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歴史的農業施設シリーズ4~五郎兵衛用水水源地五斗水を訪ねて~

 はじめまして、農地整備課の「SKT46」ですface02
4回目の歴史的農業施設シリーズ、「五郎兵衛用水」を紹介します。今回はコンクリートや石づくりの施設ではなく、農業用水の源を訪ねましたicon16

道の駅からの五郎兵衛新田

 「五郎兵衛」といえば、佐久市の旧浅科村一帯で生産されているブランド米「五郎兵衛米」をご存じでしょう。「五郎兵衛新田」に由来してると思いますが、ここの辺りは、江戸時代に「市川五郎兵衛真親」によって新田開発された「五郎兵衛新田村」です。近くには、「五郎兵衛記念館」のほか「関所破りの桜」「真親神社」「築堰」などがあり、これらを訪ねるウォーキングコースが、道の駅「ほっとぱーく・浅科」付近に設定されていますから、ぜひ四季によって模様替えする水田地帯を歩いてみてくださいface01
リンク 五郎兵衛用水・ウォーキング※PDF注意 292KB
 


 さて、この五郎兵衛用水の源はどこかというと、蓼科山の中腹の岩の間から湧き出している「五斗水」です。市川五郎兵衛翁はこれを見つけ、岩下川(現在の細小路川)に落とし、下流の春日で湯沢川(現在の鹿曲川)をせき止めて取り入れ、山腹水路や盛土水路を作り、山を掘り貫き、川を木の樋で渡し、延々22キロの用水路によって、400ヘクタール余に及ぶ水田を開きました。390年も前の話ですface08。現在は、水路トンネルやサイフォンで用水路を作り直したことで、約8キロの幹線水路になっています。用水や施設の管理は、もちろん「五郎兵衛用水土地改良区」です。またこの用水路は、平成17年度に全国110か所のひとつとして「疎水百選」に選定されていますicon11icon12
リンク 長野県の疎水百選(五郎兵衛用水)

 「SKT46」は1回目として、旧望月町の片倉にある片倉トンネルを施工した時にできた山の斜面の草刈りに参加しましたicon01。土地改良区では、平成22年度にこの斜面に植林を行いました。水を利用する者として、やはり水源やその周りの山林を整えることが、未来永劫に水の恩恵をいただくためにと、この保全活動を始めたとお聞きしました。


 今年は土地改良区の役員20名余と地方事務所農地整備課から7名が参加し、ビーバーや鎌で草刈りをしましたicon21


 昨年4月に植えなおした「ヤシャブシ」や「ヤマハンノキ」は、残念ながらその多くが再び寒さや干ばつあるいは食害で枯れていました。残っている幼木があったので、元気に育ってほしいicon12と願って作業をしてきました。


 作業は1時間ほどで終わりましたが、土地改良区の皆さんは暑い中、さらに午後までかかって頭首工や幹線水路の周辺の草刈りをやられました。農業用水を守っていくためには、地味ですがこのような作業が最も大事なことですface10icon10

 2回目の参加は、土地改良区の研修会に同行させていただき、鹿曲川の浅科頭首工と蓼科山の水源地「五斗水」に行きました。まずは、佐久市春日の鹿曲川にある浅科頭首工です。

 頭首工の近くの旧水路敷きには用水神社が祀られており、市川五郎兵衛翁を偲んで参拝してきました。古い水路は絶壁を掘貫いて通水していた跡が残り、開削した当時の苦労がうかがわれます。現在は、その苦心の思いが引きつがれ、改修された頭首工や用水路のメンテナンスがしっかり行われて大切に管理されていました。

旧水路の掘貫跡

 そこから佐久市跡部、前山、美笹を経由して大河原峠に向かって進み、峠近くの別荘地内からは少し歩いて下ってみると、水源地の「五斗水」がありました。この地籍は、佐久市春日潜り笹(もぐりざさ)鬢水(びんみず)だそうです。いかにも水源地らしい地名で、用水は笹の下の岩の割れ目から、滾々と湧き出すというよりも、溢れるように流れ出していました。周辺にはこのような場所がないのに、その当時よく発見できたものだと思ます。飲んでみますと非常に冷たくておいしい水でしたface03icon06

源水を汲む組合員

 水源地は、フェンスと鋼板によって保存され、その横には原水の碑が建立されています。「水行 可行 処(水は行くべき処にゆく)」と刻まれています。参加した土地改良区の組合員約140名の皆さんとともに、今年の干ばつには用水確保に苦労しましたが、このような年がないように、豊かな恵みが長く続くことをお参りしてまいりましたface06

用水路工事を県営事業として担当している私たちも、水路開削から390年間、そしてこれからも続く営みを思い、水源地から用水掛け口を通して水田に流れ込むまでの貴重な農業用水の歴史を繋げなければならないと再認識しました。

 五郎兵衛用水の水源地「五斗水」

        

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