2014.09.13 [ 自然・山・花 ]
露の音に 【井月さんのこころ77】
月々に月見る月は多けれど月見る月はこの月の月 詠み人知らず
重陽(9月9日)の満月(スーパームーン)を詠める。
延年に見勝る月はけふの月 青巒
ムーンイリュージョン(月の錯視)という現象で、地平線に近い位置にある月は更に大きく見えるので、9日の東の空に顔を出した満月はとりわけ見応えがありました。
今年は、この旧暦8月満月、寒露(旧暦9月)、立冬(旧暦閏9月)が、ともに満月で、しかも「大安吉日」とも重なるという大変お目出度い年なのです。
ところで、「仲秋」と「中秋」は、違うのでしょうか。
これも調べてみました。
手元にある三省堂「国語辞典」(金田一京助)では、次のとおり。
ちゅうしゅう【中秋】
① 陰暦の八月十五夜「―名月」
② 秋の半ば。[陰暦では八月を指す]
表記 ②は、「仲秋」とも書く。
というわけで、8日の十五夜は「中秋の名月」 、9日のスーパームーンは「仲秋の満月」ということでした。
理屈っぽい話が長くなってしまいましたが、例年になく早い仲秋の訪れに合わせるように、季節が一気に進んだように感じられ、露置く時候になりました。
井月さんは、こう詠みます。
露の音腹もへるがに夜の冴 井月
この句の評釈について、井上井月研究者である竹入弘元氏の「井月の魅力 その俳句鑑賞」(ほおずき書籍)から引用させていただくと・・・、
夜更けの露の落ちる音。夜は晴れて寒い。腹も減るほどに。がには副助詞。井月は今夜は野宿。少しは寝たかも知れないが、一旦目が覚めると寒くて今度は眠れない。ただ一人大自然の中に、星を見、虫の音を聞き、露が段々大きくなってついに落ちる。そのかすかな音も聞き逃さない。
生きるとはどういうことか、つくづく考えたことであろう。
(露・秋)
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