来て!観て!松本『彩』発見 歴史と伝統の城下町松本。のどかな田園風景安曇野。そびえたつ雄大なアルプス。自然と文化に彩られたまつもと地域の情報を、松本地域の県職員の発見を織り交ぜつつお届けします。 面白いこと新発見、知ってる人にも再発見、何だこれはの珍発見。当たり前だと思っていたことから、ローカルなことまで職員の発信する情報をお楽しみください。

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計量女子の計量検定所日記「今昔はかり展を見てきました」

こんにちは!計量女子です。
先日のブログで予告したとおり、松本市はかり資料館で実施されている企画展に行ってきました。

北アルプスに冠雪が見られたこの日、はかり資料館がある中町通りを行き交う人々も普段より暖かい服装をしているように見えました。

今年の企画展は「今昔はかり展 計算尺と手回し計算器」と題して、10月25日(火)から12月27日(火)まで開催されます。

「計算尺」という言葉をご存じなのは一定の年齢以上の方がほとんどだと思いますが、簡単に言うと「計算の道具」です。
目盛りを付けた物差し状のものをスライドさせることで、様々な計算をすることができます。
計量女子は見たことがないのですが、映画「風立ちぬ」で主人公が計算尺を使って飛行機の設計をするシーンや、映画「アポロ13」で地上管制官が計算尺を使うシーンが出てくるそうです。

単純な四則計算用だけでなく、構造設計用や化学工学用などの複雑な計算ができる計算尺もありました。

経営状態を調べることができる計算尺も展示されていました。
損益分岐点や限界利益率など、経営に必要な数字を求めるために使われたそうです。

計算尺の元となる仕組みや原型は、1600年代に当時の英国で既に生まれていたようです。
1850年、フランス陸軍砲兵中尉マンハイムが計算尺を改良したことをきっかけにフランス軍が戦争で使い始め、また1900年代になって科学者や電気技術者、物理学者が以前より複雑な計算を必要とするようになったことで、計算尺の需要が高まりました。

日本に計算尺がもたらされたのは明治27(1894)年、欧米視察帰りの役人がマンハイム型計算尺を紹介したことがきっかけです。
生産を始めるのにあたり、四季があって温度や湿度の変化が激しい日本で、目盛りが狂わない素材を選ぶのが大変だったようです。
最終的に、日本にたくさんある「孟宗竹」を材料に使った計算尺が完成しました。明治42(1909)年のことです。
大正12(1923)年には大量生産ができるようになり、日本生まれの竹の計算尺は国内外で使われるようになりました。

計算尺を使って設計された有名な建築物に、日本では東京タワー、海外ではニューヨークのエンパイアステートビル、パリのエッフェル塔が挙げられます。
また、現在のそろばん検定のような「計算尺検定」が行われていた時代もあったようですが、電子卓上計算機(電卓)が普及するとともに計算尺はその役目を失いました。

こちらは、計算尺より後の時代に誕生した「手動式計算機(手回し計算機)」です。
大正12(1923)年に大本虎治郎の研究により誕生した虎印計算機は、屋号を日本語の寅印から
「TIGER BRAND」(舶来品と思わせることで売り上げを増やそうとしたようです)に変更し、関東大震災後の復興に伴い官公庁を中心として広がっていきました。
(※写真の手回し計算機は、TIGER BRANDではなく他メーカーの製品です。)

実は計量女子もかつて官公庁でこの手回し計算機を見たことがあります。
世を忍ぶ仮の前職に採用されて1年目の年度末、倉庫を整理していたら見慣れないものが出てきたので上司に見せました。

計量女子:上司さん、これ何の道具でしょうか?
上司さん:あ~これは手回し計算機といってね、電卓が普及する前はこれで賃金日額(※)を計算していたんだよ
計量女子:これで賃金日額計算してたんですか!大変ですね…
上司さん:ハンドルを回して計算するんだけど、何かの拍子にベルが「ち~ん」って鳴ると偉い人にうるさい!って怒られるんだよ(´・ω・`)ショボーン
計量女子:私なんか鳴らしまくって怒られる未来しか見えません(´・ω・`)ショボーン

※賃金日額…離職証明書に記された賃金額から計算される額。この額に給付率を乗じることで、雇用保険(手回し計算機が現役の頃は失業保険と呼ばれていました。なお、現在の雇用保険法が施行されたのは昭和50年4月1日。)の基本手当日額が算定されます。

と、計量女子の過去が少しだけ明らかになったところで、今回のブログは終わりです。

今年も、松本市はかり資料館のご厚意により、当所と長野県計量協会で製作した「11月は計量強調月間です」ティッシュペーパーを、企画展の期間中(10月25日~12月27日)配布していただいています。
(数に限りがありますので、品切れの際はご容赦ください。)

【松本市はかり資料館】
〒390-0811 松本市中央3丁目4番21号
TEL/FAX 0263-36-1191
営業時間 9:00-17:00(入館は16:30まで)
休館日 月曜日(休日の場合はその翌日)、年末年始(12月29日から1月3日)
料金 大人(高校生以上)200円 小人(中学生以下)無料
アクセス
・徒歩 JR松本駅より約10分
・バス タウンスニーカー東コース「はかり資料館」バス停下車すぐ

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