2013.12.14 [ 食・農・旅 ]
獣や大根に恩を感ずるように【井月さんのこころ39】
井月さんのこころ シリーズ その39
年の暮れが近づきました。
所長室に嬉しい来年のカレンダーを届けていただきました。
「漂泊の俳人 井月俳句カレンダー」駒ヶ根駅前の割烹食堂「水車」さんが製作されているカレンダーで、井月さん真筆の書に片桐美登先生の水彩画が描かれ、井月研究者の方々の解説や句碑の写真が添えられた逸品のカレンダーです。
ちなみに、来年「11月12月」の作品の季語は前回(その38)でとりあげた「しぐれ」で、
しぐるるや馬に宿かす下隣 井月
この句の井月さん真筆の書に、街道の馬宿の情景の片桐美登先生の水彩画、伊那市長谷杉島の南アルプス岩入公園にある井月さんの句碑の写真、解説は竹入弘元先生が書かれています。
割烹食堂「水車」の宮澤宏治社長さんは、井上井月研究者としても著名な方ですし、お店では井月さんが好んだという猪の肉を使った名物「井月丼」や「井月おやき」などを提供されておられます。
今年1月26日に開催した上伊那魅力発信シンポジウム(こちら)では、参加者に「井月おやき」を提供いただくなど大変お世話になりました。
写真: 井月おやき
井月俳句カレンダー表紙は、こんな感じです。
「井月」の真筆署名に「井月全集」巻頭にある下島空谷さんの井月評が添えられています。
写真: 井月俳句カレンダー
さて、井月さんが好んだという猪肉「薬喰」を詠んだ句を紹介します。
薬喰した夜は聴かず松の声 井月
以下、この句の評釈について、井上井月研究者である竹入弘元氏の「井月の魅力 その俳句鑑賞」(ほおずき書籍)から引用させていただくと・・・、
薬食した夜は、寒風吹きすさぶ松風の音を聞かないと。身が温まって熟睡したから。薬喰は、獣類の肉を食うこと。獣肉食を嫌った時代に、こっそり薬と称して食べた。特に鹿肉は血行をよくすると。「河豚喰ふた其夜は聞ず松の声 井月」は同想の句。
江戸時代でも、鹿・兎・猪などや鳥類・魚類は存外盛んに食べたようだ。
(薬喰・冬)
長野県としても獣肉などジビエの活用に取り組んでいます。
信州ジビエ(鹿肉)
広報ながのけんインターネット版
そして、信州の冬ごもりに無くてはならない、もうひとつが大根ですね。
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