信州魅力人

信州の魅力、それは長野県内で頑張るつくり手たちの魅力。そんな魅力人の想いをお伝えします

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信頼関係を築くことで、かたちになっていくもの

人間対人間のことを今まであまりやってこなかったんですね。着物の染めの依頼など、お客さんと直接やりとりすることもあるんですが、身内だったり、知り合いのお友達だったり、既に信頼関係ができている相手が多いんですよ。着物の仕立ては、代々お付き合いがあるようなところが多いので。だから、信頼関係を築き上げるというか、お客さんとゼロから接していくことが大事なことなんだと思います。言いづらいこともうまく言わなきゃいけないこともあるし。でもそういうところが大事で、今までは問屋さんの意向にかなわなければもう1度加工し直すってこともあったんですが、「言われた通り」から脱皮して、もうちょっと自分が主張できるようなかたちでやっていければ…と。お互いの主張があってこそ、次の商品、もっとよりよい商品にもつながるんじゃないかって思います。

-苦労されたところはありますか?

創作染工房 久(飯田市) 中島いづみさん

やはり信頼関係ができるまでは時間がかかりますよね。こちらの思いをうまく伝えられなかったり、今まで通りのものしかできなかったり。何回も通って「こういうふうにしてほしい」って言って、ようやく信頼関係ができてきて、こちらの思いが作る人に伝わって、思った通りの作品ができてきたのは本当に最近になってですね。

加工をお願いしている池田町の「オリジナルファイブ」に2年前くらいに弟子に入った方がいらっしゃるんです。35歳くらいでまだ若い方なんですが、その方が全部担当してくれました。「素材を生かせるやり方があるんじゃないか」って。若い人の発想と、丁寧な縫い方を探求してもらえたんだと思います。内山紙を作っている「阿部製紙」の平田さんもお若い。学生のときに和紙の立体アートを学んで、和紙の魅力はもうずっと知っていて。世代を越えて長く使ってもらえるようなものに興味を持って、それで阿部さんのところに弟子入りなさったということを聞いています。そういう若い人の「チャレンジする気持ち」が大事なんでしょうね。

-今後は?

やっと生地や試作品の形が見えてきたところなので、商品化に向けて試作、改良を重ねて品質の高い商品にしたいと思っています。そして、できれば展示会でみなさんに見てもらえるように…11月に行われる東京の展示会に目標を置いて進めています。

いずれは、世界にも発信できれば面白いかな。外国の人は、こういう細かいものに対して興味があるというか、不思議に感じると思うんです。まだ、そうなったらいいな、くらいですけど…でも、もしかしたらチャンスがあるのかなって思っています。


工房では夫の久雄さんが染めの作業を見せてくれました。久雄さんが家業を継ぎ、型染めの染色家となってからもうすぐ40年になります。「どの工程が一番気を張りますか?」と聞くと「すべて緊張します」という返事が。手早く事も無げに行われているように見える染めの作業は、ちょっとしたズレやカスレも許されない、緻密な仕事なのです。伝統を側で見てきたからこそ、守りたいという思いが生まれるのかもしれない。「手作業の良さを残したい」という中島さんのことばの重みがジワリと増したように感じました。


創作染工房 久
住所 長野県飯田市上郷飯沼1330-1
電話 0265-22-3044
URL http://hisa53somekoubou.web.fc2.com/
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