信州魅力発掘人 信州に魅せられ、活動する人たちの言葉には「信州の魅力」が凝縮されています。信州の魅力を掘り下げ、それを語る「信州魅力発掘人」。山の強さ、美しさ、厳しさ、素晴らしさを知る人たちが「山の魅力」を伝えます。

信州魅力発掘人

信州に魅せられ、活動する人たちの言葉には「信州の魅力」が凝縮されています。信州の魅力を掘り下げ、それを語る「信州魅力発掘人」。山の強さ、美しさ、厳しさ、素晴らしさを知る人たちが「山の魅力」を伝えます。

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ガイドを始めて、ゆっくり歩く山の楽しみ方を知った

シーズン中の7月~9月は、ほぼ毎日ガイドとして山を案内しているという登山ガイド・池尻裕美さん。「続けて仕事が入っても、大変さよりも楽しさの方が大きいから頑張れています」と、笑顔を見せます。インタビューの後編では、山で感じていること、これからのことなどをお伺いしました。

山で仕事を始めてから変わったこと

- 白馬で暮らしてどうですか?

白馬の良さは、何といっても自然がいっぱいあるところです。ガイドでも、稜線に出るコースもあれば、八方池や栂池自然園のトレッキングなど半日くらいのコースもあって、楽しみ方はさまざまです。でも、私にとっては、白馬村から見える「山々」が魅力です。ときどき、「岡山の実家には帰らないの?」と、聞かれることがありますが、住む場所はここだと体で感じています。

夏と冬、両方のシーズンでこれだけ楽しめる山は、他に見当たらないと思います。私の場合、冬はスノーボードのために登りますが、夏場では歩けない場所も、雪の上だとどこでも歩けるので、そういうところも面白いです。あとは、北アルプスは山小屋が充実しています。比較的、登山口までアクセスしやすく便利なところも良いですね。

- 仕事で山へ行くようになって、変わったことはありますか?

もともと体を動かすことが好きで、歩いていることが楽しく、できるならずっと登り続けたい、というくらいなのですが(笑)、以前はコースタイムより早く歩きたいと、早さにこだわっていました。

ガイドを始めて、歩きながら景色や花を見たり、頂上でひと休みするなど、ゆっくりと楽しむことを覚えてからは、四季折々、いろいろな表情を楽しめるようになりました。今ではプライベートの登山も焦らずゆっくり歩いています。

- 最近の「山ブーム」で、山の雰囲気も変わったと聞いています。

ここ3年くらいで色鮮やかなウエアを着ている方が増えて、山がカラフルになりました(笑)。
「山ブーム」で登山を始める若い方が増えましたが、年配の方も、服装も気持ちも負けてはいませんね。格好が完璧な方もいれば、「(その格好で)どこの山へ行くんですか?」という方もいます。

私のお客様について言えば、初心者の方はもちろん、経験者の方からも「何を持っていけばいいですか」、「こんなときはどうしていますか」と、たくさんの質問をいただきます。基本の装備、山のルール・マナーはもちろんお伝えしますが、私の経験からアドバイスすることもあります。お客様が安心して山に登れるよう、力になりたいと思っています。

行きたい山と、行くことができる山

- 山に危険はつきものと言われますが、池尻さんはどうですか?

山にはたくさんの危険が潜んでいます。整備された登山道だからといって絶対に安全かというと、そう言い切ることはできません。雨でも風でも、やはり自然が相手ですから。

ガイドは人様の命を預かる仕事なので、まずはお客様の安全第一を考えています。私は幸いなことに、これまで自分がガイドしたツアーで中止や停滞した経験はありませんが、お客様の体調不良や天候急変などの理由で、継続か中止かの判断が必要になったときは、しっかりやらなければと思っています。

- そういう場面で判断することは、なかなか難しいですね。

お客様からすると、「日程に合わせて休みを取って、高いお金を払ったのに」という気持ちが、どこかにあるのかもしれません。でもそれは、無事に帰って来られたからこそ言える言葉ですよね。

悪天候のときに、「あの日に登って下りてきた、すごい雨だったけれど楽しかった」と話される方とお会いしたことがあります。でも、いつ何が起こってもおかしくない状況だったことを思うと、「無事で良かったですね」と返すしかできませんでした。本当に、帰って来られたからこそ言える言葉です。

- 経験があまりない人だと、なおさら判断は難しいのかもしれません。

自分にどのくらい体力があるのかきちんと知っておくことも大事です。計画を立てる段階で、「行きたい山」と「行くことができる山」を見極めて、まずは体力的に余裕を持って登れそうな山を選ぶ。そこから徐々にステップアップしていくと良いと思います。山には魅力的な楽しさがいっぱいありますが、天候やケガなどのリスクも多いです。そのことを忘れずに登っていただきたいです。最近は一人の方も増えてきているので、山でお会いしたときは(時間や場所によっては)「どちらに行くんですか?」と一声、掛けるようにしています。

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