信州魅力発掘人

信州に魅せられ、活動する人たちの言葉には「信州の魅力」が凝縮されています。信州の魅力を掘り下げ、それを語る「信州魅力発掘人」。山の強さ、美しさ、厳しさ、素晴らしさを知る人たちが「山の魅力」を伝えます。

山×商店主×自転車乗り vol.1

JR木曽福島駅を降りると、ちょうど目の前に見える「かわい」の文字。その土産物屋と食堂「川合商店」を経営しているのが川合克巳さんです。
店内には、そばや漬物、地酒、ねずこの下駄や百草丸など木曽のお土産、食品や日用雑貨、そして、サイクリスト向けのタイヤ、チューブのほか、工具やフロア・ポンプの貸出も…!
信濃山形自転車倶楽部「レガルスィ イナーメ」のイナーメ木曽プロジェクトの事務局、さらに「木曽チャリ」のウェブサイトの運営も行う川合さん。木曽と自転車について、教えてください!

木曽は、自転車天国

- 木曽は、自転車で来る人が多いんですか?

ここ数年で飛躍的に増えたと、店にいても思います。漫画「弱虫ペダル」のブームなどもありますし。

- 自転車に乗る人の数自体が増えている、と。

増えていますね。この間は、「自転車で開田高原まで行ってきます」っていうロリータ系の格好をした女の子もいました。いわゆる「体育会系」というイメージの人たちだけじゃなくて、自転車に乗る人の幅が広がったなあって感じます。

- 「木曽チャリ」のサイトに、「サイクリング天国・木曽」とありますが、天国なんですか?

自転車って、田舎のスポーツなんですよ。自転車は止まると足をつきますが、それがストレスになる。特にスポーツ自転車は、靴とペダルを固定して走るビンディングペダルだと、いちいち外すのは面倒くさい。ひたすら走り続けられるのが最高なんです。そのためには…?

- 信号が、ない!

そうなんです。信号がないところは田舎、それもかなり極めつけの田舎じゃないと。駅前から国道361号線へ出て王滝村・開田高原に向かう道や、北の方へ行くと奈川・乗鞍高原あたりまでは、ほぼ信号がなくてノンストップでずっと走り続けられます。開田高原に1つだけ信号がありますが、あれは地元の子どもたちが「信号を知らないままに育ったら困る」ってことで、社会勉強的に付けたものですし。

-あの…、ちょっと疑問なんですが、そもそも走り続けるのって、しんどくないですか?

いわゆる「ママチャリ」=自転車、と思っていると走り続けたり、坂を登ったりというのは辛いと思うかもしれません。でも、スポーツ自転車は運動するための器具なんで、走り続けることが楽しいんですよ。ペダリングのスキルを身に付けると、本当に初心者でも、いきなり50キロくらいは平気で走れます。

- コツみたいなものがあるんですね?

そのスキルが身に付けば、今まで車でしか行けなかったところに、自分の体だけで行くことができるようになります。頑張って坂を上れば、素晴らしい景色が待っていたり、「俺、意外といけるじゃん」みたいな達成感を得られたり。スポーツ生理学的に「ランナーズ・ハイ」ってあるじゃないですか。

- マラソンなどで長い時間走っているとテンションが上がってくる状態ですね。

そういう要素もあります。ひたすら坂を上りたいっていう人たちもいるくらいです。そういう人たちにとっては、木曽のロケーションは垂涎の的ですね。ここで坂を上りたいために、三重県から移住したという人もいます。坂好きにとっては、「マウンテンサイクリングin乗鞍」と「セルフディスカバリーアドベンチャー・イン・王滝」は2大イベントですね。

- 木曽を拠点に、どういうところを走れるんですか?

国道19号はちょっと大変ですが、木祖村、境峠を越えて奈川に抜けると乗鞍や上高地、野麦峠を越えれば高山へ出られます。伊那谷は国道や広域農道は車が多いですが、そこから1本細い道に入れば面白い道もあります。

- 伊那の方へ抜けると、かなり広域に足を延ばせますね。

でも、ちょっと問題があって。木曽から伊那へ抜けるには、本当は権兵衛峠がいいんです。傾斜はあるけど、車がいなくて安全なので。それが、土砂崩れでずっと通行止めのままなんです。

- じゃあ、現状は権兵衛トンネルで。

権兵衛トンネルは、交通量も多くて距離も長いので自転車向きとは言えないですよね。そこが上手くいけば、遠大なサイクリングルートができるんですよ。伊那、高遠へ行って杖突峠から諏訪に下って、白樺湖に上がって、嬬恋や小淵沢まで…地図にあまり載っていない山がちのところこそ、サイクリングルートの宝庫です。


自転車の面白さ、そしてその自転車に最適な木曽という土地の魅力を語る川合さん。生まれも育ちも木曽ということから、子どものころからアウトドアライフを満喫していたのか…と思いきや、川合さんと自転車との出会いは、ちょっと意外なものでした。いったいどんなきっかけで、そんなに自転車にはまったのか…次回に続きます。

PROFILE
木曽生まれ。大学進学で上京し、卒業後は東急ハンズでアウトドア担当として勤務。家業を継ぐためにUターンし、現在はJR木曽福島駅前の土産・食事処「川合商店」の経営と、木曽のサイクリング情報を発信するウェブサイト「木曽チャリ」の運営、信濃山形自転車倶楽部「レガルスィ イナーメ」イナーメ木曽プロジェクト事務局を務める。

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