2014.02.09 [ 歴史・祭・暮らし ]
神子柴遺跡に思いを馳せて
皆様こんにちは。長らく御無沙汰していました。魅力発掘探検隊のGです。
先日、上伊那合同庁舎の隣にある『伊那市創造館』に行ってきました。ちょうど寒さの緩んだ時期で、天気も非常に良く、外を歩くにはもってこいの散歩日和。開放的でおしゃれな敷地に瀟洒な建物、そこにいるだけでも楽しいです。
しかしながらメインはやはり創造館の展示物。入る前に満足する訳には参りません、いざ本命の創造館内部へ!
伊那市創造館。
敷地内には木陰があったりちょっとした広場があったり。
天気がいい日は、ここでお弁当を広げても楽しそうです。
【古代のロマン溢れる神子柴遺跡】
伊那市創造館では、南箕輪村にある神子柴遺跡から発見された数々の石器を展示しています。
お恥ずかしながら、私はつい最近まで知りませんでしたが、この遺跡、実は古代日本史に燦然と輝く偉大な遺跡だったのです!どれほど凄いかというと、神子柴遺跡で発掘された石器と同系列の石器を、「神子柴系石器群」と呼び、当時の遺物を分類する基準の一つとして据えられているほど。もちろん、考古学資料としてだけでなく、純粋な美術品・工芸品としても圧倒的な価値のある石器たちです(日本で最も美しい石器とも言われます)。ただ、一般にはあまり知られていないのが少々悲しいところ。
そんなウワサの神子柴石器が展示されているのは2階と聞き、いそいそと現場へ向かいます(笑)。
ひっそりと静まりかえる展示室。その時間帯に足を踏み入れた人間が私一人だけだったこと、展示室内も薄暗かったこともあってか、外界とは一線を画す空気に多少緊張しつつも、これ幸いとのびのびと石器群とご対面。
そこにあったのは、何とも優美で神秘的な石器たちでした!
私の力量不足で画質が悪くなってしまいましたが、本物はもっと
凜としているのですよ!
ぜひ実物をみていただきたいです!
石器や石斧については、学校の教科書や図表で何度も見たのですが、やはり本物と写真では雲泥の差でした。黒曜石の光沢や下呂石のざらつきなど、物体の質感を伴うだけに生々しさを感じます。間近でみた黒曜石の尖頭器など、いかにも鋭くて切れ味が良さそうです。
こんなに立派な石器類を出土した遺跡が、思いの外身近に存在していたことに驚きつつ、「よく発見したなあ」と、思わず感慨にふけりました。
石器の美しさに目を奪われてしまいましたが、神子柴遺跡の魅力は、それだけではありません。
美術的には時に「日本で最も美しい」と称され、学術的には考古資料として国の重要文化財になるほど貴重な遺跡なのにも関わらず、解明されていない謎があまりにも多いことも、この遺跡の魅力といえるでしょう。
そんな神子柴遺跡に関する謎は、大別して3つあると言われています。いわゆる、「神子柴論争」と言われる謎たちです。
~ 神子柴石器は、何のために作られたの? ~
石器はどれも精緻で神韻縹渺としていますが、実際それはどういう目的で作成されたのか、その理由は未だはっきりと分かっていません。その洗練された美しさや未使用の石器が多いことを考えれば神事や祭祀用だったと考えることができますし、黒曜石の尖頭器の一部から獣の皮を切った痕跡があることをみれば、実際に生活に使用されていた「道具」と捉えることもできます。
まったくの余談ですが、黒曜石の石言葉は『摩訶不思議』だそうです。なんとも意味深長ですね。
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