い~な 上伊那 2つのアルプスと天竜川からなる伊那谷の北部に位置し、雄大な自然に囲まれた上伊那地域。 この地域の自然、食、歴史や地域のがんばる人々など、私たち職員が見つけ、感じた上伊那の魅力と地域の活力を発信します。

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井月(せいげつ)さん二題(句集発刊と井月丼・おやき・そば)

 魅力発掘探検隊のIです。
 俳句にはとんと疎い私ですが、地元上伊那で大変有名な、漂泊の俳人 井月(せいげつ)さんこと井上 井月の句集(岩波文庫版)が発刊されると聞き、通り町商店街の小林書店さんを訪ねました。
 すると、書店のご主人、なぜか”おやき”の仕入れの最中。

「ご主人、おやきの販売もされてるんですか?」
「ああ、これは予約のあった分を取り次いでいるだけ。つくっているのは駒ヶ根の「水車(すいしゃ)」の宮沢さん。井月にちなんだ特産品をつくれとすすめているんだけれど、また良いものをつくってくれて・・・」
と、以下は店主の小林さんから伺ったお話。

 以前に、水車の宮沢社長さんが井月について知りたいと書店を訪れた際、ご主人、なにか井月にちなんだ名物をつくったら、と話をもちかけたとのこと。宮沢さんは小林さんや井月研究家の中井三好先生と相談、試行錯誤の上猪の肉にたどりつき、シシ肉を使った井月丼、井月そばを売り出したところ評判がよく、先月からは井月おやきの販売を始めたとのことです。
 なぜいのししの肉?井月さんは、四徳(現在の中川村四徳、三六災害で集団移転)を気に入ってよく訪れたそうなのですが、その集落は平家の落人伝説のある浦(伊那市長谷)が人が増えたため峠を越えて移り住んだとされる所で、都の教養を受け継ぐ村人たちが喜んで井月さんを迎え入れたこと、そして「薬喰(くすりぐい)」の句を七句詠んでいるように、井月さんが猪鍋が好物だったと思われること。そこから井月さんゆかりの食材として選んだとのことでした。
(※昔は殺生禁止の仏教の教えから、猪肉を食べるときは隠語で「山鯨(やまくじら)」「牡丹(ぼたん)」あるいは体に良いとされることから「薬喰(くすりぐい)」と言われた。)

  薬喰相客のぞく戸口かな  井月

 「それは面白いです!! 地方事務所のブログに載せていいですか?」


 小林書店の店頭に並ぶ井月関連の書籍の数々。

 「井月句集」(岩波文庫版) 10月中旬 待望の発刊!
 
 ちなみに小林さんは、井月全集を出版し井月を世に出した下島勲(空谷)(駒ヶ根市中沢出身)と縁戚にあるため、井月にはさらに力が入ります。
 (下島空谷は戦前東京で医者をしていましたが、当時の有名な文人達と交流があり、隣に住んでいた芥川龍之介はその縁で井月を知り、その句や書を絶賛しています。)
 また、小林さんは元岩波書店会長 小林勇さんの甥であり、ご尊父は伊那小学校校長や県教育委員を勤められた教育者と、教育文化のサラブレッドのような方です。

 小林さんの紹介で駒ヶ根駅前の「水車」社長 宮沢 宏治さんを訪ねました。
 5年前にいのしし肉の「井月丼」を売り出したが大変好評で、一年後には市内の”そば 福玄”と協力して「井月そば」を開発、こちらも売れている、今度は中沢おやきグループによる猪肉と野菜の入った「井月おやき」を開発して販売を始めたとのこと。
 猪肉は牛肉や豚肉と比べ低カロリー・高タンパクで、鉄分や不飽和脂肪酸やビタミンBを多く含みヘルシー、昔から”薬喰”の滋養効果も言われており、「北の一茶 南の井月」井月という地域の誇る文化とともに、山国伊那谷ならではの名物にしていきたい、との意気込み。
 課題は、猪肉が高価なため他の店になかなか勧めにくいことと、できれば地元の猪肉の供給を受け、季節限定でも提供できるようにしたい、とのお話でした。
 なにより、お店の経営でご多忙な中、井月の研究・普及の活動を精力的にされており、句碑めぐりツアーやセミナーを企画され、店の展示もカレンダーも携帯待受もすべて井月、と宮沢社長さんの井月への熱い想いをこめた活動のお話ぶりに圧倒!されました。
 宮沢社長さんのお好きな二句。
              
  立ちそこね帰り後れて行(ゆく)乙鳥(つばめ) 井月

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