い~な 上伊那 2つのアルプスと天竜川からなる伊那谷の北部に位置し、雄大な自然に囲まれた上伊那地域。 この地域の自然、食、歴史や地域のがんばる人々など、私たち職員が見つけ、感じた上伊那の魅力と地域の活力を発信します。

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松茸香る頃【井月さんのこころ28】

井月さんのこころ シリーズ その28

 先週16日(月)敬老の日に上陸して全国に大きな被害を残した台風18号 (前回その27)でしたが、茸にとっては恵みの雨となったようです。
 一説によれば大風も松の幹を揺らして松茸の「シロ」を活性化させるのだとか。
 地元の茸などを取り扱う辰野町のお店に並んだ「松茸」を取材させていただきました。
 昨年、一昨年と2年不作が続いた「松茸」ですが、ここのところ量も増えてきているようで、今年はかなり期待が持てそうですね。

 写真:  松茸 つぼみ(上物)





 伊那谷の風物詩「すがれ(地蜂)の巣」も店頭に並んでいました。
 地元では不作で、ほとんど隣県から仕入れているものだそうです。中でも王台(親蜂の段)のびっしりと詰まった、ひときわ立派な巣がありましたので、これも写真を撮らせていただきました。
 写真: すがれ(地蜂)の巣  翌年の親蜂になる段の巣穴は働き蜂の段より一回り大きい



 子供の頃は、我が家ほか数軒で共同して松茸山の権利を買っており、主として大阪市場へ直接出荷していました。
 当時、昭和30年代から40年代はダンボール箱などがありませんでしたので、板を釘で打って木箱を作って荷造りしていました。また、蕨の葉を乾燥させて詰め物にしていました。
 学校が休みの日(当時は「農繁休日」というものもありましたね。)には山番やら蕨刈りなどの手伝い、豊作の年には予め作っておいた木箱が足りなくなり、夜なべ仕事の釘打ちの手伝いなどもさせられました。
 父は、刈った稲を掛ける「はぜ」だけを作って山へ行ってしまいましたから、三反歩余りの田圃の稲刈りとはぜ掛けは、毎年、祖母と母と私たち兄弟でやっていました。中学生になると「はぜ」も自分で作るようになりましたね。
 そんな子供の頃の懐かしい「松茸」の思い出ですが、井月さんの句にも上伊那特産の「松茸」があります。

 松茸や薪拾ひの狐福  井月

 以下、この句の評釈について、井上井月研究者である竹入弘元氏の「井月の魅力 その俳句鑑賞」(ほおずき書籍)から引用させていただくと・・・、

 薪拾いに行ってはしなくも松茸を見つけた。落葉に覆われて列をなしている。これは思いがけない幸運だ。秋の山へ行って薪を拾う。日の当たらない松の木の下枝などが枯れて自然に落ちている。
 わざわざ茸狩りに出かけても見つからない松茸。雑茸でもうれしいのに、松茸と来ればこんな幸福はない。狐福、思いがけない、信じられないような幸運。
 (松茸・秋)

 9月21日(土)は御嶽講の例祭がありました。小西城と呼ばれた山城跡に建つ「御嶽神社」の碑の後方にある松の木に掛け軸(仏画)を掲げ、幟を立て注連を張って、「修祓(祓詞)・祝詞(六根清浄の大祓)・献饌・玉串奉奠・般若心経」と、この神仏混交の神事は生前に父が務めていたものですが、近年は私が任せられるようになりました。
 碑の前の広場で「直会(なおらい)」。講員も減って、稲刈り時期とも重なり、参加者は10人ほど、話題はもっぱら「猪や猿による農作物の被害」についてでありました。

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