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歴史的農業施設シリーズ9~追分の温水路を訪ねて(その2)~

農地整備課の「SKT46」です。車や人が頻繁に通る朝の街中で、鴨一家に遭遇したので撮ってみましたicon16icon16icon16

さて、軽井沢町追分の温水路を訪ねての第2回です。
今回は、温水路の構造と用水が果たしているいろいろな機能について触れてみましょう。
 


御影用水の水源は、浅間山麓から湧き出る湧水であり、県営千ヶ滝農業水利改良事業が計画された昭和20年代後半当時の調査では、取水地点で、かんがい期平均水温が13度で、21㎞の長い水路を流下しても末端では15度しかなく、低温による冷害の減収は8%にもなっていました。

仮に県営事業でコンクリート三面張水路に改修しても1.7度の上昇face10と推測され、さらに1.3度水温を上げようと考え、下堰が流れている軽井沢町追分に温水路を計画したのですface02
無限にある太陽の恵みを活かそうと考え、吸収ふく射熱量から算定して 水深20㎝ 流速50㎝/秒の条件で、水路幅20m 延長934m 勾配1/2000 の「温水路」が建設されました。上流側から撮影した航空写真でも、その規模の大きさが容易にわかりますface08

温水路は昭和42年に完成し、完成後の調査では、温水路で1.5度上昇し、末端では18度の水温となり、農業土木技術の活用により稲作の冷害が改善されました。

 上流側(手前)から撮影した温水路

 温水路が建設された当時、周辺は開拓地icon24で森林や畑に囲まれていましたが、近年は、周辺が徐々に開発され、現在では名実ともに軽井沢町の別荘地icon25icon25icon25となっています。昨年公開された宮崎駿監督の「風立ちぬ」と同名の小説を書いた作家堀辰雄の記念館もこの近くにありますicon22
 
別荘地の中を大河のように幅広くゆったりと流れる温水路は、近くに住む皆さんの心地よい憩いの場を提供し、散歩やジョギングのコースとして保健休養に大きな効果をもたらしていますicon16icon12。作家堀辰雄も執筆中にこの辺りを散策したのでしょうかface01

完成した当時の写真

現在の温水路

ところで、御影用水下堰の一級河川湯川にある頭首工のすぐ下流には、有名な「星野リゾートicon25icon12」があります。オイルショックの影響から、昭和55年にこの用水を利用する2個所の小水力発電所を建設して、リゾートの電気を賄っています。30年以上前から現在を見越したように農業用水の有効利用を進めている用水でもあります。

この用水は、農業のためであるとともに、小水力発電、保健休養のほか、最近では別荘地の雨水排水路の役割も担っています。歴史ある施設も、その時々で新たな役割を加えながら、地域の皆さんに愛され貢献してきています

 施設の管理は、千ヶ滝湯川用水土地改良区(昭和29年設立、組合員1518名)によって行われています。この温水路周辺は、春夏秋冬・朝晩すばらしい景色で、地域の貴重な財産として親しまれており、近隣の皆さんとともに、周辺の草刈り・植栽・コンクリート舗装等の直営施工の作業を行っていますface03


温水路の維持管理作業

また、平成20年度から始まった県営かんがい排水事業では、温水路をはじめ幹線用水路、水路橋、隧道等の補修を実施しています。観光地・別荘地内という特殊性を踏まえ、周辺環境や土地改良区の維持管理体制などを考慮し、またその歴史を理解して、将来に残る施設として補修工事を進めています。
 皆さんも是非一度訪れてみてください。さわやかですface02

温水路の場所
    

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