長野県林業総合センター 指導部 ぶらた森 です。
8月23日から閉館をしている森林学習展示館。
鳥や虫の声が聞こえるだけの静かな森になりました。
そんな森で、突然コツッ!と小さな音がして、何かが落ちてきました。
良くみると、足元の道にドングリを付けた小枝が落ちていました。
さらに周りには、同じようにドングリを付けた小枝がたくさん・・・。
先ほど落ちたばかりの新鮮なものだけでなく、乾いた葉っぱが付いたと思われる古いものまで、足元にびっしり・・・。
目の前の木にはドングリを付ける木の代表である「コナラ」の樹名板。
どうもこの木から落ちてきたようです。
どれもこれも小枝ごと落ちているので、不思議だなあ
と思って落ちてきたドングリ付きの小枝を観察してみたら、
ドングリの後ろにある「はかま」とか「帽子」と呼んでいる
「殻斗(かくと)」と呼ばれる部分の一角に小さな穴が空いていました。
この穴の中に犯人の痕跡があるのでは?
とドングリを割ってみたところ、
ドングリの中に穴が空いていて、
穴の真ん中に小さな卵が入っていました。
実は、この卵「ハイイロチョッキリ」というオトシブミの仲間の卵です。
親のハイイロチョッキリは、ドングリに卵を産み付けたあと、
卵を産んだドングリを小枝ごと切り落とします。
せっかくだからと卵を産み付けた親を捜してみようと思いましたが、
目の前のコナラの木を見上げても、低い場所では実が付いたドングリがありません。
たぶん、はるか高いところから落ちてきたようでした。
産み付けられた卵について調べてみると、切り落とされたドングリの中で孵化し、
ドングリの中身を食べて大きくなり、さなぎになる前にドングリから抜け出し、
土の中でさなぎになるようです。
そして、成虫になると木の上でドングリに穴を空けて卵を産み付ける・・・
そんな一生を送っているとのこと。
ドングリに卵を産み付けて、枝を落とす姿の映像が見つかりました。
https://www2.nhk.or.jp/school/movie/clip.cgi?das_id=D0005401434_00000
今年の林業総合センターの森では、とても多くの小枝付きドングリが落ちています。
きっと、皆さんの近くにあるドングリの木でも同じような現象がみられるのではないでしょうか?
密を避けてご近所を散歩される機会も多いかと思いますが、そんな時にドングリのつくコナラやクヌギの木を見かけたら、足元に注目してみてください。
もしかすると、小枝付きのドングリに出会えるかもしれません。
〈本件に関するお問い合わせ先〉
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