2016.11.30 [ 南信州の伝統・文化・史跡 ]
~文楽公演 文楽体験・凱旋出演~育て!未来の民俗芸能の担い手たち
地域政策課のRMです。
当ブログ「南信州お散歩日和」の中でも好評?な「南信州民俗芸能シリーズ」。今回は、伊那人形芝居保存協議会・南信州民俗芸能継承推進協議会の主催の「文楽公演 文楽体験・凱旋出演」の様子をお伝えします。
ユネスコ文化遺産である人形浄瑠璃文楽が、何と無料で観覧できるという今回の催しは、文楽座に「今田人形座(飯田市龍江)」出身の方がお二人も所属していることが縁で実現したものです。三味線奏者の「鶴沢清志郎」さん、人形遣いの「吉田簑之」さんの飯田凱旋公演という形で開催となりました。
大阪本公演から軽井沢公演の移動の合間を縫っての開催で、移動だけでも大変なのに、何と昼・夜2公演。人形浄瑠璃文楽を広く知ってもらおうという文楽座の皆様の心意気を感じます。
11月21日、昼の部会場の竜峡中学校では、全校生徒約170名と一般の方約100名が観覧しました。「二人三番叟(ににんさんばそう)」と「伊達娘恋緋鹿子 火の櫓の段(だてむすめこいのひがのこ ひのみやぐらのだん)」という、どちらも今田人形に古くから伝わる演目の上演に加えて、吉田さんによる人形遣いの解説がありました。
二人三番叟では、冒頭の太夫の声の大きさ、響きにびっくり!三味線のテクニックもすごい!
おめでたい舞ですので、皆様に御利益があるようにステージから降りて観客席でも踊りを披露します。非常にダイナミックな舞なので、片方の人形が踊り疲れてサボろうとします。コミカルな動きに会場から笑いが上がります。
吉田さんの人形遣いの説明です。「主遣い(おもづかい)」という人形の首(かしら)と右手を操り動き全体をコントロールする役目を担うには、20年からの修行が必要とのこと。郷土の星として、是非「人間国宝」を目指して頑張っていただきたい!
お二人とも母校での上演に感激のご様子。親戚や今田人形の関係者の皆様も集まり激励されていました。
夜の会場は、飯田女子高校。同校の生徒さんと一般の方約120名が観覧しました。
夜の部は、昼の部の演目に加えて、太夫・三味線の解説と、人形遣いの体験がありました。
鶴沢さんの三味線の説明です。三味線の「皮」が犬・猫のものだと知りビックリ。もちろん国内では入手できないので海外(犬・猫を食す地域・・・)からの輸入。加えて「バチ」はプロが使うものは象牙でできているため、新品はもはや製造不能。ネットオークションまで駆使して古いものを入手しているとのこと。何やら三味線の将来に不安を覚えるのですけれど・・・。
吉田さんによる人形遣い体験では、いかに3人(主遣い、足遣い、左遣い)の息を合わせて動かすことが大変かを理解しました。会場から選ばれた皆さんも一所懸命やっているのですが、ドタバタぶりに会場からは笑いがおきていました。
最後の伊達娘恋緋鹿子の演目が終わり、文楽座の皆さんによるお開きの御挨拶となりました。いや~素晴らしかった。短い時間でしたが、会場の皆様も文楽の魅力を堪能した様子でした。
今回の公演は、竜峡中学校、飯田女子高校の御協力を得て、民俗芸能の将来の担い手である生徒達に、保存活動をきっかけにプロの道で活躍する先輩の芸に触れることで、民俗芸能の「たのしさ・よろこび」を体感するとともに、「あこがれ」を醸成する機会にしたいと、開催されたものです。
生徒さんの感激する姿を見て、将来の担い手の確保に向け期待が持てるな~と感じました。 また、地域の皆様方にも、今回の文楽公演を通じて、人形浄瑠璃に興味を持っていただけたことと思います。
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