南信州お散歩日和 南信州は、広い長野県の南端に位置しています。やわらかい方言が使われ、人も土地柄も温かく穏やかな当地域には、 各所に温泉があり、賑やかなお祭りもたくさんあります。 この地域ならではの魅力を職員がお伝えしていきますので、 南信州にどうぞおいでなんしょ!

南信州お散歩日和

南信州は、広い長野県の南端に位置しています。やわらかい方言が使われ、人も土地柄も温かく穏やかな当地域には、 各所に温泉があり、賑やかなお祭りもたくさんあります。 この地域ならではの魅力を職員がお伝えしていきますので、 南信州にどうぞおいでなんしょ!

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ここに泰阜北中学校があったんだに!そして現在は…?

南信州農業農村支援センターのHです。

この石碑は、旧泰阜北中学校(西暦1993年閉校)に設置されています。

泰阜北中学校は、南北にあった中学校が統合されたため、閉校されました。
すぐ隣に併設されていた泰阜北小学校も、同じく統合により、西暦2010年に閉校されました。

そして現在、その小学校・中学校は「(株)ヌーベルファーム泰阜」に生まれ変わって、夏秋トマトと市田柿の生産が行われています。奥行30mのハウスが15棟、校庭だった場所に、ぎっしりと建てられています。

残念ながら、植物防疫の関係から、一般の方の立ち入りは制限されています。

6月、ちょうど収穫が始まりました。

主に大玉トマトを栽培していますが、このハウスは試験的に大玉以外のトマトも栽培しています。

ICT技術を活用した「低段密植ポット栽培」という方式でトマトを栽培しており、苗を植えるのではなく、苗のポットのまま栽培されています。
そしてセンサーが、各ポットの水分量や肥料濃度などを感知し、それぞれ最適なタイミングで水や肥料を自動で送ることで作業が省力化され、品質の揃ったトマトが収穫できるそうです。

 

この機械が、各ポットに適正な水分と養分を送ります。

また、「低段」とありますが、トマトの樹が小さいうち(樹勢が強いうち)に収穫を切り上げるので、病気の発生が少なく、減農薬で栽培することが可能です。
「ヌーベルファーム泰阜」は、農業で村を活性化させたいという「泰阜村」、農業を成長産業にを掲げ全国に販売網をもち農家支援に力を入れる「丸西産業株式会社(本社:飯田市)」、「地元農家」などの出資により、西暦2014年に設立されました。

横前村長は「ICT農業であれば、長年の経験やノウハウがない若い世代でも取組むことが可能。一つの就農モデルとして、泰阜村から発信して行きたい」と語ってくださいました。

栽培リーダーの三島さんは愛知県からIターンしてきました。
「農業をすること」が、三島さんの子供のころからの夢だったそうです。

「ここでのトマト栽培はハイテク過ぎて、自分がイメージしていた農業とは少し違い、戸惑いもありますが『農業は1日として同じ日はないので(天気や生育ステージが違う)、毎日が新鮮で、驚き・楽しみ・真剣勝負』です」と、やりがいを語ってくださいました。
また、「この低段密植栽培は根域や株間が狭く、トマトたちはストレスを感じています。一本一本のトマトに愛情を注ぎ、『このトマトが人間だったら、今どんなふうに感じているんだろう?どんなふうにしてほしいんだろう?』とトマトの気持ちになって考えるようにしています。」、
「泰阜村の気候を生かし、美味しいトマトを、安定的に出荷したいです。今、栽培している『りんか』という品種は、果肉がしっかりしていて、トマトらしい酸味が感じられる『味が濃い』トマトです。この品種を店頭で見かけたら、ぜひお試しください。」とおっしゃっていました。

従業員も若者が中心です。柿園での集合写真。みんな笑顔!

お店には、一年中トマトがあるのが当たり前になっていますが、トマトの旬は今です。

ヌーベルファーム泰阜で栽培されたトマトは、大手外食チェーンなどを中心に出荷されており、身近なところでは、コンビニエンスストア「セブンイレブン」のサラダなどに、使われているそうです。

また、ヌーベルファーム泰阜でも、年に数回の即売会を実施しています。
今年は新型コロナウイルス感染拡大防止のため、開催は未定だそうですが、昨年の直売の様子が、新聞記事に紹介されています。
信濃毎日新聞 ⇒ https://www8.shinmai.co.jp/odekake/article.php?id=ODEK20190615011864
南信州新聞 ⇒ http://minamishinshu.jp/news/economy/%E3%83%8C%E3%83%BC%E3%83%99%E3%83%AB%E3%83%BB%E3%83%95%E3%82%A1%E3%83%BC%E3%83%A0%E6%B3%B0%E9%98%9C%E3%81%8C%E3%83%88%E3%83%9E%E3%83%88%E7%9B%B4%E5%A3%B2.html

暑い夏、体を冷やす効果があるといわれる、旬の、美味しいトマトをご賞味ください。

市田柿の干し柿加工には、旧体育館も利用します。干し柿加工もICT技術を駆使して、通常の方法よりも短時間で、高品質に仕上げることが出来るそうです。秋に改めてレポートさせていただきます。

余談になりますが、かつて、この泰阜北小学校には「学校美術館」が併設されていました。

この美術館は、昭和初期の困窮する時代に「児童生徒が、美術鑑賞により『貧しくとも心は貪しない人間に育ってほしい』という願い」から、教員の給料の一部を寄付する形で少しずつ美術品を購入し、開館されたそうです。

学校美術館の歴史についてはこちらをご覧ください。 ⇒ http://www.mis.janis.or.jp/~yasusc/bijyutsu/frame.html

美術館開設には、泰阜村出身の彫刻家「倉沢興世」先生の活躍も大きかったそうです。
現在は、南北にあった小中学校が統合された泰阜小学校・泰阜中学校になりました。
美術館は、小学校に併設されています。

泰阜小学校・泰阜中学校の入り口には、16名の有志の皆さんにより寄贈された彫刻と、石碑があります。
石碑にはこう刻まれています。
「この彫刻が学校美術館の標となり
永遠に愛されることを願っています
学校美術館は昭和二十九年泰阜北小学校
古川宗一校長『貧すれど貪せず』
どんなに生活が苦しくとも心だけは
清らかで豊かでありたいという信念のもと
村民の熱意と協力で泰阜北小学校裏山に
建設されました
その後平成二十二年南北小学校の統合により
この地に移されました」

私も、本当の貧しさは知らずに育った世代ですが、物質的に豊かになった現代であっても「清らかで豊かな心」でありたいと改めて感じました。
この彫刻を通じて村の人たちの思いが、毎日、児童たちの健やかな成長を、見守っていることと思います。

学校美術館の話題は、また別の機会にお知らせさせていただきます。

南信州はしばらく雨が降らず、農家の皆さんは「いいかげんにお湿りがほしいなあ。こんなに乾わいとっちゃあ、苗が植えれん」ともらしていましたが、例年より4日ほど遅れて、梅雨入りしました。
待望の雨が田畑を潤し、作物もグングン育ってくれることを願います。

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