信州魅力人

信州の魅力、それは長野県内で頑張るつくり手たちの魅力。そんな魅力人の想いをお伝えします

地元の人が愛用する商品を「名物」に

東京・日本橋から諏訪へ延びる国道20号・甲州街道。長野県に入ってすぐの富士見町には、江戸時代に宿場町として栄えた「蔦木宿(つたきじゅく)」があります。ここに、活気を取り戻そうと2005(平成17)年に結成されたのが「元気を出すぞ蔦木宿の会」。古代米の栽培を手がけ、収穫した米を活かした商品開発を行っている同会会長の名取栄一さん(83歳)にお話を伺いました。

思いつきからスタートした「古代米」

-古代米はもともと、このあたりで栽培されていたんですか?

元気を出すぞ蔦木宿の会(諏訪郡富士見町) 名取栄一さん

この辺で作っていたという記録はありません。数年前、私の家の前にある田んぼから遺跡が出たことが古代米を作るきっかけになりました。昔のカマドや囲炉裏、灰やつぼ、住居の柱の跡が出てきたので調べてみたんです。富士見町には井戸尻遺跡という4000年くらい前の有名な遺跡があるんですが、それよりも1000~2000年前の遺跡だということがわかりました。それで、古代にちなんで古代米を作ってみようじゃないかと思いつきました。「古代」という言葉にこだわったんです。

古代米といっても何百種類とあるので、最初はここに一番適したものを探そうと、まず7種類作ってみました。それで、黒米というのが一番いいということに落ち着きました。黒米は紫米とも言うのですが、黒っぽい紫色をしています。

-古代米はそのまま炊いて食べられるんですか?

そのままではなく、白米に混ぜて炊くほうがおいしいですね。白米に対して古代米を5%入れるのが色合いもちょうどいいです。富士見町にある「八ヶ岳・カントリーキッチン」の料理長の大野さんがいろいろ研究してくれて。「何か町の活性化のために、特産品ができないか」と、昨年の4月から町役場と私どもと一緒に協力して、この割合が一番いいということになりました。

-古代米を使って、いろいろな商品を開発していらっしゃいますね。

元気を出すぞ蔦木宿の会の古代米を使った商品

これまでにビール、杵つき餅、うどん・そうめん・ほうとう、そして焼酎を開発して、発売しています。

最初に開発したのは「古代米麦酒」という地ビールです。これは私が伊豆に旅行へ行ったときに地ビールがありまして。これが焙煎地ビールだったんです。それが本当においしくて、何か古代米でビールができないか、という発想がそこで生まれました。役場と相談しながら、せっかくなら地元の会社でつくりたいということになって。地ビールの「諏訪浪漫麦酒」などを製造している「麗人酒造」(諏訪市)にお願いしたら快諾していただいて、つくったのが2008(平成20)年の冬ですね。このときは、富士見の日(2月23日)にイベントを開催して、限定販売しました。今はものがありすぎて、黙っていては売れないですから、何かイベントをやらなきゃいけないですよね。それはもちろん、大好評でしたよ。

昨年は焼酎、25度と40度の2種類のものをつくって、これもまた好評です。ビールも焼酎も古代米の色、きれいな紫色が出ないのはちょっと残念ですけどね。ビールはホップのかすに色を取られちゃうし、焼酎は蒸留するから無色透明になってしまって。紫のいい色がでれば、最高にいいんですけどね。

地元の人が愛用する商品を「名物」に

-今後はどのような商品を?

実は、昨年の7月末から味噌を仕込んでいます。長野県産の大豆と古代米を使って。1年くらい熟成期間を置いて寝かせたらいいと聞いているので、まだもうしばらくかかるとは思いますが、今は7、8カ月…じゃあそろそろ試食してみないと(笑)。今年の夏、お盆前くらいには発表できるようにしたいですね。これまでの商品も地域開発支援センターに指導していただきながら進めてきたので、今は味噌のラベルをお願いしているところです。

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