こんにちは、計量女子です。
今回の計量検定所日記は、11月の計量強調月間にちなみ、計量女子が松本市はかり資料館を見学したお話です。
毎年、はかり資料館では、計量記念日(11月1日)を挟んだ10月下旬から12月下旬にかけて「今昔はかり展」を開催しています。
令和3年は「はかりと薬」をテーマに、薬の計量調剤で使われていた上皿天秤やその仕組みを展示しています。
ということで、爽やかな秋晴れのある日、はかり資料館へ出掛けてきました。
令和の現代、薬局で調剤に使われるはかりは「電子天秤」がほとんどですが、昔は「手動天秤」が使われていました。
現在私達が資料として見ることができる最古の手動天秤は、紀元前1500~1000年頃、古代エジプト新王朝時代の「死者の書」に出てきます(アヌビス神が真実の羽根と死者の心臓を量る様子)。
初期の手動天秤は「死者の書」で見られるような吊り下げ式でしたが、17世紀にフランスの数学者ロバーバルが考案した仕組みにより、載せ皿が上にある天秤、すなわち「上皿天秤」が製造されるようになりました。
(ロバーバル機構とは、簡単に言うと「量りたいものと分銅の質量が同じであれば、どこにあっても釣り合う」という仕組みです。ちなみに、考案者であるロバーバル自身もこの仕組みを数学的に証明することはできず、135年後にようやく別の数学者によって証明されたそうです。)
はかり資料館では、吊り下げ式と上皿式の二種類の天秤を見ることができます。
天秤以外にも、薬袋や薬包紙、また古い薬局の看板なども展示してありました。
この企画展では、上皿天秤を使って実際に薬(に見立てた重曹)を量り、薬包紙に包む体験をすることができます。
(マスク着用の上、入館時と体験前に手指消毒を実施しています。)
まず、上皿天秤が平らな場所に置かれ、針が左右に等しく釣り合っているかを確かめます。
次に、上皿天秤の載せ皿両方に、薬包紙を乗せます。
薬の皿だけでなく分銅の皿にも薬包紙を乗せる理由は、片方の皿だけに乗せると計測結果に薬包紙1枚分の誤差が出てしまうためです。
(ちなみに、一辺が12cmの薬包紙の質量は、0.4g。紙といえども結構な質量ですね。)
分銅は、大小関係なく直接人の手で触るのは厳禁です。(皮脂が付くと、分銅の質量が変化してしまいます。)
小さな分銅は、必ずピンセットでつまんで皿に乗せます。
今回は5gの重曹を量りましたが、これが思った以上に山盛りでした。
※計量女子はホットケーキが好きで家にある材料で焼くのですが(薄力粉160g、砂糖50g、卵+牛乳160g、ベーキングパウダー5g)、ベーキングパウダーに関しては家のキッチンスケールが目量10gという代物で5gが量れずいつも適当に入れているため、大して膨らまないホットケーキばかり焼いていました。
山盛りの重曹を見て、なるほどうちのホットケーキは膨らまないはずだわと思いました。
同時に、薬包紙の折り方も体験してきました。
(重曹は持ち帰れないので、一旦タッパーに戻して、薬包紙だけで折りました。)
一定以上の年齢の方は、病院でもらった粉薬がこのような包みだったのを見たことがあるのではないでしょうか。
(持ち帰って当所の職員に折られた薬包紙を見せたら、30代の職員は見たことがなく、40代後半以上の職員は見覚えがあるという結果でした。)
余談ですが、体験コーナーに置かれている吊り下げ式天秤(見本なので、このはかりを使っての計量はできません。)には、長野県の計量器定期検査合格シールが貼ってあります。
このはかりがかつて実際に薬の調剤(取引・証明)に使われていた何よりの証ですので、計量体験の際はそんなところにも目を向けてみてください。
今昔はかり展は、12月26日(日)まで開催されています。
はかり展の開催期間中、はかり資料館のご厚意により、当所と長野県計量協会さんで製作した「11月1日は計量記念日」シールと計量強調月間ティッシュペーパーを、来館者に配布していただいています。
(数に限りがありますので、品切れの際はご容赦ください。)
資料館の方の話では、昨年の今頃に比べて中町通りにも人出が少しずつ戻ってきているようです。
感染対策をしっかりして、はかり資料館と中町通りへ是非お出かけください。
【松本市はかり資料館】
〒390-0811 松本市中央3丁目4番21号
TEL/FAX 0263-36-1191
営業時間 9:00-17:00(入館は16:30まで)
休館日 月曜日(休日の場合はその翌日)、年末年始(12月29日から1月3日)
料金 大人(高校生以上)200円 小人(中学生以下)無料
アクセス
・徒歩 JR松本駅より約10分
・バス タウンスニーカー東コース「はかり資料館」バス停下車すぐ
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松本地域振興局 総務管理課
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