2012.03.16 [黒姫和漢薬研究所(上水内郡信濃町)代表取締役社長 狩野土さん]
「身体」も「心」も健康であることを求めて ふるさとの魅力を「次の時代」へ
真っ白な雪の中に漂う、ハト麦を炒る香ばしい香り。
雪深い長野県信濃町の黒姫和漢薬研究所本社工場では、たくさんの健康茶がつくられています。
他の企業の名前で販売されるOEM(相手先ブランド名製造)を含めると、その種類はおよそ400種類。詳しくは書けませんが、ファミリーレストランで飲む「あのお茶」や、化粧品メーカーが販売している「あのお茶」も、黒姫山のふもとでつくられています。
「創業以来60余年、求めているのは身体も心も健康であること」
信州に根ざしたすごいものづくりと、それをつくり上げる匠たちの魅力にせまる「信州魅力人」黒姫和漢薬研究所社長狩野土さんの3回目では、健康茶づくりの枠を超え「地域づくり」にかける想いをご紹介します。
「人間復興」「大自然健康づくり」
―黒姫和漢薬研究所の健康茶づくり、その根底にはどんなお考えがあるのでしょうか?
一つは、「人間はみな素晴らしい」ということです。
人間は皆大切な使命をもって生まれてきている。例えば、体に障害をもって生まれてきた子供も、病院で寝たきりのお年寄りの方も、みんな使命を持っている。私たちには、「人間復興運動」という会社の創業理念があり、人間が人間として生きるということに役立つということが、私どもの会社の理念のベースにあります。
そして、もうひとつは人間は生かされている存在であるということです。大自然…大宇宙と言ったらいいと思うんですが、この中で私たちは生かされている存在です。
これらを創業理念として、「人間復興運動」と「大自然健康づくり運動」と名付け、受け継いでいます。
黒姫和漢薬研究所は今から60年前に、私の父が創業したんですが、これらを創業理念として欠かすことなくずっと続けてきている。会社の中、朝礼などで言葉にしています。
また、私どもの企業理念の中でもっとも重要なのが「環境理念」です。今の幸せや健康を作り出すと同時に、「次の世代」に技術や自然環境を伝えていくということです。
地域のスポーツ文化を支える活動
―「次の時代」ですか。自然環境といえば、この信濃町・黒姫は雪深くて静かないい場所ですよね。黒姫高原といえばスキー。に黒姫和漢薬さんは地域のスポーツ活動にもすごく積極的ですよね。
まずはクロスカントリースキーですね。
私どもの社員で、トリノオリンピックにも参加した、駒村俊介選手がいます。
国体の長野県代表にもなりました。
彼へ支援や応援をするだけではなく、我々も一緒にスポーツをします。私は決して一流選手ではないですが、一生懸命スポーツを続けています。
―御社の規模の会社が、スポーツ選手を支援するというのは大変なことですよね。
それはもう大変です。
私は今、信濃町観光協会の協会長でもありますが、信濃町の環境を考えたときに大切なのは、一つはスポーツ、一つは健康、もう一つは環境です。
これらは決してバラバラなものではなく、スポーツも健康も環境も、実は三位一体で、全てが大事な資産なんですね。「環境」というと、とかく自然環境のことを言われがちなんですが、私は、欠かせないのは人間が持つ環境、「ヒューマンリレーション(人間関係)」だと思っています。もう一つは、伝統的に技術を積み重ねてきた環境です。スポーツは、それが結集した象徴的なものであると思います。
ですから、スポーツ選手の支援は、我が社の体力からすると大変なことなんですが続けている。それを受け止めてくれる選手も、普段からそう思っていますので、夏場には仕事を手伝って、駅前でデリバリーなどもしています。
もう一つは、地元のクロスカントリースキーです。私はコーチとして関わっていますが、これも次の世代、子どもたちへの支援です。
信濃町には日本でも有数のクロスカントリースキー場があります。黒姫高原のクロスカントリースキー場です。このクロスカントリースキー場の会長としても支援をしています。子どもたちの支援を通して次の世代に「環境」の大切さを伝えることで、子供たちにもこの町を好きになり、誇りに思って、またいつか帰ってこよう、と思ってもらうというのが大切だと思っています。
岐阜県高山市で2月14日~17日に開催された第67回国体冬季大会スキー競技会。黒姫和漢薬研究所所属、32歳のベテラン駒村俊介さんは、成年男子40キロリレーでチームを引っ張り3位に、成年男子B10キロでは2位に入るなど健闘しました。
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