い~な 上伊那 2つのアルプスと天竜川からなる伊那谷の北部に位置し、雄大な自然に囲まれた上伊那地域。 この地域の自然、食、歴史や地域のがんばる人々など、私たち職員が見つけ、感じた上伊那の魅力と地域の活力を発信します。

い~な 上伊那

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露の音に 【井月さんのこころ77】

 月々に月見る月は多けれど月見る月はこの月の月  詠み人知らず

スーパームーン201409  満月20140909

 重陽(9月9日)の満月(スーパームーン)を詠める。

  延年に見勝る月はけふの月  青巒

 ムーンイリュージョン(月の錯視)という現象で、地平線に近い位置にある月は更に大きく見えるので、9日の東の空に顔を出した満月はとりわけ見応えがありました。

 今年は、この旧暦8月満月、寒露(旧暦9月)、立冬(旧暦閏9月)が、ともに満月で、しかも「大安吉日」とも重なるという大変お目出度い年なのです。

 

 ところで、「仲秋」と「中秋」は、違うのでしょうか。

 これも調べてみました。

 手元にある三省堂「国語辞典」(金田一京助)では、次のとおり。

ちゅうしゅう【中秋】

 ①  陰暦の八月十五夜「―名月」

 ②  秋の半ば。[陰暦では八月を指す] 

 表記 ②は、「仲秋」とも書く。

 というわけで、8日の十五夜は「中秋の名月」 、9日のスーパームーンは「仲秋の満月」ということでした。

 理屈っぽい話が長くなってしまいましたが、例年になく早い仲秋の訪れに合わせるように、季節が一気に進んだように感じられ、露置く時候になりました。

朝露001

 井月さんは、こう詠みます。

  露の音腹もへるがに夜の冴  井月

  この句の評釈について、井上井月研究者である竹入弘元氏の「井月の魅力 その俳句鑑賞」(ほおずき書籍)から引用させていただくと・・・、

  夜更けの露の落ちる音。夜は晴れて寒い。腹も減るほどに。がには副助詞。井月は今夜は野宿。少しは寝たかも知れないが、一旦目が覚めると寒くて今度は眠れない。ただ一人大自然の中に、星を見、虫の音を聞き、露が段々大きくなってついに落ちる。そのかすかな音も聞き逃さない。

 生きるとはどういうことか、つくづく考えたことであろう。

  (露・秋)

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