2016.02.25 [信州大学教育学部 森林生態学研究室 准教授 井田秀行さん]
ブナ林×大学准教授 vol.1
ヨーロッパブナ林(ドイツ)にて
今回の話は「ブナ林」。
ブナは、標高1000~1500メートルという山地に生育し、国内でも広く分布しています。雪に強い特性を活かし、県内では飯山市や栄村、野沢温泉村など北信地域によく見られます。
「実は北信州の森は、ブナだらけ。体積の9割を占めるんです」と話すのは、信州大学教育学部の井田秀行准教授。ブナの面白さ、そして森の楽しみ方を教えてください!
「森は生きている」-現場で実感し、芽生えた愛情
- 北信地域にはブナが多いと聞きました。
雪の多いところはブナも多いので、県内全域にありますが、特に飯山や栄村など北信地域には多いですね。ブナが雪に強いというよりは、他の植物が大きく育たないのでブナが残って、結果的にブナ林になるんです。
カヤの平高原のブナ林(木島平村)
- 他の植物と比べて、寒さに強いってことですか?
寒さに強いというわけではなくて、上から掛かる力に強い。つまり、雪の重みに負けないんですね。若いうちは地面に這うようになっていて、春になって雪が溶けるとボンッと起き上がる。春先のブナ林は気をつけないと危険です。
新緑のブナ
- 雪が積もっても折れないんですね。
他の木は曲がらなくて折れてしまうんですが、ブナはしなやかに対応できるから生き延びたのかもしれません。成長して、ある程度の太さになると直立するようになっていきます。
- ブナにそんな性質があるとはビックリです。研究は、いつごろから?
始めたのは、大学時代です。自然に関わる仕事がしたいと思っていたので、大学に進むときには、林学などをやりたいなあ…と。当時はちょうどバブル時代だったんですが、その流れとは逆の、割と泥臭い感じですね。大学の授業でも、実習が楽しくて。部屋の中で勉強しているよりも、どこか外に出掛けることが好きでした。
- 数ある植物の中で、なんでブナを?
それはもうちょっとさかのぼるんですが…実は高校生までは「鉄道オタク」だったんです。中学生のころ、「青春18キップ」を使って北海道まで行って、1週間ほど駅で寝泊まりしながら旅をしました。今、思えばよく親が許したと思いますけど(笑)。それがきっかけで北海道の、雄大な景色やキリッとした寒さが好きになって。最初は大学でも、高山植物を研究対象にしたいと考えていたんです。先生に相談したら、「とりあえず行ける範囲で一番寒いところの植物の研究をしなさい」と言われて。当時は広島にいたんですが、一番寒いところっていうと、山の上。そこにブナ林があったんです。
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