2013.12.28 [ 歴史・祭・暮らし ]
餅搗く頃【井月さんのこころ41】
さて、餅搗きが済むと門松を立て注連縄を張って正月を迎えることになります。
古事記の国譲り神話の時代からはかなり下りますが、平安時代の万葉集に新年を迎える有名な和歌がありますね。
新しき年の始めの初春の今日降る雪のいや頻(し)け吉言(よごと) 大伴家持
初春の雪を吉兆としてほめたたえた歌で、万(よろず)の言の葉4500首余りを集めた万葉集の最終的な編者である大伴家持がその20巻の最後に載せた歌であります。
たいへん御目出度い歌であります。
ところが、これを詠んだときの大伴家持も失脚の悲劇の最中にあったのであります。
橘奈良麻呂の変(藤原仲麻呂打倒計画の失敗)で多くの親友を失い、自分はそれに関わらなかったために、因幡国への左遷で済みましたが、生き残ったために心中に抱え込んだ悲しみや苦しみは、いかばかりであったろうかと。
しかし、大伴家持の場合は、いつまでも苦しい時代が続いた訳ではありませんでした。
恵美押勝(藤原仲麻呂)も道鏡も失脚し、天智系の白壁王が光仁天皇として即位した770年、正五位下に任ぜられ復権を果たします。その後も、光仁朝、桓武朝では破格の昇進を続け、785年に亡くなった時には中納言従三位まで登り詰めています。
冬はいつまでも続くものではありません。
そうです!お餅のように粘り強くです。
迎える新しい年が明るい歳でありますように。良いお歳をどうぞ。
雪を待つ吉言(よごと)多かれ午の年 青巒
写真:冬晴れの西天竜農業用水路 中央道横断
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