2024.06.20 [ 計量検定所 ]
計量女子の計量検定所日記
~力標準の実荷重式は(約)540,000Nです~
こんにちは!計量女子です。
5月20日の世界計量記念日に合わせて国立研究開発法人 産業技術総合研究所(通称:産総研)がニコニコ生放送で配信した動画の内容を計量女子ができるだけ分かりやすく紹介するシリーズの4回目です。
※実際に放映された動画から作成したキャプチャー画像を使用していますが、著作権の所有者である国立研究開発法人産業技術総合研究所(ブランディング・広報部)に当該著作物の使用許可を得ております。
質量に加速度が加わると、力(ちから)が生まれます。
具体的に言うと、1 kgの質量を持つ物体に1 m/s2(メートル毎秒毎秒)の加速度を生じさせる力が1 N(ニュートン)です。
※計量女子が力の合成や分解を学んだ時にはNという単位は影も形も出てきませんでしたが、計量高校生に聞いたら彼は中3でNを教わったそうです。時の流れを感じますね
ということで、今回は力の標準についてのお話です。
説明してくださるのは、計量標準総合センター 工学計測標準研究部門 力(ちから)トルク標準研究グループ 林 敏行(はやし としゆき)主任研究員です。
日常生活で私達が数値化された力を見たり感じたりすることはあまりないと思いますが、例えば建築物を構成する建材の強度計測にはテンションゲージや一軸試験機などの力(ちから)計と呼ばれる計測器が使われます。
そして、力計が正しく計測できているのかを確認するために、力の標準となる「力標準器」での定期的な校正が必要となってきます。
これは、産総研にある力標準器のひとつ、540 kN実荷重式力標準機です。
力標準器にもさまざまな種類があり、実荷重式力標準機は装置に付いている錘(おもり)に作用する重力をそのまま力の基準とする装置です。
画像の力標準器には、5 t錘9枚、2 t錘1枚、3 t枠1個、500 kg錘10枚、合計55 tの錘が取り付けられています。
錘の質量55 t(55,000 kg)に重力加速度(産総研のあるつくば市の重力加速度は約9.799 m/s2)を掛けると、錘に作用する重力は538,945 Nですので、この実荷重式力標準機は538,945 Nの力標準器であるということが言えます。
重力加速度はその場所の緯度や高度などに左右されるため、仮につくば市から長野県計量検定所のある松本市(重力加速度約9.797 m/s2)にこの力標準器を持ってきたとすると、55 t錘に作用する重力は
55,000 kg×9.797 m/s2=538,835 Nとなり、つくばにある時より110 N少ない値を示すはずです。
※重力加速度の値は国土地理院「重力値推定計算サイト」によります
と計量女子が重力加速度について蘊蓄を述べた所で今回のお話はおしまいです。
(次回は法定計量のお話です。~マジかよ、はかり買ってくるわ~ に続きます。)
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