2016.11.16 [ 南信州の伝統・文化・史跡 ]
~伊那人形芝居公演~南信州民俗芸能【2016秋】④
地域政策課のRMです。
南信州民俗芸能秋シリーズ第4弾は、11月6日(日)に黒田人形浄瑠璃伝承館で開催されました「第34回伊那人形芝居公演」の様子をお伝えします。
伊那人形芝居公演は、伊那人形芝居保存協議会が主催する定期公演で、今回で第34回目となります。伊那谷に残る人形浄瑠璃4座(今田人形(飯田市龍江)、黒田人形(同市上郷黒田)、早稲田人形(阿南町)、古田人形(上伊那郡箕輪町))と、各座の指導により人形芝居に取り組む小中学生の皆さんが出演しました。
都合で午前中しか観覧できませんでしたが、特に印象に残った演目を御紹介します。
オープニングは今田人形座による「寿式三番叟(ことぶきしきさんばそう)」です。皆の無事と繁栄を祈る御祝儀の曲で、「鈴の段」と呼ばれる、五穀豊穣と子孫繁栄を願う賑やかな舞です。
私の人形芝居の常識を破るダイナミックさで、人形が鈴を振りながら舞台の四方を動き回ります。人形は結構重いそうですので、この動きでは黒子の皆さんも大変そう・・・。おめでたい舞をありがたく拝見しました。
飯田市高陵中学校黒田人形部による「傾城阿波鳴門 巡礼歌の段(けいせいあわのなると じゅんれいうたのだん)」は、先日お邪魔した今田人形の定期公演でも龍江小学校の人形劇クラブの皆さんが同じ演目を演じていました。
※今田人形の定期公演の様子はこちら
今田人形の公演で話の流れは予習済でしたので、太夫の語りや人形の動きの意味がより深く理解できます。大人になっても予習は大事ですね~(笑)
自分が母親であると明かせないお弓と、お弓を母親とは知らずに「まるでかか様のようだ」と話すお鶴、このやり取りは泣けます(涙)。高陵中学校の生徒さんの太夫、人形遣いとも見事に表現されていました。
巡礼歌の段は、お弓とお鶴が別れて終わりますが、話は続き、結局、この後お鶴はまさかの展開で死んでしまいます(ネタばれ注意!)。この「傾城阿鳴門」をはじめ、人形浄瑠璃の演目は悲劇のドラマが多いです。人形浄瑠璃は、ともすれば動きの制約や表情の難しさがありますが、だからこそ情緒があり、悲劇の物語を表現するのに適しているのだと勝手に解釈しております。
飯田市上郷小学校の皆さんは、学校の授業の中で「チャレンジ教室」と称して黒田人形使いを学習しました。公演では、皆が参加できるようにと、市内に伝わる「竜峡小唄」に合わせて、3人遣いの人形を踊らせました。
公演前の説明では、「重い~、疲れる~、緊張する~」とやや御不満の様子(笑)でしたが、本番になると真剣です。
練習の成果が出て、息のあった動きを見せていました。会場からも手拍子や大きな拍手が送られました。
各人形座で、小中学生の体験講座の取組が続けられており、大変心強い限りです。小中学生の皆さんには、是非、地域の伝統芸能を大切にし、誇りに思う気持ちを持ってもらい、できれば活動を続けてくれると良いな~と思いました。
南信州民俗芸能シリーズ「冬の陣」も頑張ってお伝えしていきます。
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