativity;the human brain and beyond?」
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