2022.12.19 [ 分類なし ]
働くときに大事なことは全部テレビドラマに教わった
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今年の新語流行語大賞は……えーと、なんでしたっけ。三苫の1ミリ? ではない?
1ミリって、ギリギリこらえた感じが今の日本を象徴していてなかなかいいんですけどね。
新語流行語大賞といっても、ノミネートされた言葉にはよくわからないものがあります。「ヌン活」って何だろうと思い、ググって調べ、さも前から知っていたという顔で、「今度ヌン活しない?」と友人を誘ってみましたが、付け焼刃であることがすぐバレました。
また、「リスキリング」という言葉もあり、「動物園でリスとキリンが何かしたのか」と思いましたが、DX(デジタルトランスフォーメーション)時代における人材戦略のことでした。そしてこれを「リスキングrisking」と二重に勘違いし、VUCA時代(予測困難な時代)にリスク回避の方策をとれということなのかと思ったのですが、そうではなく「reskilling」で、「スキルの再習得」のことでした。
リスキリングはまだなじみのない言葉なので、新聞などでは「リスキリング(学び直し)」とカッコつきの説明が付されることがあります。学び直しとはいっても、環境変化の著しいデジタル方面のスキルを身につけることです。
「リスキリング」は名詞ですが、母音[i]が続いてぎすぎすした語感ですし、発音もしにくい感じがします。動詞では「リスキル」。このほうが4音で日本語になじみやすいので、こちらが広まってほしいと思います。表記も、わかりやすく「Reスキル」という混合表記にしたらどうでしょう。
学び直しといえば、これまでの「リカレント教育」や「生涯学習」を思い浮かべますが、こちらは個人的な関心にもとづくもので、仕事とは直接の関係はありません。一方、リスキルはあくまで仕事で必要となるために知識・技術を習得することなので、実施責任は企業にあります。業務として勤務時間中に行うものです(態勢が整っていない企業は時間外にやっているのが実情です)。
以下、本稿では、「人材」という語が頻出しますが、DX界隈ではこれをもっと露骨に「人的資本」などと称しています。DXを推進する人の能力を重要な資本だと捉えているからです。従業員にリスキルさせることは資本を増やすことにつながるので、無駄な時間ではないのです。
岸田首相の提唱する「新しい資本主義」の第一の柱は「人への投資」で、その中でリスキリングに今後5年間で1兆円を投じると言っています。自社の社員にリスキルさせた企業、他社からの転職を受け入れた企業へ助成するというものです。それによって「構造的な賃上げ」を目指しています。リスキルによって、事務職などITにとって代わられる仕事(技術的失業)から情報通信業など成長分野への転職を促し、労働移動を進めて賃金上昇率を高くしようというのです。企業は有能な人材を手放したくないから、引きとどめるために給料を上げます。これによって構造的な賃金引上げがはたされます。リスキリング・労働移動・構造的賃上げはセットになっています。
日本は技術先進国だ、クールだとのぼせていたら、いつのまにか周りの国に追い抜かれていました。スイスの国際経営開発研究所が発表している「世界デジタル競争力ランキング」では、日本の順位は毎年右肩下がりで、2022年版では過去最低の29位となりました(63か国中)。ちなみに、韓国は8位、台湾11位、中国17位です。
デジタル化が遅れているのに、5年で1兆円の支援で大丈夫なのか……ちょっと不安です。
デジタル技術は意外なところで使われています。先の「三苫の1ミリ」も、スポーツでDXが進んでいることを示していました。ビデオ判定を補助的に用いるのは前からありましたが、VAR(ビデオ・アシスタント・レフェリー)で高速の動体を瞬間で捉えている画像に驚きました。また、センサーチップがボールに入っているのにもビックリしました。ある意味、すごい監視社会です。W杯とはいえ、サッカーはもっと伸び伸びやる身体競技だと思っていましたが、時代遅れの認識でした。「三苫の1ミリ」に驚いた人はみーんな遅れています。
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