2017.09.29 [ 林業総合センター ]
お歯黒の原料 みーつけた
「虫こぶ」とは、植物の組織が異常に発達したこぶ状の突起で、昆虫や菌などが寄生することでできます。
一般的な「虫こぶ」の中には、寄生した昆虫などの幼虫が生育していることが多く、大きく膨れた虫こぶであれば成長した虫がいるはずだということで、虫こぶを割ってみました。
中を開けてみると、白い綿のようなものの間に小さくて動くものが・・。
調べてみると、これは「ヌルデシロアブラムシ」というアブラムシ。成虫になると、黒紫色になるとのことでしたが、今回観たのはまだ薄茶色でしたので、まだまだ大きくなるようです。
本日さらにこの虫こぶは、元の葉の5倍以上に膨らむことから「五倍子」と呼ばれ、タンニンを多く含むことから、皮をなめすのに使ったり、黒色の染料に使われてきました。なかでも、インクの原料として、かつては広く使われており、「五倍子」の需要も多かったようです。
一見すると、びっくりする姿をしている「五倍子」ですが、私たちの生活でも使われていたことがあり、女性の化粧のひとつとして歯を黒く染める「お歯黒」は、この五倍子が主原料だったと伝えられています。
秋の訪れを感じさせる紅葉を探して歩いてみると、昔の人が利用していたこんな素材に出会うこともあるかもしれませんね。
今回、林業総合センターで見つけた「五倍子」は、森の間にひっそりと見つけた小さなヌルデの木についていました。残念ながら、全部収穫したとしても100個に満たない「五倍子」しか集められず、乾燥させてタンニンを抽出したとしても、お歯黒が一回できるかどうかという量になってしまいそうです。
お歯黒を集めるということは別として、秋の山を歩いてみると、こんな不思議なものに出会うこともありますので、ちょっと探してみたらいかがでしょうか。
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