信州魅力発掘人

信州に魅せられ、活動する人たちの言葉には「信州の魅力」が凝縮されています。信州の魅力を掘り下げ、それを語る「信州魅力発掘人」。山の強さ、美しさ、厳しさ、素晴らしさを知る人たちが「山の魅力」を伝えます。

山×スカイランナー vol.3

2014年世界選手権。初めて日本チームを組織して挑み、国別で16位(photo by Sho Fujimaki)

プロのスカイランナーとして、選手としての競技参加とともに、普及活動も行う松本さん。2013年には上田市に移住し、日本スカイランニング協会(JSA)を立ち上げました。

多彩な山に囲まれた信州は、最良のフィールド

- 選手としての活動と普及活動、両立させるのは大変じゃないですか?

競技だけに集中できる選手を、正直うらやましいとは思います。でも、どんどん仲間が増えていくことは、競技とは違う楽しさがあります。「スカイランニングが好きです」「私もスカイランナーです」という若い人たちが増えていくことが嬉しいですし、「二足のわらじ生活」も良いものですよ。

- 上田に移住したのは何か理由があるんですか?

スカイランニングを始めてから、上田市のアウトドア関係の方々とつながりができていきました。嬬恋から見ると山の向こう側ですが、菅平や美ヶ原ではスカイランニングに近いトレイルランニングも行われていましたし、町の規模もちょうどいい大きさだと思ったので。

- 町の規模、というのは?

新しいスポーツを普及しようと考えたら、あまり大きい都市では埋もれてしまうんです。上田は、町にも力があるし、動きが早い。この町だからこそ、「太郎山登山競走」をはじめ、たった数年でここまでできるようになったと感じています。

- 「太郎山登山競走」を始めたきっかけは?

2013年に「富士登山競争」で優勝したときに、母袋創一市長にお会いしました。翌年、連覇して表敬訪問したときに「太郎山でも登山競走をやりたいですね」と言ったら、「やるなら、今でしょ!」という返事をいただいて。

2015年上田バーティカルレース/太郎山登山競走 (photo by Sho Fujimaki)

- そこからあれよあれよという感じで。

まだトレイルランニングの感覚の人も多いですが、徐々に独自性も出していければいいかなと思っています。トレイルランニングは30~40代が中心のスポーツなんですが、スカイランニングは子どもからお年寄りまで楽しめる。基本は山を駆け上がる、ですから。

- 松本さんが思う、スカイランニングの魅力とは?

正直、普通の登山と何ら変わらないんです。景色が良い、達成感がある、下りてきて温泉に入ってから飲むビールが最高だとか。ただ、「ファストアンドライド」なので、パパッと行って帰ってこられるという特徴はあります。

- でも、パパッと行けるようになるには、経験も必要ですよね。

いきなりは難しいでしょうし、やっぱり登山の知識や経験は必要です。でも、「太郎山登山競走」のような大会は初めての人でも楽しめるようにしているので、気軽に参加してもらえれば。

- 今後、松本さんが取り組みたいことなどはありますか?

スカイランニング自体は、数年前に芽が出た、これから皆で作っていけるスポーツなんです。いろいろなアイデアを活かして、どんどん広げていきたいですね。協会でも、できればフィールドに根差した、スキーのような文化にしていきたいと話しています。

2015年欧州選手権にて。(photo by Sho Fujimaki)

日本のレースにはない賑やかさ(photo by Sho Fujimaki)

13位でゴール(photo by Sho Fujimaki)

出し切った達成感と10位に届かなかった悔しさと(photo by Sho Fujimaki)

- 急激に競技人口が増えるといろいろ問題も出てきますからね…。

山をフィールドにしている以上、山の知識や経験がどうしても必要になると思うんです。でも、雑誌に稜線を有名選手が走っている写真が載れば、それを見て憧れてしまう。それ自体は否定することではないかもしれませんが、特に2000メートル以上の山は、スカイランニングとして、登山の知識や経験がないとできないスポーツだということをきちんと伝えていかなければいけないと思っています。

- 高い山になればなるほど、登山者としての準備も必要と。

登山者なのだから、登山のルールを守るのは当たり前で、守れない人は来ちゃいけない。協会としても、スカイランニングはそういうことを守らないければならないと言っていますし、啓蒙活動も地道にしています。

- スポーツとしてしっかり取り組むものと、太郎山のように気軽に参加できるもの、両方あると広がりも生まれますね。

登山競走もいずれは、県内各市町村で企画していきたいですね。長野県はこれだけ多彩な山に囲まれている、恵まれた環境ですから。今年から野沢温泉でも夏場のスキー場を利用して「一気登り」が始まります。どの地域にも、地域の人が愛着を持っている山ってあるじゃないですか。そういうところでできる機会が増えるといいと思います。


2013年に立ち上げた日本スカイランニング協会は、翌年に国際スカイランニング連盟に正式加盟。昨年、一般社団法人となりました。「僕たちのフィールドである山がある場所に、オフィスを構えたかった」と松本さん。これからも信州から、新たな山の楽しみ方を広げていってくれることでしょう。

PROFILE
1983年、群馬県嬬恋村生まれ。長野県上田市在住。群馬大学教育学部を卒業後、4年間小学校教師として勤める。2012年、退職して本格的にスカイランナーとしての活動を開始。2013年、アジア人として初めてスカイランニングのアジアシリーズチャンピオンに。2013、14年、富士登山競争を連覇。2015年、スカイランニングアジア選手権優勝、ワールドシリーズランキング10位。日本スカイランニング協会(JSA)代表理事として、競技の普及にも力を入れる。

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