最初に就職したパン業界では、新規オープンの店舗を回って新しくお店を始めた人にパンの作り方や接客を指導したりする仕事をしてきました。また中古車販売の会社では、その会社がフランチャイズ化することになり、立ち上げをしている姿を見てきました。そのため、ある意味創業の現場を身近で見ることができたと思いますので、オープンにあたってはその時の経験が活きています。
　また中古車販売の営業を行ったことにより、能動的な視点を持つことができました。ご来店いただいたお客様にパンを販売する。ご来店いただくために広告宣伝をするという待ちの姿勢ではなく、ご来店いただいたお客様との会話一つをとっても、この地域のお客様はどんなパンが好きなのか等、こちら側からアプローチすることができるという能動的な視点を持つことができたことが良かったです。

―創業にあたり、困ったことを教えてください。

　物件探しです。居抜き物件で広い場所を探しましたが、希望通りの物件が見つかりませんでした。この物件も元々は事務所だったところを賃貸しています。そのため、自分が当初考えていた創業計画より倍程度の資金がかかりました。
　また、パン業界や中古車業界で店舗の立ち上げを見てきたのでお店をオープンすることについてはあまり気になりませんでしたが、金融機関とのやりとりは初めてだったため、身構えてしまった部分はあると思います。

―創業して良かったことを教えてください。

　ありきたりですが、お客様に来店していただき、「美味しいね」と言っていただけるとやはり嬉しいです。また、この仕事が好きということが再認識できたことも良かったです。この仕事は労働時間がとても長くてクタクタになりますが、心が折れないのは充実しているからだと思います。

―創業前と後でのギャップを教えてください。

　開業してから物件探しの際にそこまで見ないといけなかったのかという想定外のことが多いです。例えば、この辺りはあまり天気が崩れることがありませんが、雪が降ったりして天気が崩れると想定以上に売上が落ち込んだりしました。

―今後の目標を教えてください。

　存続することです。創業後3年以内に7割の企業が廃業すると言われていますが、廃業はいろいろなことが犠牲になります。当店は尻上がりに伸びていくお店にしようと考えているため、オープン時に広告を入れていません。その尻上がりのイメージを崩さずに成長していき、レジとお客さんとの間に会話がひっきりなしにあるような地域に根付いたお店にしたいです。そして人を雇って、若いうちから様々なことに挑戦させ、若い人が育っていける学校のようなお店にしたいと考えています。

―本日はありがとうございました。