い~な 上伊那 2つのアルプスと天竜川からなる伊那谷の北部に位置し、雄大な自然に囲まれた上伊那地域。 この地域の自然、食、歴史や地域のがんばる人々など、私たち職員が見つけ、感じた上伊那の魅力と地域の活力を発信します。

い~な 上伊那

2つのアルプスと天竜川からなる伊那谷の北部に位置し、雄大な自然に囲まれた上伊那地域。 この地域の自然、食、歴史や地域のがんばる人々など、私たち職員が見つけ、感じた上伊那の魅力と地域の活力を発信します。

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山の口に鴫鳴く頃 【井月さんのこころ140】

 上伊那森林組合では、所有者から同意を得た93haで昨年10月に森林経営計画を策定し、個々の所有者に具体的な施業内容を提案するため「地域で進める里山集約化事業」を活用して、22名23haを集約化して、昨年度から搬出間伐を実施しています。 視察させていただいた現場は、飯島町の主導による団地造林で植林されたヒノキ林であり、樹種と林齢が揃った、条件の良い、まさに「美林」でした。

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 続いて、県産材の製材・天然乾燥・人工乾燥の取組を行っている菅沼木材(株)の本社製材工場とストックヤードを視察させていただきました。菅沼木材(株)では、外材から県産材への転換を順次進めてこられ、平成21年度の県産材供給体制整備事業で導入した人工乾燥機や製品保管庫などにより丸太製材数量を年間5千立方メートルにまで高め、都築木材(株)によるプレカット、(株)フォレストコーポレーションによる住宅建築との連携などにより県産材活用の住宅供給体制を軌道に乗せています。菅沼社長さんからは、「電力と石油エネルギーに頼る人工乾燥では、木材が固定する二酸化炭素の量を超える排出となってしまうという矛盾を抱えている。」という指摘があり、なるほどと思いました。

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 森林税の活用などによる間伐、集約化・高性能林業機械の導入によるコスト削減により進めている森林整備の現状を、その川下で製品化を担う林業の現場と併せて視察いただいたことで、委員の皆さん方の理解も深めていただき、意見交換の場でも数々の御意見・感想を伺うことができる良い機会になりました。

 併せて、大北森林組合の補助金不正受給等に関する検証委員会による報告書の概要と林務部コンプライアンス推進本部が策定した「林務部コンプライアンス推進行動計画」について林務課長から詳しく説明させていただくとともに、林務行政の信頼回復に向けた取組について御理解いただくようお願いを申し上げました。

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 慌てて9月末に播いた菜種は、芽を出して成長を始めました。丁寧に播種する時間がなくて、ムラだらけで恥ずかしい限りですが、遠目でみれば日に日に青みを増してきており、何とか来春の花は確保できそうに思います。

 菅沼木材の社長さんの話しによれば、家一軒分の材木を人工乾燥するのには、8日間で灯油を1200リットルも焚く必要があるのだそうです。現代では外国から輸入されてくる石油から精製される灯油ですが、井月さんが生きた時代に使われていた 行灯の燃料は、菜種油であったろうと思います。

 井月さんがこの季節に詠んだ句です。

   鴫(しぎ)鳴くや酒も油もなき庵  井月

 以下、この句の評釈について、井上井月研究者である竹入弘元氏の「井月の魅力 その俳句鑑賞」(ほおずき書籍)から引用させていただくと・・・、
 今夜は庵を借りて泊まっている。酒がない。井月の日記を見ると、人の家に泊めてもらって酒が出ないと、「風情なし」。今夜もまさに、風情なしだ。

 油がない。この油は照明用。まだ電灯のない時代、灯明皿に油を入れ、灯心を立て火をともす。油がなくて、室内は真っ暗。間近の河に鴫が心細く鳴くのをじっと聞いている。鴫は、春秋日本を通過する渡り鳥。

  (鴫・秋)

 鴫といえば、井月さんも慕っていた西行法師が詠んだ有名な和歌が新古今和歌集にあります。

 世俗を捨てた西行さんにも感傷的になる秋があったのですね。

   心なき身にもあはれは知られけり 鴫立つ沢の秋の夕暮れ  西行

 日が短くなって、里の紅葉も色を増してきました。

   鳴く鳥のあとを定める紅葉かな  井月

   姿鏡(すがたみ)に映る楓の夕日かな  井月

   くれないと佳きは夕日に紅葉かな  青巒

 明日15日(日)から狩猟が解禁となります。猟期は2月15日までの3か月間で、銃器を使用する場合は、日の出から日の入りまで。狩猟対象鳥獣は、鳥類28種、獣類20種の合計48種。イノシシ・ニホンジカ(わな猟)に限り3月15日までが猟期になります。

 今年は解禁日が日曜日に重なり、カモ類などの水鳥が多く飛来する河川湖沼やキジ類などが放鳥されていて交通の便が良い里山にはハンターが集中することが予想されます。マナーを守って安全な狩猟を楽しんでください。

 狩猟対象鳥獣については、次のHPをご覧ください。

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