農地整備課の稲妻太郎です。
先日、塩尻市(旧木曽郡楢川村)の奈良井川の上流に取水口がある農業用水の木曾山用水において、水桝検査(みずますけんさ)が行われました。
この日は松本市では32℃を超える真夏日となりましたが、さすがに奈良井川の源流近くまで来ると涼しく、快適でした。
伊那から木曽へ抜ける権兵衛トンネルの脇から更に南の山中(残念ながら、林道は一般車両通行不可ですが・・・)へ入っていくと、奈良井川源流の白川からの用水取り入れ口があります。
この水は、何故か山を越えて伊那谷へも流れ、貴重な農業用水として利用されています。
木曾山用水の歴史は、江戸時代までさかのぼります。
その昔、伊那谷にありながら松本藩の領地であった現在の伊那市上戸(あがっと)、中条集落は、奈良井川に流れる水を何とか自分達の水田に引水できないかと考え、1730年頃から140年間も藩主に訴え続け、廃藩置県後の1873年にようやく当時の筑摩県参事が了承しました。
松本側と伊那側で取水量を水桝で厳密に計量する取り決めを交わして通水が可能となり、こうして本来であれば日本海側にしか流れないはずの奈良井川の水の一部が太平洋側にも流れるようになりましたが、毎年両者立会いの上、約束が守られているか確認することになりました。
その後、1959年の伊勢湾台風で用水路が壊れてしまったことを受け、延長が長く管理が大変な山の中の水路について隧道(ずいどう:トンネル)を掘ってショートカットする覚書を交わし、昭和43年度に隧道が完成して新たな水桝も設置しました。
この日は、松本と伊那の関係する土地改良区や水利組合及び行政関係者等の立会いの下、毎年行われている水桝検査の日でした。
約束通りの水量が伊那側に行っているかを確認するために、隧道手前の水桝でまずは水深を測ります。
松本及び伊那から集まった大勢の関係者が確認しています。
次に、ピンポン球を流して流速を測ります。
あくまでも簡便法ですが・・・
ピンポン玉が風に流されてしまい少し苦労しましたが、こうして取決め通りの取水量を確認して水桝検査は無事終わり、今年も伊那側へ水を流すことが確認されました。
普段何気なく流れている様に見える用水も、先人達の大変な苦労の末にようやく享受できていることを改めて感じました。
木曾山用水に関する詳しい情報はコチラから
(長野県土地改良事業団体連合会HPへリンク)
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