2014.08.30 [ 歴史・祭・暮らし ]
秋を感じる頃 【井月さんのこころ75】
昨年この時期に、井月さんが詠んだ穂屋祭の句を紹介しました。
芒(すすき)は、別名「尾花」です。
芒さえ花と見られて穂屋祭 井月
七草咲く穂屋祭の頃【井月さんのこころ24】
https://blog.nagano-ken.jp/kamiina/life/258.html
この祭の當屋を担当する「駒沢」という地名は、古くから馬の生産を行っていた地域であったことを示しており、矢彦神社の定礎に繋がる「7世紀の関ヶ原の戦い」にも多くの人馬が出役したのだろうと思われます。
鯇(あめのうを)捕まえる頃【井月さんのこころ16】
https://blog.nagano-ken.jp/kamiina/life/311.html
穂屋祭は、芒の穂が出揃い秋風が吹き初める頃に行われる、古(いにしえ)から続く年中行事なのです。
そんな秋風を感じながら、井月さんが「馬」を詠んでいます。
大事がる馬の尾筒や秋の風 井月
この句の評釈について、井上井月研究者である竹入弘元氏の「井月の魅力 その俳句鑑賞」(ほおずき書籍)から引用させていただくと・・・、
尾筒は獣類の尾の付け根の部分。馬に鞍を置くには必ず尾筒に綱を掛けて固定する。尾の長い毛を振って虻蚊を追うのもその尾筒の働き。
下島五山「井月秀句鑑賞」は、「秋を感じる風が吹きそめる。此微妙な感じを馬の尾筒に捕えた井月である。大事がるは馬自身であり、飼い主の心であり、井月の詩魂である。」と言われる。傾聴すべきであろう。
(秋の風・秋)
伊那市美篶笠原にある蟻塚城跡に新たな井月さんの句碑が建立されたとお聞きして、訪ねてみました。
この蟻塚城は、室町時代頃に築城された豪族「笠原氏」の本拠地であった山城で、7段の雛壇状に郭(くるわ)の跡が残っており、二の郭跡に「御射山神社」が祀られています。
現在の御射山神社は、昭和27年に建て直されたもののようですが、立派な社殿で参道には駒犬や献灯などがいくつも建ち並び、木立の中の風情ある山城跡です。
この御射山神社の社紋は、諏訪明神の御神紋「梶(かじ)の葉」のようです。
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