2016.11.29 [ その他 ]
農業用水路を利用した小水力発電施設を見学してきました
(写真1)ぱっと見は何の施設か判らない
農地整備課のE,Tです。
先日南木曽町役場の方から農業用水路を活用した小水力発電を行いたいので、どこか実際に発電している箇所はありませんか、とのご相談をいただき、松本地方事務所管内で稼働中の小水力発電施設を一緒に見てまいりました。
県内には多くの農業用水路があり、県ではこれを利用した小水力発電を推進するために種々の支援を行っています。
当木曽管内には大規模な農業用水路はありませんが、落差が大きい用水路がいたるところにありまして、実際に南木曽町で計画を進めておりますが、とにかく現物を見てみないと、管理している人の話を聞いてみないと具体的なイメージがわかないとのことで、それではと案内方々ご一緒いたしました。
1箇所目は松本市波田堰にある小水力発電所で、落差約14m、流量0.2トン毎秒で、発電出力は16Kwの施設です。
原理はポンプの逆です。電気の力がモーターでポンプを回し、水を高い所へ上げます。逆にすれば、高い所から落ちてくる水の力でポンプ(水車)からモーター(発電機)を回せば電気の力が出せる(発電)ことになります。
写真の上の白いものが発電機、左側のベルトが発電機の下にある水車につながっています。実際に見てみれば「な~んだ」と納得です。
この小水力発電所は、県の先進実証事業として作ったもので、実際の管理と売電は水路の所有者である「波田堰土地改良区」が行っていて、16Kwの出力で概ね年間200万円程度の売電をしているそうです。
やはり、農業用水路独特の課題で、夏場(耕作期間)と冬場の水の量が変わったり、周辺の落ち葉やゴミが流れて来ることなど、結構管理に手間がかかるとのことでした。(やっぱり直に聞かなきゃ判らない)
発電機から出るのは主に高周波ですが、吸音スポンジをつけたカバーで覆えば、外からは音は聞こえません。この施設では水車からの水の落ちる「ドドド」という水音と、それに伴う低周波が発生したため、運転開始後にゴム製の覆いをつけて対策したそうです。これもやってみて初めて分かったとのことで、ノウハウの一つになります。
同じく波田堰には以前作られた「下がけ水車」がありました。これはごく小規模の出力で、周辺の照明用だそうです。行った日は一部修理中とのことで、水から上げてありました。(いかにも水車ですね。)(写真5)次は梓川土地改良区の施設へ
次は同じ波田地籍にある梓川土地改良区が運営する規模の大きな発電所を見学しました。この施設は本年3月末に完成した施設です。
この発電所は既存の水路にある落差工(水路の勾配を調整する段差)を利用した発電所で、落差は1.8mと小さいけれど、流量が約5トン毎秒ありますので、50Kw弱の出力になります。今年の3月完成なので、まだ実7ケ月程度の発電ですが、計画では年間約1千万円弱の売電を予定しているそうです。
縦型の2基の水車の間を水が通ることで水のエネルギーを利用し発電しています。音は発電機を設置したことで特に大きくなることはないそうです。この形式はゴミに強くペットボトル程度なら水車の間を通って流れてしまうそうです。
農地整備課では、農業用水路を利用して小水力発電をやりたいという方には、現地調査や稼働中の施設の見学案内など、段階に応じた支援を行っています。更に具体化した場合には「計画策定事業」や「発電所建設事業」の補助事業化などもお手伝いをしております。
「こんなところで、できるかな?」と思いましたら、お気軽に【農地整備課・管理計画係】までお声がけください。
電話:0264-25-2222(直通)
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