こんにちは 水産試験場の信州放牧豚です。水産試験場では、ブランド魚の開発・改良、飼育技術の開発、疾病対策の研究や渓流魚への温暖化緩和対策、外来種防除技術の開発などを行っています。今回、研究の一環でイワナの稚魚の生息状況調査に行ってきましたので、その様子をお知らせします。
皆さんは川の最上流部に生きる「岩魚(イワナ)」のライフサイクルをご存知ですか?
渓流の環境によって違いはありますが、イワナは紅葉のころ産卵し、卵は1月ごろにふ化します。ふ化した稚魚は、流れの速い川を泳ぐ力はありません。このため、十分に泳げるようになるまで、流れの緩い川岸付近の「石のすき間」「岩陰」「木などの障害物」といった場所に身を寄せながら成長していきます。
水産試験場では、イワナの稚魚を対象に、生息環境を改善する研究を行っています。小型の人工構造物を設置し、稚魚が生息できる場所を造成する。一方で何も手を加えない区間も設け、イワナの稚魚が人工構造物を利用するか比較調査を行っています。今回は、人工構造物を設置した区と設置しない区の稚魚の生息状況を調査しました。


調査方法はシンプルですが、なかなかの重労働です。
渓流に入り、川岸の石や障害物の下を順番に隅から隅まで細い竹の枝でツンツンと探ります。
すると、隠れていたイワナの稚魚がひょいっ!と飛び出てきます。「よしっ!居た~!!」と心中でガッツポーズするほどの感激です。
この調査、文字にすると2行ほどですが、「水の冷たさ」「足場の不安と水流」「水面すれすれでの観察姿勢」とかなり大変な調査です。
でも、水中の健気でかわいい稚魚を見ると大変さを忘れ、心が充実感でいっぱいになります。


調査では、イワナの稚魚がどんな環境を好むかを明らかにするため、稚魚が潜んでいた岩陰等の「水深」「奥行」「流速」も調べ、データを蓄積しています。地道な調査ですが、稚魚が棲みやすい人工構造物への改良につなげます。


(こんな測定器があるんです!)
今回ご紹介した調査対象の「イワナ」ですが、冷たく澄んだ水を好み、長野県の山あいを流れる清流に生息しています。また、イワナは、日本の渓流を代表する魚のひとつで、渓流釣りでも人気の魚種です。この小さな稚魚たちを漁場(川)全体で増やしていくにはどうすればいいのでしょうか?
上流に禁漁区やキャッチ&リリース区を設けて親魚(しんぎょ)を確保すると、産まれた稚魚が下流へも移動していくことが確認されています。水産試験場では、この稚魚の生息場所を創出することで、野生魚の増加によって有用な漁場となるか研究しています。ご紹介した調査は、この研究の一端になります。

なお、この研究は水産庁委託事業「資源回復のための種苗育成・放流手法検討事業」において行っています。これからも調査データを積み重ね、他県の研究結果も参考にイワナ資源の小さな稚魚たちが安心して育つ川づくりに繋げていきます。
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