信州魅力発掘人 信州に魅せられ、活動する人たちの言葉には「信州の魅力」が凝縮されています。信州の魅力を掘り下げ、それを語る「信州魅力発掘人」。山の強さ、美しさ、厳しさ、素晴らしさを知る人たちが「山の魅力」を伝えます。

信州魅力発掘人

信州に魅せられ、活動する人たちの言葉には「信州の魅力」が凝縮されています。信州の魅力を掘り下げ、それを語る「信州魅力発掘人」。山の強さ、美しさ、厳しさ、素晴らしさを知る人たちが「山の魅力」を伝えます。

里山×鳥獣対策 vol.2

以前はクマ、現在はサル。野生動物と深く関わってきた小山さんですが、出身は東京都・杉並区とのこと。この仕事を始めたきっかけは、何だったのでしょうか?

クマ、サル、シカもイノシシも。思った以上に身近な野生動物

- もともと動物が好きだったのですか?

生き物は子どものころから好きでしたね。カブトムシを捕まえたり、バードウオッチングしたり、山登りやキャンプにも出掛けていました。

- アウトドア派ですね。

大学は、東京農業大学へ進んだのですが、正直に言うと食べることも好きで料理に関心があったこともあります。栄養学科を受けたのですが、そっちはダメで畜産学科に受かりました。じゃあ、おいしいチーズやハムを作ろうか…と思っていたのですが、野生動物の講座があることを知って、そちらにも興味を持ちました。それがこの道に入るきっかけになりました。

- そこからクマの研究を?

1年生のとき、研究室の忘年会で「クマの調査の人手が足りない」という話を聞いて、参加することにしました。株式会社野生動物保護管理事務所(WMO)を立ち上げた羽澄俊裕さんが、その1、2年ほど前から丹沢(神奈川県)で調査を始めていて。卒論、修士課程の一環として携わり、その後はWMOで働きながら、調査を続けました。丹沢に限らず、調査の依頼があった県など、全国あちこち飛び回っていました。専門はクマでしたが、サルやシカ、イノシシなどの調査も会社では係っていたので、野生動物の調査研究や対策の基礎的なものは、そのころに身に付いたと思います。

- クマの調査というのは、どういうことをするのですか?

まず、クマに発信器を付けなければいけないので、ドラム缶式の捕獲檻を担いで山を登ります。ドラム缶の中にハチミツを入れたバケツを置いて、引っ張ったら扉が閉まるような仕掛けです。檻の巡回は電波で分かるようになっていたので、捕まったら麻酔を撃って、首輪式の発信器を付けます。

ドラム缶式クマ檻を背負って山を登る、学生時代の小山さん

- なかなかのハードワーク…。

今みたいにリアルタイムで位置がわかるシステムもないので、車や、山の稜線を歩き回って位置を特定し、地図に記録して行動範囲を調べていました。クマがどんなものを食べているのか、食べ物がある生息環境はどのような場所なのかが、私の主な研究テーマでした。道なき山に分け入っては、クマの糞を探しまわり、丹沢に10年近く、通っていました。丹沢の山小屋にもお世話になりました。

「山との係わりの原点」でもあるクマ調査をしていた丹沢のブナ林

- 調査中に、クマに会うことは?

丹沢のときは、生息数が少ない地域と言われていたので、10年で数回しか出会ったことありませんでした。軽井沢では、毎月のように山の中で見かけたのですが。

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