2016.04.18 [ 地域振興局 ]
ハナイグチに期待を込めて
林務課です。
満開の桜を横目に見つつ、食用きのこ「ハナイグチ」の増殖試験地の打ち合わせで山の奥へと向かいました。
国内でも有数のカラマツの産地である長野県では、その広大な森を利用して、カラマツ林内に発生する天然きのこの「ハナイグチ」増殖のための森林整備の方法を研究しています。
人為的に増産が可能になれば、地域の貴重な現金収入につながると同時に、カラマツ林の手入れも一層進むのでは、と期待が高まります。どんな条件がそろえばハナイグチは増えるのか?を探る、夢のあるプロジェクトです。
ハナイグチは「ジコボウ」や「リコボウ」の愛称で親しまれ、各地の直売所でも人気のきのこ。伊那谷で「きのこそば・うどん」や「きのこ汁」のメニューを見たら、要チェックです!おいしいハナイグチが入った郷土料理が楽しめるかも。
(上伊那最初の試験地で発生したハナイグチ)
平成22年度に佐久市で試験を開始し、現在は県内各地で試験地が設置され、毎年ハナイグチの発生結果を調査しています。上伊那地域の2番目の試験地として今回候補にあがったのが、このカラマツ林。
最初の試験地での奮闘ぶりは、過去のブログ「ハナイグチは人工的に増やせるか?(2012.10.3掲載)」をご覧ください。https://blog.nagano-ken.jp/mori/kamiina_forest/269.html
共同研究ということで、長野県林業総合センターの研究員、信州大学農学部の研究室、地方自治体職員、そして、地元の生産森林組合の役員の皆様と、関係者でそろって候補地を回り、試験地を検討していきます。
「ある程度、湿度がないとだめでしょう」
「あそこの林には、昔はよく野生のキノコが生えていたけれど」
「ここは傾斜がきついから、駄目かな」
「カラマツの下に生えている笹はどうするんだい?」
いろいろな意見が飛び交い、カラマツ平坦林、アカマツ混じりの傾斜地など、3箇所が選ばれました。
試験地では、整備をした後、ハナイグチの胞子が播かれ、温度の測定をしつつ発生状況を調べていくそうです。
研究によってハナイグチが好む環境条件が解明され、長野県を代表する特産品に育っていってくれたらと、期待が高まります。
野生のキノコが好む条件を探ることは、自然環境を相手に知恵くらべのようで、そう易々と答えは出ないかもしれません。それでもハナイグチ増殖の体制が整う日を夢見て、これから粘り強く、地道な試験調査が始まります。
上伊那地方事務所林務課からのレポートでした。
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