信州魅力人

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生き残るために自分たちしか出来ないことをやる!

「うちは、小さな高収益会社を目指しています。」
長野県小諸市。上信越自動車道の佐久インターから北へ2kmほどの場所にある株式会社セルコは、コイルをつくる会社です。創業は1970年。現在は従業員20名ほどですが、かつては海外工場も含め120人もの社員を抱えていました。
「最盛期は、韓国の大手メーカー1社からの仕事だけで月7000万円の売り上げがありました。それが一気にゼロになってしまった。」1990年代後半のアジア通貨危機をきっかけに、月1億円あった売り上げが10分の1、1千万円以下に。抜本的な業務の見直しを迫られたとき、小林延行社長は「他人がやらない」「他社ができない」究極のコイルづくりの道を選びました。

「日本の技術は中小企業が支えている」と熱く語るセルコ社長小林さんに「日本のものづくり」について伺いました。

生き残るために自分たちしか出来ないことをやる!

-「究極のコイル」もそうですが、日本のものづくりはセルコさんのように小さな会社の存在抜きには語れませんよね?

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日本でしかできないものづくりがあると、私は思います。
まずは、日本人はものづくりに対する考え方が違う。
日本人は、小さな島国で農耕中心にきました。その中で、いかに「いいもの」をつくるか、ということで一生懸命手をかけます。
それに、「和」の文化もある。これがものづくりに非常に大事な要素です。

日本人は一つのことをコツコツやる。

私たちも昔は海外に工場展開していましたが、中国やタイなど海外では仕事を頻繁に変える。はっきり言って、これでは技術は育たない。
日本は技術者が10年、20年、30年、40年勤め上げて引退されていきます。このコツコツ積み上げる文化が技術を育てるんです。

中小企業のすごいところは、社長は命をかけて仕事をしている点です。もしも会社が傾いたら、社長はすべてを失ってしまいます。
社長業は命がけ。家族の運命も、社員の運命も、これでだめになったらもう終わりなんです。
世界中を見回してもこんなシステムはありません。「雇われ社長」は、業績が上がらなければクビになってしまうだけで終わりです。
日本の中小企業の社長たちは、会社は小さいかもしれないけれど必死で、注文があったらどうにか失わないようにものづくりに取り組みます。「命がけ」のものづくりと、「失敗しても次がある」ではまるっきり違う。ここが決定的なニッポンのものづくりと世界のものづくりの違いになります。

-日本の中小企業には、セルコのほかにも「すごい技術」がたくさんありますよね?

掃いて捨てるほどあると思います。
私たちのような小さい会社が、こんな古い機械でなぜ世界に誇れるようなスゴイものが作れるのか?
それは、やっぱり感覚だと思います。
感覚が優れていて、さらにコツやノウハウなど、結局今までのコツコツと蓄積した技術があるからなんです。これが「技」です。

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-「匠の技」は、機械さえあればできるってものではないですよね?

よく見て、それをそのまま真似すれば、同じようなものはできるかも知れません。
ただ、それではダメです。
次に「こういうコイルはどうですか?」といったときに、できなくなってしまう。だれかがつくったものを真似しているだけだから。積み上げてきた技術がなければ新しいものはできないと思います。

韓国もかなり技術力がついたといいますが、「次の技術」はどうだと言われれば、まだまだ疑問です。ゼロとは言いませんが、日本の根底にあるものには及ばないと思います。

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