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認知症予防で、信州から世界を幸せに。「ヘルコミラボ株式会社」(いいね!インタビュー⑩)

こんにちは。商工観光課のKです。
長野県では、昨年の9月に「信州ベンチャーコンテスト」を開催しました。このコンテストで起業部門のグランプリを受賞したのが、ヘルコミラボ株式会社中出 敬介(なかで けいすけ)さんです。
当日のプレゼンテーションは素晴らしかったですが、もっと時間があれば中出さんの熱い思いや会社のことを、じっくり聞けるのに・・・と思っていました。
そこで、ヘルコミラボ株式会社さんにお邪魔して、たくさんお話を聞いてきました!

代表の中出 敬介さん

代表の中出 敬介さん



-まずは、ヘルコミラボ株式会社について簡単に教えてください。

はい。弊社では、認知症の疑いの有無を検査するスクリーニングテストと、認知症を予防するための運動プログラムをご提供しています。創業したのは一昨年ですが、ありがたいことに、既にいくつかの自治体や民間企業様にご利用いただいています。

-認知症予防のための、検査と運動ですか。事業については、後ほどさらに詳しく聞かせてもらうとして、次は中出さんの経歴について教えてください。石川県のご出身だと聞いていますが…。

そうです。私は石川県金沢市で生まれました。小さい頃からスポーツ小僧で、サッカーや陸上に打ち込んでいましたね。

-どんなきっかけがあって、中出さんは長野に来ることになったのでしょうか。

私が高校生の頃、祖母が糖尿病と認知症を発症し、家族みんなが悲しく辛い思いをしました。そんな経験を通して、どうにかして認知症を予防することはできないかと思っていたとき、長野県の信州大学ではスポーツを通じて地域の人の健康づくりをサポートする研究をしていると聞いて、信州大学に進学することを決めました。

-おばあさんが認知症になって、それで信州大学で学ぶために、長野に来たのですね。

気付けばもう、人生の半分は長野県にいますね。信州大学教育学部・医学部大学院寺沢宏次教授の研究室で勉強やお手伝いをさせていただく中で、いくつかの市町村や海外の国で健康づくり事業に携わってきました。

-海外は、どんな国に行っていたのでしょうか?

タイやインドネシア、フィリピンに行きました。長野県は日本トップクラスの長寿県で、その中で実施している健康づくりについて、海外の研究者はとても関心を持っています。
そして、大学を卒業する頃には都内の民間企業へ就職が決まっていましたが、寺沢教授から「信州大学と共同研究を行っている箕輪町で健康づくり事業を立ち上げることになったので、参加してもらえないか」というお話を頂き、箕輪町役場で働くことになりました。町の職員として働く中で、実際の現場を経験させていただいたことは、自分にとって宝物です。

タイでの活動の様子

タイでの活動の様子



-では中出さんは、元公務員ということですね!自治体で働くときに、予算制約の面での苦労はありませんでしたか?

健康づくりでやりたい取組はたくさんありましたが、行政では健康福祉の他にも重要な事業があり、それらとの調整が必要なことも、時にはありました。その経験から、どうすれば実施者と参加者の双方で負担を少なくできるのかということを常に考えるようになりましたね。事業で優れた機械を作ったところで、使ってもらえなければ意味がありませんから。健康づくりを普及するためには、費用負担を軽くして、多くの人に参加していただこうという弊社のコンセプトはここから来ました。

-公務員として働いているうちに、起業しようという気持ちが中出さんの中で生まれたのでしょうか?

そうですね。箕輪町で約10年間働く中で、1人あたりの医療費を約15万円削減することができました。それらの成果も含め、厚生労働省が主導するスマートライフプロジェクトの「第3回 健康寿命をのばそう!Award」で優良賞を頂くことができて、非常にやりがいを感じていました。もちろん、そのまま箕輪町で働く選択肢もありました。けれど、認知症患者の数は待ったなしで増加しているのが現実です。この受賞をきっかけに、新たに健康事業を立ち上げる民間企業からお声掛けをいただき、転職して携わりました。この民間企業での健康事業に携わる中で、民間ならではの貴重な体験と学びを得ることができました。その企業からは在席のお引き止めをいただきましたが、これまでの経験を活かしてもっともっと多くの方の役に立てないかと思い、自分で会社を立ち上げることを決意しました
箕輪町の職員、町民の皆様、企業の皆様のおかげで今の自分があります。本当に感謝の思いで一杯です!

-昨年の「信州ベンチャーコンテスト」でも起業部門のグランプリ受賞おめでとうございました!

ありがとうございます。メチャクチャ緊張しました(笑)。でもコンテストに出場したことで、多くの方にたくさんのことを教わることができました。当日の出会いがきっかけで、とある経営者の方から「健康経営を進めており、さらに従業員の方々に健康になってほしいので、認知症スクリーニングテストをやってもらえませんか?」と、お仕事を頂くこともできました。

-そう言ってもらえると、県としても嬉しいですね~。

コンテストに出る準備をすることは、自分の事業をもう一度整理して、中身をまとめることにもなりました。そして、今後の事業の進め方等に関するアドバイスを先輩経営者の皆様から頂けたことは本当に有り難かったです。

-ぜひ今後も活用してもらえたらと思います。さて、先ほど高校時代のご家族のお話がありましたが、おばあさんが認知症になって、いちばん辛かったのはどんなことでしたか?

すごく辛かったのは、祖母本人の口から「早く死にたい」という言葉が出てくることですね。自身も健康を害して、自分が自分でなくなっていく感覚があったと思います。それでも祖母は症状が軽いほうで、もっと大変な状態になってしまう患者さんは世界にたくさんいます。認知症が社会的な事件につながってしまうこともありますし、この病気は、発症した本人だけでなく、支える家族もものすごく大変なんです。

-自分の家族がそんな言葉を言ったらと想像すると・・・辛いですね。認知症はいま、どれぐらいのペースで発症している病気なのですか?

世界規模でみると、3.2秒に1人のペースで認知症を発症していると言われています。

-すごいペースですね。

このままいくと、2030年には全世界の患者数が7,470万人にのぼる計算です。日本でも2025年に患者数と予備軍が1,300万人に達し、65歳以上人口の3人に1人が認知症になると予想されています。

-1,300万人ということは、日本人の10人に1人が認知症になるということですか。日本で認知症の患者数が多いのには理由があるのでしょうか?

長寿は良いことですが、寿命が延びればそれだけ認知症が発生する確率も上がります。日本で認知症患者数が多いのは、それが理由です。近年はアジアの国々でも平均寿命が延びて、認知症の発症が多くなっている傾向にあります。
認知症を予防するには、自分の認知機能の健康状態の変化を、いち早く発見することがとても重要です。発症する約25年前から予防の取り組みをしていくのが理想だと言われていますが、多くの方が、自分には関係ないと思って検査を受けていないのが現状です。若年性アルツハイマーの平均発症年齢は51.9歳ですから、実は20代の人にも決して他人事ではありません

-そんなに早くから予防をしていく必要があるのですね。驚きました。

世間でも、認知症は治療すれば完治する病気だと誤解されていることが多いですが、現在の医療では完治は不可能です。薬で進行を遅らせることはできますが、それも幻覚などの副作用があります。だからこそ、発症する前に予防することが最善の手段なのです。

-そのために、中出さんがやっているようなスクリーニングテストがあるのですね。

はい。ただ、従来の検診の受診料は1~2万円が相場でした。この値段だと、若い人は特に、受診しようとは思わないですよね。先ほども話しましたが、必要な検査をもっと安い値段で提供することで、多くの方に受診してもらえるようになるのではないかと私は考えました。

-そのスクリーニングテストについて教えてください。どんな検査をするのでしょうか?

弊社では、世界的に活用されている「前頭葉機能検査」という検査の手法を参考に、独自に検査機器を開発しました。集団での同時検査が短時間で可能になったので、例えば運転免許センターなどでもご利用いただけるようなテストになっています。

-どうやって、同時にテストを受けることが可能になったのですか?

従来は1対1の検診が主流でしたが、その検診でやっていたテストから「認知症の傾向があるかどうか」をチェックする部分をピックアップし、検査機器にそのプログラムを落とし込んだことで可能になりました。「GO/NO-GO検査」といいます。

-検査の説明を読むと、なんだか「脳トレ」のようですね。

まさにそんな感じです。現在は30名様まで同時に受診していただけます。これだけの大人数で同時に受診できるのは弊社のテスト以外にありませんから、そこが強みですね。

-では次に、「予防運動プログラム」についても教えてください。

認知症を予防するためには、もちろん普通に運動をしても効果はあるのですが、頭を使いながら体を動かすと効果がより大きくなるというデータがあります。脳から出る「運動をさせる指令」と「計算をさせる指令」、人間はどちらか1つの指令に反応することは得意ですが、2つの指令に同時に反応するのには慣れていません。そこで弊社の予防運動プログラムでは、映像を使用して、脳にアクセルとブレーキを交互にかけるような運動をしていただきます。「赤あげて、白あげて・・・」の旗あげゲームをイメージしてもらうと、わかりやすいと思います。

ヘルコミラボでは、楽しく身体を動かして認知症を予防する

ヘルコミラボでは、楽しく身体を動かして認知症を予防する



-なんだか楽しそうですね!

この運動には、認知機能や前頭葉機能の向上、脳血流がよくなることなどの効果があります。自動車と同じように、アクセルやブレーキのどちらかの機能でも壊れてしまうと、人間の脳にはトラブルが生じます。これは、それを防ぐための運動ですね。テレビさえあれば特別な機器は必要ありませんので、企業様の朝礼などにも取り入れていただけるような運動になっています。
最後に、これらの認知症スクリーニングテストと認知症予防運動プログラムに加えて、指導者養成をセットにして、フランチャイズにて、より多くの地域で取り組めるようにしてご提供しています。現在は県内の製造業や金融機関をはじめ、県外の病院でも取り入れられ、子どもからお年寄りまで多くの方の健康・幸せづくりに活用いただいています。
若い方にも本当に楽しみながらやってもらえると思うので、ぜひ長野県さんも、婚活イベントへの採用をご検討ください(笑)。

-婚活ですか(笑)。でも、会議や研修のアイスブレイクにはぴったりだと思います!利用された方の反応はいかがですか?

先日ご利用されたあるお客様は、軽度の認知症で悩んでいらっしゃいましたが、受講して生きる気力をもらった、とお手紙をくださいました。その方はご本人に変化があっただけでなく、ご家族も「おばあちゃん、明日ヘルコミだよー」と応援してくれるようになったそうです。それを聞いて、私も本当に嬉しかったです。

-それは嬉しいですね。

他にも、一緒に受講された方々で旅行に行ったりもしているみたいです。そういう人と人とのつながりがヘルコミラボをきっかけとして生まれてくれたのなら、こんなに嬉しいことはないです。これからも、さらに多くの方々と一緒に、楽しく認知症を予防していきたいと思います。「信州から世界中の笑顔に健康にする」ことを目指しています!

-インタビューの最後に、これから起業する方に向けて、中出さんからアドバイスをお願いします!

長野県は、日本一創業しやすい県を目指して多くのイベントを開催していますよね。先ほど話題に出ましたが、「信州ベンチャーコンテスト」のような他の創業者・経営者との出会いの場には、積極的に参加するべきだと思います。
起業するみなさんには、すべてを自分ひとりで何とかしようとせず、多くの仲間を見つけて、色々な方の力を借りて会社を立ち上げてほしいですね。

-中出さんも、世界中の人の認知症を予防するため、この信州を起点に頑張ってください!今日はありがとうございました!

お話の中にもあったように、実は石川県出身の中出さん。
それにもかかわらず、長野県に来て地域の人たちの認知症を予防するために頑張っている姿がとても素敵だと思います。そりゃ、応援したくなりますよね。
とにかく、まずは検診だけでもいいから受けてほしいということです。
健やかで幸せな未来のために、皆さんも中出さんと一緒に、認知症予防に取り組みましょう。

ヘルコミラボ株式会社
HPhttps://www.healcom-lab.co.jp
mail:nakade@healcom-lab.co.jp
〒380-0803 長野市三輪5-18-10ラテール城東A205

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