こんにちは。松本地域振興局 農地整備課のMです。
私たち農地整備課は、毎年夏から秋にかけて、
地域の小学生を対象とした施設見学会のお手伝いを行っています。
この見学会は拾ケ堰土地改良区が主催するもので、
松本市から安曇野市に流れる農業用水路『拾ケ堰(ジッカセギ)』について説明を行います。
拾ケ堰とは、奈良井川(松本市島内)から取水し、
梓川を横断し、烏川(安曇野市穂高)に至る長さ約15kmの農業用水路で、
かつて砂れきで覆われた扇状地で水が無く荒れた土地だった安曇野が
豊かな米の産地となった理由です。
そんな地域の発展におおきく貢献したことが評価され、
拾ケ堰は2016年に世界かんがい施設遺産に登録されました。
見学会は、平成13年から行われていて今年でもう22年目になります。
今年は、安曇野地域にある5つの小学校の4年生を対象に計17回実施予定です。
先日の見学会に同行したので、その様子を報告します。
朝学校を出発し、松本市新橋近くにある「頭首工(とうしゅこう)」と呼ばれる
奈良井川の取水口に到着。
そこで拾ケ堰土地改良区の方から拾ケ堰の歴史について説明を受けました。
<模型を使ったサイフォンの説明>
その頭首工から流した水が梓川の下を通って西側に抜けるサイフォン出口までバスで移動し、
そこでは川の下に水を通すサイフォンの原理を学びました。
まず大きな絵図で施設の位置を確認しながら、
なぜ近くの梓川からでなく奈良井川から取水したのか理由を理解しました。
それからサイフォンの仕組みについて、模型を使った実験で確認しました。
児童の代表者が模型に色のついた水を流しこむと、
水が川をくぐって対岸まで流れ着く様子がよくわかり、おおっと驚きの声があがりました。
<シールドマシーンの説明>
次にシールドマシンという
サイフォンのトンネルを掘った掘削機の前に移動し、説明を聞きました。
大きなシールドマシンを見て、サイフォンがどれほど大きなものかを理解しました。
<測量器具の説明>
次に拾ケ堰の右岸側にある自転車広場へ移動し、
昔と今の測量器具について学びました。
この自転車広場は撮影スポットとして有名で、
春には常念岳を背景に美しい桜を見ることができます。
ここから見る拾ヶ堰の流れは大変緩やかで、
水路の傾きを数字で表すと1/3000になります。
これは30mでたった1cmだけ下がる坂を作るということで、
水路を築くためには正確な測量の技術が必要だったことがわかります。
ここでは児童の皆さん一人ひとりが、
江戸時代の測量器具を復元したものと、
現代の測量器具を使って実際に測量を体験しました。
スタッフと呼ばれる目盛りの付いた棒を地面に立てて
測量器具でのぞいて目盛りを読み取ります。
昔の測量器具は、現代の測量器具を使うとよくみえる目盛りが
とても小さいことに驚いていました。
見学会では実験や体験を通じて、
拾ケ堰がどれだけの工夫や苦労により作られてきたのか学びました。
また、拾ケ堰が安曇野市一帯にとってどれほど重要なものか理解しました。
参加された児童の皆さんが、拾ケ堰の大切さを未来に伝えてくれることを期待しています。
2022年7月
松本地域振興局 農地整備課
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