信州森林づくり応援ネットワーク

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北アルプス山麓レポート②

<北アルプス山麓レポート>

 北安曇郡小谷村に「小土山」という場所があります。南小谷駅のすぐそばです。
 この「小土山」は、昔から地すべり災害が何度も発生している所です。
 最も大きかった災害は、昭和46年3月に発生した地すべりです。
 同年7月に崩落し周辺地域に大きな被害をもたらしました。
 その規模は、斜面長180m、幅200m、深さ20~30mで25~30万m3の土砂が流出し、姫川を塞き止めてしまい、堪水した川は国道148号線を流れ、当時国鉄の大糸線や周辺の家屋が浸水する被害となりました。

 その「小土山」で平成20年3月に姫川の3分の2を塞き止める土砂が流出する地すべり災害が発生しました。
 北安曇地方事務所林務課は、その災害復旧工事を今年の8月まで実施しました。
 対策工事は、地すべりを起こす原因となる地下水を抜く工事と、崩落した斜面を復旧する工事でした。
 今回のレポートは、後者の工事で大量の木材を使用したことについてお伝えします。

姫川へ流れ込んだ土砂

地すべり後の斜面の崖

 災害発生時は、上の左の写真のように土砂が姫川へ流れ込みました。
 崩落した斜面を放置しておくと、拡大して更なる崩落を起こすため、土を盛り立てて斜面を復旧しなければなりません。
 しかし、一度流れた土は、そのまま使うと再び流れてしまうおそれがあります。
 そこで、盛り立てる土の中に径20センチの丸太材を配置して、土が滑ろうとする力に抵抗する役割を丸太に果たしてもらうことにしました。
 土の中に埋まってしまえば、木材は腐りにくいことから安定しているものと考えられます。
 下の写真の平成15年に施工された大型丸太積みは、現在でも約3,500m3の土を抑えていて周辺の木の種が飛んできて樹林化が始まっています。

平成15年の木曽町にある林道

現在の状況

 「小土山」で施工した大型丸太積みは、約40段になります。

控木を配置したところ

横木を連結します

 長いところでは8mになります。2m間隔に配置し、横木をとめて土を被せ次の段を配置していきます。
  

 出来上がりは、上の写真のとおりです。
 冒頭の写真の「小土山」の文字は、現場の方々の提案で作ってくれました。
 斜面上部に地すべりの動きを監視する装置を取り付けてあったのですが、この大型の丸太積みが出来上がってきてからは動きが無くなりました。
 使用した木材の量は、次のとおりです。
・丸太の樹種  カラマツ
・丸太の径   16~22㎝
・丸太の総延長 8,350m
・丸太の材積  334m3

 このたび、この現場について「第12回民有林治山木材使用工事コンクール」へ推薦してもらったところ、「日本治山治水協会長賞」を受賞することが出来ました。

 貴重な木材資源を有効利用できるように、多くの現場で参考にしていただけたらと願います。

<本件に関するお問い合わせ先>
北安曇地方事務所林務課治山林道係
TEL:0261-23-6520
FAX:0261-23-6565
メール:hokuan-rimmu@pref.nagano.lg.jp

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