2025.03.03 [ 長野地域の【暮らし】その他 ]
長野地域への移住ってどうですか?移住の先輩にきいてみた!【長野市編】
長野地域振興局では、長野地域9市町村への移住や二地域居住を推進しています。今回の話し手は、2023年3月に茨城県守谷市から長野市へ移住した鈴木加奈子さんです。(この記事は2024年12月に行った取材に基づき作成しています。)

コーヒーをこよなく愛し、現在は大手コーヒーショップで勤務しながら、ご自身でもコーヒー豆の焙煎・販売を手掛ける事業を展開。
~大阪から東京、茨城、そして長野市へ~
――本日はお忙しい中ありがとうございます。早速ですが、鈴木さんは茨城県守谷市からから長野市へ移住されたそうですね。ご出身も茨城県ですか。
出身は大阪府吹田市です。大学卒業まで大阪におりまして、その後、就職で東京へ。そこから、子供が2歳頃まで 東京にいたんですが、夫単身で海外転勤があった時に、私と子どもだけ大阪に戻ったり。夫が帰国後、「次はどこ住もうかな」という時に、茨城県守谷市に引っ越して、それから長野市に来ました。
――いろいろな土地での生活を経験されていますね。『長野』に関心を持たれたきっかけはなんでしょうか。
私、寒いのが大の苦手なんですが、当時『長野』というと修学旅行で行ったきりで『寒いところ』という印象だったんです。
夫とお付き合いしていた頃、夫が松本市の近くに配属だったことがあり、よく長野へ遊びに来ていたんです。私はその時、東京の会社に勤めていたんですが、仕事が終わってから「特急あずさ」で遊びに来たりしていて。車窓の景色からして癒されるし、ご飯もおいしい、もう長野は、素晴らしくって。何より同じ日本にこんな素晴らしい景色があるのかって。長野に来ることが本当に楽しみになっていたんですね。「長野県、いいなぁ、こんな所に住でみたいな。」という気持ちが募っていました。
――『長野』は思い出の地でもあるんですね。移住先候補は『長野市』以外もありましたか。
そうですね。もちろん、いろいろな主要都市を見てきました。 夫は今も東京に勤めているんですけど、まずは夫が会社に間に合うように「新幹線が通っているところ」というのが条件にありました。

かつては碓氷峠を超え、特急で3時間近くを要した長野、東京間。新幹線開通後は高速化が進み、今や最速77分。関東方面への新幹線通勤も珍しくはない。
――では、長野県で新幹線駅のある佐久地域や上田地域も候補になっていたのですか。
はい。佐久、長野、上田、結構悩みました。各市役所さんに訊いたり、オンライン移住相談みたいな企画をみつけては、ほとんど参加しましたね。以前から旅行に来たり、夫がマラソン好きで長野各地でマラソン大会に参加したりと、ある程度は県内各地へ行く機会もありました。でも、やっぱり住むとなると、その土地の気候だとか、周辺に何があるかとか、子どもの環境とか、 いろいろと考えた上で、『長野市』を選びました。
――『長野市』が理想の条件に一番近かったのですね。
そうですね。あとは、長野市役所の移住推進課の方が本当に親切だったんですとにかく、お父さんとお母さんかなと思えるくらい親切にしてくださって、事細かに案内してくださって、あったかいところだなって思いました。最後まで東京や茨城も含め悩んだりもしたんですけど、これは長野市だろうと。

2015年に竣工したモダンな外観の長野市役所。東京23区の約1.3倍に当たるおよそ830㎢の市域と、約36万人の市民を守る拠点。長野市芸術館も併設されており、長野市の文化拠点としても機能している。(写真提供:長野市)
――決め手の一つは市役所の皆さんのあたたかさだったのですね。実際に市役所へ行って移住前の情報収集をすることも多かったんですか。
そうですね。旅行で結構長野へは来ていて、観光という面ではいろいろ知っていましたが、「住む」となった時に、「住む」ための情報集をしました。子どもの学校のことや、夫の通勤のしやすさとか、それから家を建てようと思っていたので、土地の情報などです。
~街は?暮らしは?移住者鈴木さんが見た『長野市』『長野地域』~
――『長野市』に移住されて、街の第一印象はいかがでしたか。
「都会」「すごい
わぁ、お店がいっぱいある
」って思いました(笑)。 長野市は主要都市というのもあって駅も大きいですし、お店がいっぱいあります。私、カフェ行くのとか、美味しいもの探すのが大好きなんですけど、お店がいっぱいあるというのがすごく印象的でした。でも、街並みがごちゃごちゃとしてるわけではなく、自然の景観も損なわずに共存しており、程よくお店があって、「 最高やん
」って思いました。

長野地域の玄関口、長野駅。1997年の長野(現・北陸)新幹線開通以来、新幹線駅としての役割も担う。駅前はホテルや商業店舗が立ち並び、長野電鉄や各方面へのバス路線の起点でもある。
――最近お洒落なお店なども増えている気がしますね。鈴木さんは、お店巡りなどもされるのですか。
はい。夫も子どもも結構食べることが好きなので、美味しいお蕎麦屋さんとか、地元の方のオススメのお店とか、会う人会う人に訊いてます(笑)。自分が休みの日とか、家族が揃う日に一緒に行ったりしています。
――『長野市』での生活を楽しんでおられるようで嬉しいです。移住された当初は都市部での生活とギャップを感じたこともありませんでしたか。
雪国に住んだことがないっていう 心配が移住前にありました…。寒いのがもう、本当に本当に冬が来るのが億劫なぐらい嫌いなので…。「長野の寒さに、私は一生耐えれるんだろうか…」って、すごく心配したんです。まわりにも「そんなに寒がりなのに大丈夫?」と言われました。そして、やっぱり寒い
ただ、寒いんですけど、家の造りがしっかりしていました。移住してすぐは、長野市営の『七瀬住宅』※というところに住んでいたんです。入居当時、備え付けエアコンが一台だけで、「これだけで冬を乗り切れるかな、ストーブいるかな」と思っていたのですが、思いのほか大丈夫でした。もちろん各家によるとは思いますが、造りが冬に備えているのか、しっかりしていたので、意外とやっていけると感じました。
※七瀬住宅:長野市の市営住宅。長野市への移住者などを入居対象としている。
また、長野は冬の景色がすごく綺麗です。東京や茨城では山は見慣れなかったですが、長野の冬の景色は神々しく、圧巻で、寒いけど乗り越えられると思えるくらい美しく感動します。
『雪』もギャップの一つでしたね。特に『雪かき』。車
の雪かきにびっくりしました
長野の方は、皆さん、ほうきみたいな「スノーブラシ」を持っているじゃないですか。あれを知らなくて、最初、傘
で車の窓に積もった雪を払っていたんです(笑)。そしたら、ある日職場で「何してるの?スノーブラシ、持ってないの?」と驚かれて…。「なんですか、それは!?どこで買うんですか!」という感じでした
。雪国は1人1個絶対車に載せておくんだよと教えてもらいました(笑)。

車に積雪した際、窓ガラスや屋根の雪を払いのけるのに使用するスノーブラシは雪国の必須車載品。凍結を防ぐためワイパーを立てる駐車車両も、雪国以外では見慣れない光景だ。
七瀬住宅にいたとき、職場から帰ってきたら、立体駐車場の2階へ上がる坂道に雪が積もっていて、車が後退したんですよ。慌てて車を停めて、そこから急いで雪をかいて。移住者ばかり住んでいたので、皆、雪かきに慣れておらず、そこに居た数人ですごい雪だねと話しながら雪をかきました。でも長野の人にとっては、「今年は全然降ってないよ」って。「これが雪国か…」というのがすごい身に染みました…。
あと、長野の方は雪の日も通常どおりですよね。茨城では、ちょっと雪で凍結するときは、幼稚園バスが「 凍結が怖いので今日は休みです」という感じだったのに。ここはどんなに雪が降ろうと子どもは学校に歩いて登校しますよね。「あれっ、今日、休みじゃないんだ」みたいな。雪国に住んだことがないので、驚くことがたくさんあります。子どもは雪だと校庭で雪あそびができたりするので大喜びしています

長野市は地域によって積雪量が大きく異なる。画像は比較的積雪の少ない長野市南部の平地。最近ではこの画像程度の積雪も一冬に数えるほどしかないが、それでも雪用タイヤや雪かきなどは生活必需品。
――雪国の冬はインパクトが大きかったみたいですね。
朝の寒さのレベルが違うと言いますか…。でも、ずっと外にいるわけではないので案外、「寒いもんだ」と決意して服を選ぶと何とかなります。私はとても寒がりなので、普段買い物に行くだけでもスキーウェア着ちゃうんです(笑)。子どもの学校 でも、 東京から来られた方が何組かおられるんですけど、やっぱり皆、寒いと普段でもスキーウェアを着ているみたいです(笑)。
ただ、寒さもですが、『雪』への対策方法が未熟なので、そこが1番のネックですね。
「雪の日は横断歩道の白いところは踏んではいけない」と聞きました。あの部分は凍りやすくて滑るんですよね。そういった地元の方の知恵を1個ずつ教えて頂き、学んで行こうと思います。
――冬場の光熱費は、移住前より高くなりましたか。
とんとんという感じです。同じ長野地域でも雪深いところか市街地か、住むところにもよると思います。移住前は一軒家の賃貸で、結構光熱費もかかっていたので、それと比べても、同じかそれ以下くらいかな。今すんでいる所はオール電化にしているので、ガス代はかかりませんが、その分、どうしても電気代は少し高いです。
燃料費という意味では、ガソリンがすごく高い。長野はどうしてこんな高いんですかね
。それが結構生活に直撃するのではないかと…。ネットで安いスタンドを探し出して給油に行きますが、そこまで30分かけて行くこともあるので、あまり意味がないかもしれないんですけど…。車社会で、いろんなレジャーも楽しめるというのはすごく良いんですけど、あちこち行きたい分、すごくガソリンが高いのはちょっと痛いなというのはありますね。
――長野県北部は他地域と比べてもガソリンが高いですよね。「地方=生活費が安い」というわけではないのですね。
食料品の物価は、夫は「ちょっと安い」と言っていましたが、私はそんなに変わらないかなと思います。ただ、地元の特産品とか、そういったものが安い。例えば、シャインマスカットとか、リンゴ、キノコとか。すごく安くて大きいし、美味しいと思いました。直売所とかを利用するのもいいかもしれませんね。
――車社会というキーワードが出てきましたが、やはり『車』は生活必需品ですか。
そうですね。長野での生活を満喫するには、車があったほうがアウトドアや温泉などに行きやすいので、より楽しめるかなって。「ちょっと松本行こう」、「軽井沢まで行きたい」とか、そういったときに車があるとより楽しめる。最近、東京から引っ越してきて、車をまだお持ちでない方が「やっぱり車がないと厳しいよね」という話をされてました。例えば、子どもを病院
へ連れて行くにも、徒歩圏内にある病院は限られています。なので、車がないと、出先の選択肢がだいぶ狭まってしまうかなというのと、先ほどの話ではないですが雪の時が厳しいです…。
――特にお子さんがいると車があるほうが良いですね。子育てに関してですが、小児科があまり多くないという話を聞きます。
開業医の小児科さんは少ないですね。だから、徒歩でも行きやすいところから埋まってしまいます。早起きして、予約開始時間から携帯とにらめっこしないと1、2分で予約が埋まっちゃうこともあるんですよね。インフルエンザや風邪のピークシーズンは辛いです。
例えば、子どもが小学校で風邪をひいて早退になった時に、その時間から行ける病院がなかなかなくて、長野市の医療相談窓口へ電話をかけて、「ここなら開いてる」「ここなら診てもらえる」というのを聞いたりしました。
そういう時、車がないと不便ですね。大きい病院は割とあっちこっちにあるんですよ。でも、いきなり大きい病院にかかれないから、もっといっぱい小児科さんが増えると嬉しいなと願っています。
――いろいろな要素があると思うのですが『子育てのしやすさ』について、長野地域はどんな印象ですか。
子育てはしやすいと思います。アウトドアもやろうと思えばできるし、動物園も近いし。観光地が多いので整備されているし、美味しいお店も、自然もある。新幹線も通っている。とてもバランスが良いと思います。
うちは子どもがすごく温泉好きなんですけど、「ことりの湯」で本を読むのなんかも楽しんでいます。「長野市立博物館」のプラネタリウムとか、「茶臼山動物園」で動物を見たりとか、楽しめる場所がたくさんあります。えびす講の花火大会とか家族で楽しめるイベントもありますし。
今まで旅行に行かなければ体験できなかったことが、住んでいる地域でできる感覚です。今いる場所で満足してしまうから「旅行しなくなったね」と夫とも話していました。ちょっと足をのばせば山に行ける、美味しいものを買いに行ける、自然もある。

レッサーパンダの飼育・繁殖実績で日本有数の実績を誇る茶臼山動物園。園のトレードマークにもなっている愛くるしい姿は大人気。ライオンやゾウ、キリンなどのほか、日本では2か所の動物園でしか飼育されていないウォンバットも見ることができる。(写真提供:長野市)

長野市立博物館は川中島古戦場公園内に位置し、歴史ファンも多く訪れる。長野市の歴史を幅広く学べるほか、プラネタリウムも人気。(写真提供:長野市)
それから子どもの小学校も少人数でよくみて頂ける印象です。移住前の地域だと小学校が13クラス程あるって聞いていたんです。でも、長野市の小学校は大体 2~3クラスで、子どもの性格にもよると思いますが、我が家の場合は、少人数で過ごせるところも良いかもしれないと思って。
あと、子どもがいろんな体験をできるようにポイントをくれますよね※。あれ、めっちゃ嬉しいなって思ってます
ポイントを使ってできる体験が多くて。キャンプやクラフトの体験ができたりもしますし、子どもと「何に行く?」みたいに一緒に選んだりするのも楽しいですね。何かを体験し、好きを見つけるいいキッカケになると思います。
※「みらいハッ!ケン」プロジェクト:長野市内小中学生を対象に、市の登録を受けたスポーツや文化芸術、自然体験、各種教室などの参加費、入会費、月謝等に利用することができるポイント、”ハッ!ケンポイント”を配布するプロジェクト。令和6年度は、子供一人あたり3万円相当のポイントが配布された。詳細はこちら(https://www.city.nagano.nagano.jp/n115500/contents/p006162.html)
それから、食べ物もやっぱり美味しいじゃないですか。子どもは正直だから「美味しい」のはよくわかるみたいです。ご飯の美味しさはすごい。長野電鉄長野駅の改札前でやっている農産物直売所がキノコとかもすごく安くて、美味しいです。子どもにも「今日はどのキノコがいい?」と選んでもらったり。そういったちょっとしたことも子どもは楽しいみたいです
。
――お子さんの進学といったお話も出てくるかと思いますが、そういった点では長野地域をどう見ておられますか?
子どもの進学も考えて、この地域に素敵な高校や大学があるというのは夫と調べていました。地元で進学する分には、私も夫も、それが子どものやりたいことなら、いいなって思っています。海外に行くなら、行ってもらってもいいです(笑)。なので、子供が何かやる気になれば、その選択肢が地方だからできないということはないんじゃないかと思っています。
~地域のつながりが生むあたたかさ~
――移住前後で、人間関係や地域のつながりは変化しましたか。
変わりましたね。例えば、「地域」というのをすごい大切にされているからなのか、「子ども会」の活動が活発だなと思います。移住前は児童館で集まってクリスマス会とか、そういうことは特になかったんですよ。でも、今住んでいる地域は、「何区に住んでる子どもはここの公民館」という単位でクリスマス会をやったり、お年寄りであれば敬老会があったり、すごく地域と密着しています。あとは、隣組というものがあって、「何区の誰々さんが組長」など、すごくしっかり決まっています。役職表のようなものもあります。地域の方と顔見知りになったり、コミュニケーションをとる事は多くなったと感じています。
あと、私は、芹田公民館で陶芸を習ってるんですが、公民館が地域の方のためにされている講座が結構たくさんあります。例えば、クリスマスにシュトーレンを作るとか、蕎麦を打ってみようとか。私は、自分で焙煎したコーヒー豆を使って、公民館で地元の方のためにコーヒー教室をやらせて頂きたいなと思ったりしています。「陶芸したいよ」「パッチワークしたいよ」といった方々が公民館に集まってつながったり、それを楽しみに暮らしたりしている方も結構おられるというのが、 なんだかすごく楽しいですよね。私も、講座に参加させていただいて、引っ越したばかりで誰も知り合いがいない中で、陶芸教室の方にもすごく温かく迎えて頂いています。そのつながりの中で「コーヒー頑張りなさいよ
」とか、「お子さんは元気?」とか、いろいろ聞いてくださったりして、そこで交流が生まれています。すごくあたたかいというか、地域のつながりで、安心して過ごせている面はありますね
。
神社で初詣とかどんど焼きがあるよとか、夏はホタルを観察する会等もあり、長野独自のイベントで子ども同士や親、地域の人々との交流が生まれるのも良い所だなと思います。
~起業者として目指す『心に寄り添い、拠りどころになるコーヒー』~
――コーヒーのお話が出ましたが、お仕事もご自身の好きなコーヒーに関係したことをされているとお聞きしています。
移住前から大手コーヒーショップに勤務していて、移住後もそのまま店舗異動の形で勤務させていただいています。
そちらと並行して、コーヒー豆の焙煎・通信販売事業の開業を今準備しています。まずは焙煎所のみをオープンして、ネットを中心にコーヒー豆の通信販売を開始しようと思っています。また、「この焙煎機使ってみたい」とか、「焙煎ってどうするんだろう」と興味を持った方に焙煎体験していただいたり、焙煎機を店舗や公民館、シェアキッチン等に持って行って体験して頂くのも良いなと思っています。先ほどお話ししたように、地域公民館等で大人はもちろん、子どもたちに向けて、コーヒー教室をしたり、ゆくゆくはイベントにも出店したいなとも思ってます。
――ご自身の好きなことをお仕事にして、新しいことにチャレンジされている姿、すごいなと思います。コーヒーのお仕事は、鈴木さんにとって、どのような魅力があるのでしょうか。
コーヒーの仕事をしながら感じていたのは、この一杯でホッとできたり、人とつながることができるこ事。焙煎所をしながらコーヒーショップで働く面で良いのは「働いている人」、「そこへ来てくださる方」と、自分の生活範囲内では出会うことがなかった人に広く出会えることです。知り合いがまだ少ないので、そこから地域のことを教えていただけますし、大変助かっています
焙煎所の良いところは、県内外様々な方にオンラインを通して長野市から発信できるところですかね。そしてイベントやコーヒー教室などを通して地域の方と「密に」コミュニケーションがとれるところであり、そこから団らんが生まれるところです。
その2つの良いところがいつか、点と点を線で結んだようにつながるといいなと思っています。
――移住先での起業、大変なことも多いのではないですか。
うちは引っ越しが多かったので、どの土地へ行っても主婦である自分でもできる事はないかなと考えていました。どんな時でもおやつタイムやほっと一息つきたい時に、「コーヒーの一杯」がとても心に寄り添ってくれたので、次は自分が誰かの力になりたいと考えました。特に同じ女性や妊婦さん、夜遅くまで働く方々、子どもたちに普通のコーヒーはもちろん、カフェインレスのコーヒーの選択肢を増やしたかったのです。
移住前から、やりたいな、でも一主婦である私にできるかなと考えていましたが、夫が長野市では「移住者起業支援」の制度があることを教えてくれました。これがすごく大きく自分の背中を後押ししてくれました。むしろ新しい土地だからこそ、新たな気持ちでチャレンジできたのもあるかもしれません。
長野市移住者起業支援金:長野市への移住の促進及び地域の活力の創出を図るため、県外から市内に移住して起業する50歳未満の方に対して、起業に係る初期投資費用(上限100万円)を支援する制度です。詳しくはこちら(https://www.city.nagano.nagano.jp/n041600/iju/p004278.html)
――長野市移住者起業支援金を活用されたそうですね。相談やサポートも受けられるんですか。
長野市移住者起業支援金を申請する条件には、適切な機関に相談したかという項目もあり、私の場合、今も商工会議所に相談させていただいています。融資を受けるようなケースは金融機関が相談先になると思うのですが、私の場合は自己資金でしたので。
――自己資金で一から事業をスタートするのは、すごく大変そうですね。
やはり家族があってのことなので、スモールスタートで、少ないですが自己資金の範囲で起業するというのを決めていました。その範囲を逸脱せず、どうやって起業するかというのが難しいところです。やりたいことの規模と資金の範囲で調整していくのは結構大変ですね。
長野市の支援金は、移住前から「絶対に審査に通りたい」という気持ちで来たので、すごくドキドキしていました。しかも、私が審査を受けた年から、審査方式が書類審査からプレゼンテーション形式になりまして…。審査の日に会場に入ったら、偉い方がずらっとおられて、「何分以内にプレゼンテーションしてください」と…。プレゼンテーションなんて会社を辞めて以来だったので、これが一番大変でした
。でも、支援金が起業にあたっての勇気になったし、その後押しがあったから「絶対に起業するぞ
」っていう気持ちが強くなりました。また、プレゼンテーションを作る際に、夫と子どもがたくさん意見をくれて、応援し、助けてくれた事も、家族の絆が深まり嬉しいことでした
。
――コーヒーへの熱い思いが、鈴木さんを後押ししてるんですね。
コーヒーでお仕事をしていくにあたっては、 それこそさっきお話しした公民館とか、あと地域の子どもたちにコーヒーの淹れ方を教えたり、 コーヒーに関するイベントに参加したりとか、地域の方とはどんどん交流を深めていきたいです。コーヒーという飲み物が1杯あるだけで、会話が弾んだり、団らんできますし、心にポッと燈火が灯ったような。あったかい気持ちになることもあります。コーヒーを介した交流活動を長野から全国に広めていきたいと思っています。
【鈴木さんのコーヒーにご興味がある方へ】
誰かの心の燈火、ちょっとホッとしたいときの拠り所となるような、そんなコーヒーを目指してます。通常のコーヒーはもちろん、カフェインレスのコーヒーのラインナップ多めで、大人でも子どもでも飲みやすいコーヒーをオンラインやイベントで販売予定です。
月ノ燈珈琲(ツキノヒコーヒー) 長野焙煎所
Instagram:https://www.instagram.com/tsukinohi.coffee/#
~『毎日に小さなワクワク感』がある魅力~
――移住者である鈴木さんの目線で見た長野地域や長野市の魅力をお聞きしたいと思います。鈴木さんにとって、『長野市』とはどんな場所でしょうか。
やりたいことが全部できる場所です。夫の仕事も変わらないまま、私も起業という形でやりたいことができました。それから、自分が住んでても楽しいし、人が遊びに来た時もいいところをたくさん紹介できるような、素敵な市だなって感じています。本当に暮らしが楽しいんです。地理にも恵まれていて東京、松本、安曇野、小布施、どこへでも行けます。温泉も入れるし、山もある。ちょっと足をのばせば石川や新潟の海にも行けますし、休日がすごく楽しみになりました。地域のイベントも割とあるんですよね。古道具市とか、ワインやビールのイベントがあったりとか。長野市は地域の魅力も大切にしつつ、便利になっていくことも大切にしていて、住んでいてこれからがとても楽しみです
――長野地域に鈴木さんなりのキャッチフレーズをつけるとしたら、どんなものになりますか。
『毎日に小さなワクワク感』だと思います。「日常が非日常」みたいな感じで、冬の朝ひとつとっても、ただ寒いだけではなく、「今朝は雪積もってるかな?山の景色はどうかな?」というワクワク感。休みの日は「温泉へ行こうかな?」というちょっとした特別感。「今日はどのカフェへ(カフェはどこも美味しい!)行こうかな?」という高揚感。ただの日常が特別になった気がします。長野市街から1時間以内で、まるで異世界雪景色のような高山村の温泉へ行けたり、近場だと15分ほどでも温泉があったり、楽しみ方が色々選択できて、とても充実しています。四季も、目からも食事からも楽しめます。ワイナリーもあるし、お酒好きにもたまりません休日は日々小旅行気分です。
~悔いのない移住をするために~
――鈴木さんのご経験を踏まえて、移住を考えている方へアドバイスをお願いします。
特にお子さんがいると移住も慎重になると思います。うちも移住を子どもが小学校に上がるタイミングにするか、それとも老後にするか、すごく迷ったんですね。
でも、今で良かったなと思ってます。やりたいことがあるなら、早い時期に、元気なうちに体験できると長く楽しめるかな。両親に元気なうちに遊びに来てもらって旅行気分を味わってもらったり。
それから、移住先を決めるには、やっぱり候補地に通ってみることかなと思います。できれば何度も足を運んだ方がいいと思います。同じ場所に通うのでも、旅行だと楽しいですよね。でも、そこに住むと、きっと旅行ではわからない面があると思います。我が家は長野市の体験移住制度で数回宿泊し、長野市の暮らしを数回経験してみました。この体験が移住先を決めるのに大きかったです。そういった移住希望者への自治体の取組等があれば利用して、近隣に何があるのかとか、駅までは 歩けそうなのかとか、できれば季節を変えてと足を運んでみたほうが良いと思います。夫も実際に会社まで通勤してみて、これなら通えると実体験したことも大きかったです。
それから、市役所の皆さんっていうのもすごくキーだと思うんですよね。私は長野市役所の移住推進課の方々がとても親身になって下さったというのも、長野市への移住を決めた大きい要素でした。老後何かあったり、災害があったりした時に、この市役所の雰囲気なら安心できそうだな、ちゃんとしてくれそうっていうのがありました。市役所の移住推進課を頼って みると、すごくいいなって思います。移住に当たって様々な制度もあり、教えて下さいます。長野市の移住推進課さんは、引っ越してから、生活でわからないことがあっても、移住推進課の皆さんがいるから大丈夫だと、本当に頼りにしてました。その通り、移住後も覚えていて下さり、いつ行ってもあたたかく迎えて下さいます。
――移住という経験を経て、移住先で事業まで起こされる鈴木さんのバイタリティー、学ばせていただくことがたくさんありました。本日は長時間、本当にありがとうございました。
【制作】長野県長野地域振興局 【協力】鈴木加奈子さん・長野市企画政策部移住推進課
〈長野市への移住に関するお問合せ先〉
長野市移住定住相談デスク(移住推進課内)
【電 話】026-224-7721 【メール】iju@city.nagano.lg.jp
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