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お母さんは太陽。 「合同会社マムズサン」(いいね!インタビュー⑥)

みなさん、こんにちは。商工観光課のKです。
今回の「信州いいね!企業インタビュー」は、合同会社マムズサン池尻 由美代表です。マムズサンは、産後や育児中のお母さんたちを支援するサービスを行っている会社であり、長野市内で2つの保育園も運営しています。
すこし長い文章になりますが、女性はもちろん男性にも、多くの方に読んでいただきたいインタビューです!


代表の池尻 由美さん

-最初に、合同会社マムズサンの仕事について紹介してもらえますか?

はい。弊社は設立当初から、赤ちゃんのいる家に出向いて母乳ケアなどをする、産後のお母さんの支援を行っていました。その仕事でお母さんたちに関わる中で、2人目のお子さんが生まれるときに、まだ小さい1人目のお子さんを一時的に預けられる場所が不足していると感じ、それで保育園を始めることにしました。

-当初は産後ケアの仕事をしていたのですね。池尻さんは元々、助産師として病院で働いていたと聞いています。どのようにして助産師になって、そして何がきっかけで起業を決断したのか気になります。池尻さんの経歴を含めて、教えてください。

中学生の頃から看護師になりたくて、高校は准看護師の試験を受けるために、衛生看護科に進みました。寮生活のある厳しい学校だったのですが、実は勉強するうちに、看護師になるのが嫌になってしまったんです。高校に入るまでは、白衣を着た華やかな仕事というイメージでしたが、看護師の世界の現実や、命を預かる仕事の責任の重さを痛感し、「私には無理だ・・・」とショックを受けたんです。

-医療現場の厳しさを知ってしまったのですね。その後は、どうしたのですか?

それで、卒業後は民間企業に就職しました。でも、働き始めて1年ほど経った頃、高校時代の寮の仲間で集まる機会があったのですが、看護の道に進んだ同期の姿がすごく輝いて見えたんです。そこで、やっぱり私も看護師になろうと決意しました。

病院で働きながら勉強ができる看護学校に入学して、産婦人科で仕事をしたのですが、働いてみるととても面白かったです。双子が生まれてくるのを実際に見て、感動したことを今でも覚えています。その経験から、看護師になるなら私は産科で働きたいと思い、横浜の助産師学校に通いました。

-高校を卒業してすぐに横浜の助産師学校に進学したのかと思いましたが、実際はその間に色々なことがあったのですね。

他の人達よりも時間はかかりましたが、現場で見せてもらったものや、体験させてもらったことが今の自分につながっていると思います。助産師として働き始めた後も、大変な仕事だという認識は変わらずありましたが、「私には無理だ」とか「嫌だ」という気持ちは無くなりました。昔とは別の角度から、看護師の仕事を見ることができるようになったのだと思います。

-その後、長野県にはいつ頃戻ってきたのですか?

20代の後半、第1子を出産したときですね。誰かフォローしてくれる人や安心して赤ちゃんを預けられる場所が必要だと思い、主人と相談して、私の実家がある長野県に帰ってきました。子どもが1歳を過ぎてからは、私も長野市の丸山産婦人科医院で働くようになりました。

-総合病院ではなく個人病院を選んだことには、何か理由があったのでしょうか。

それぞれに特長がありますが、私には個人病院のほうが合っていましたね。助産師としての仕事の中でも、自分の個性が出せるというか。さらに言えば、丸山先生の下で働けたのが大きかったです。出産してそれで終わり、ではなく、言うなれば“お母さん力”を高めるような指導をしてくれる病院でした。

-なるほど。ふだん出産の現場に立ち会っている助産師さんは、ご自身が赤ちゃんを産むときにも、一般の人より落ち着いていられるものですか?

いえ、そんなことは全然ありませんよ。助産師として外から見て「大丈夫、大丈夫!」と言っている時とは、やはり全然ちがいます。正直に言うと私も、助産師であるにもかかわらず、最初の出産はすごく自分本位なお産でした。「私はこんなに苦しいの!分かってよ!」みたいな。

でも、丸山先生の病院で2人目を産んだとき、陣痛が来るたびに心の中で赤ちゃんに向けて「がんばれ、がんばれー!!」と呼びかける自分がいることに驚きました。自分自身で出産を経験したことで、お母さんたちの気持ちがもっとわかるようになったことは間違いありません。


自身が出産を経験したことで、お母さんたちの気持ちがもっとわかるようになった

-その後、2014年に合同会社マムズサンを立ち上げたということですが、起業するときには何かきっかけがあったのでしょうか?

丸山先生の病院で働く中で、“産後うつ”のお母さんや、赤ちゃんへの接し方がわからないお母さんたちを何人も見てきました。もちろん、お母さん自身が成長するためには、苦しい経験をすることも大切です。でも、そのプレッシャーを1人で背負い込む必要は無いと思うのです。「こんな時どうすればいいの?私がいけないの?」という気持ちになってしまいそうなときに、「それでいいんだよ。大丈夫だよ」と言ってくれる人がいるだけでも、お母さんたちは救われるんじゃないかって。そんな、隣に寄り添うようなケアをすることができないだろうかと思ったことがきっかけです。

マムズサンという会社の名前には、どんな意味があるのですか?

“お母さんは太陽”という意味です。家庭の中でお母さんの機嫌がいいと、なんとなく家族みんな機嫌がよくなりませんか?お母さんがニコニコと輝くことで、家庭が明るく照らされるのだと思います。

-ああ。それは男の私にも、わかる気がします。

実際は、苦しいことや大変なことがたくさんあって、どうしても四六時中お母さんが笑顔でいることは難しいのですが。でもそんな中、ほんの少しの時間でも笑顔になってもらえるようなお手伝いをしたいと思っています。

-次に、2つの保育園「きらりほいくえん」と「ひかりほいくえん」について教えてください。

まず共通していることは、子どものための保育園であるだけでなく、お母さんのための保育園、お母さんを大切にする保育園であることです。

そして「きらりほいくえん」ですが、こちらは企業主導型保育園といって、最近内閣府が始めた事業を利用して補助を受け、開設しました。企業主導型保育園の大きな特徴は、保育園と利用者様が直接契約できることです。従来であれば市の認可保育園に申し込む場合、保護者は第3希望の保育園まで申込書に記入して市に提出していましたが、公務員の方やフルタイムで働いている方に比べて、パートタイムで働く方たちの希望は通りづらいのが現状でした。ここでは保育園と利用者様が直接契約することによって、例えば1か月のうち10日だけ通いたいというご希望にもお応えすることができます。

-様々な働き方に応じた、保育サービスが提供できるのですね。もう1つの「ひかりほいくえん」は、どんな保育園なのでしょうか。

「ひかりほいくえん」はどちらかと言えば、働くお母さんというよりも、お家にいて2人目の赤ちゃんを子育て中である方などを対象にしています。子どもの対象年齢もこちらのほうが低くなっており、出産後の悩みを抱えているお母さんたちにも、ご利用いただいています。


大切にしているのは、お母さんのための保育園であること

-それぞれに特徴のある保育園で、お母さんを応援しているのですね。池尻さんは、仕事と育児の両立のためにはどんなことが大切だと思いますか?

私自身が育児と仕事を経験して思ったのは、「母」でも「妻」でもない自分でいられる世界があって、すごく良かったということ。きっと誰でも、家の外に出て「お母さん」をやっているときって、みんな「優しくて良いお母さん」でいようと意識していると思うんです。だから、私は仕事の時間のほうが素の自分でいることができて楽でしたね。

もちろん、育児が苦しいと感じる人もいれば、すごく楽しいと感じる人もいます。ですから、仕事と育児のペース配分をお母さん自身が選んで、決めることができる環境があることが何よりも大切なのではないかと思います。

-仕事をすることが、お母さんにとってリフレッシュになるというのは驚きです。正直、育児と仕事の両立は負担が大きくて大変なものだというイメージしかありませんでした。

少し乱暴な言い方かもしれませんが、仕事が“逃げ場”にもなると思うのです。私は育休が明けて職場に復帰したときに、周りのみなさんから「子育てもあるのに、すごいね!」と声をかけてもらったのですが、心の中では「いや、仕事もしていたほうが楽だけどなあ」と思っていました(笑)。

日本では昔から、子どもが3歳になるまではお母さんがしっかり面倒を見なければいけないという“3歳児神話”が根強くて、それがプレッシャーになってしまう人は多いと思います。

-お母さんたちはみんな、すごく大きな責任感を抱えているのですね。

実際のところは、周りの人たちもお母さん1人にそんな責任があるとは思っていないんですよね。ひとりで全部抱え込んだり、無理をしていいお母さんになったりしなくても、ありのままのお母さんでいいんですよ

-池尻さんは、お母さんたちの、ありのままの姿を肯定してあげることを大切にしているのですね。

そうですね。子どもの虐待が日本中で問題になっていますが、育児をしているお母さんは誰でも「子どもから見たら、私が虐待をしているように見えているのかな?」って不安になる瞬間があるんです。でも、そういう時があるのが普通なんだよということを伝えたいです。

-利用者の方からもらって、嬉しかった言葉はありますか?

たくさんありますが、最近嬉しかったのは、「私、マムズサンが近くにある場所がいいと思って、ここに引っ越してきました」というお言葉ですね。「マムズサンは自分を受け入れてくれる場所だから、そういう場所をなくしちゃいけないと思った」と言っていただきました。

お母さんが独り立ちすることは大切だから、極度な依存関係は良くないと思っていますが、そのお言葉は本当に嬉しかったです。この会社を守っていかなきゃいけないという気持ちが、より強くなりました。

-創業してそれほど時間も経っていない中、そのように言ってくれるお母さんがいるのは嬉しいですね。次に、池尻さんの将来の目標を教えてもらえますか?

将来の夢は、“マムズタウン”をつくることです。一緒に会社を立ち上げた高橋とよく話しているのですが、イメージは、円形の建物の中央に食堂のようなスペースがあって、高齢者の方や母子家庭のお子さんたちが一緒にご飯を食べられるような場所です。

シングルマザーの方とお話をする機会もありますが、みなさんすごく苦労されています。そんな人たちの子どもが安心して生活できるような場が提供できればいいと思うし、もっと小さい子どもの世話がしたいという高齢者の方々も、今たくさんいらっしゃいます。そういう人たちが一緒に過ごせるような場所がつくれたらいいですね。


マムズサンの夢は、子どもやお年寄りが一緒に過ごせる場所をつくること

-では次に、池尻さんが行政に対して望むことを教えてください。

はい。正直、役所で働いている男性のみなさんはお仕事が忙しくて、ご自分の家庭の育児に携わる時間が十分に取れなかった方が多いのではないでしょうか。だから、どうしても世間のお母さんたちの悩みや苦労が伝わらないことが多いのではないかと思います。女性の社会進出や子育て支援を進めるのであれば、もっと現場の実態を正しく知ってもらえたらいいなと思います

-なるほど・・・。ありがとうございます。これから創業を考えている人に、何かアドバイスをもらえますか?

私がいつも心の中で唱えている言葉があって、それは後悔役立たずというものです。後悔なんて役に立たないから、私は自分がやりたいことはやってみるようにしています。これから創業するみなさんにも、どんどんチャレンジしていってほしいですね。

あともう1つ、会社を立ち上げるなら若いうちがいいと思います。頭も体力も使いますから、できるだけ若いうちに、夢に挑戦してもらいたいです。

-では最後に、子育て中のお母さんたちにメッセージをお願いします!

みなさんに伝えたいのは、「いいお母さん」でいなくてもいいのだということです。ありのままの姿のお母さんでいてほしいなと思います。そして、自分の人生は自分で決めてもらいたいですね。子どもがいるからとか、旦那様がこう言うからではなく、「お母さん自身がどうしたいか」をいつも大切にしてほしいと思います

-今日はたくさんのお話、ありがとうございました!

 

インタビューは以上です。
「子どもたちのことが好きなのはもちろんですが、それ以上に私はお母さんが好きなんだろうなあ」と話していた池尻さん。とても気さくで、素敵な方でした。
お母さんたちのことを本当に大切に思っているから、マムズサンという会社が多くの方に愛されているのでしょう。
そんな池尻さんの思いが、ひとりでも多くのお母さんに届いてほしいと思います!

(長野地域振興局商工観光課・K)

 おさんぽ

合同会社マムズサン(https://moms-sun.com/
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