2014.06.10 [ 地域振興局 ]
森とフラメンコ (伊那市)
林務課のrosaです。
平成26年5月29日(木)の午後、伊那市高遠町にある長野県高遠高等学校の学校林の間伐体験にお邪魔しました。
学校林がある高校は全国で385校。そのうちの38校が長野県内で、国内最大となっています(2011年度現在)。ちなみに、小学校は鹿児島県に次いで2位、中学校は1位です。(平成23年度調査 学校林現況調査報告書より)
高遠高校の学校林は、グランドのすぐ隣。歩いて数分の距離にあります。農林業系の高校ではありませんが、この近さ!林業体験の授業にはもってこいの、好条件です。
今回、初めて学校林に足を踏み入れる生徒さんもいるようで、
「授業サボっても、この森に入ってたらきっと見つからないぞ」
「その前に、迷って帰れなくなるよ・・・」と冗談を言い合っています。
森に包まれる安堵感と、命を奪われるかもしれない恐ろしさ。森の本質をよく捉えているな~と感心しながら、学校林の中へと進んでいきます。
中には、「ここは昔、田んぼだったけど、今は森になってる」と、学校林の歴史をガイドしてくれる、親切で物知りな生徒さんもいます。
「ほらっ、そこの木のところに森の妖精が!」とふざけて、妖精なんて子どもの空想よと背伸びする子も。冗談の中にも、どこかで神聖な森の気配を感じ取っているよう。みんな、明るく伸びやかで、この高遠の森そのもののようです。
作業の場所に到着すると、次々と質問が投げかけられます。
「どうして森の仕事に就こうと思ったんですか?」「どうして林業だったんですか?」
近い将来、進路の選択を迫られる高校生たち。自分は何をしたらいいのか?この森と共に生きていくのか?それとも・・・。希望と不安に揺れる気持ちが、ひしと伝わってきます。
さらに、「高遠の森は人が手を加えなくても、砂漠化したりしないと思うんですけど。なぜ、この作業が必要なのか、実はよくからないんです。」と。
大人は「森を大切に」とか「森の手入れをしなくては」とか言うけれど、本当か?そんな「?」を素直に投げかけてきてくれることに感動しつつ、人と森との関わりの必要性を語らせていただきました。すると、
「でも、下流に住む見知らぬ人たちにおいしい水を提供するために、なぜ、上流に住む僕がこんなに大変な作業をしなければならないのか、わからないのです。」
森に囲まれて生まれ育った自分が、これから森とどう向き合っていけばいいのか?そんな、素朴ながらも本質的な葛藤を心に抱えている・・・。感動で胸がいっぱいになりました。
君は、たくさんの人においしい水を提供する側になりたいですか?それとも、おいしい水を受け取る側ですか?
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