自然と遊ぼう!ネイチャーツアー

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姨捨の棚田(遺産を支えるもの)

 千曲市(旧更埴市)には、「田毎の月」で有名な姨捨(おばすて)の棚田があります。



このほど地元千曲市が、この棚田の世界農業遺産認定を目指し、調査をはじめるというニュースがありました。http://www.shinmai.co.jp/news/20140115/KT140114SJI090012000.php

 一昨年前の夏、南信地域の飯田市にある「よこね田んぼ」をご紹介しました。その中でもふれましたが、信州には地形と風土にとけ込んだ美しい棚田が多く、棚田景観は、信州の自然を特徴づける大事な要素のひとつといえます。たとえば北信地域の長野市中条(旧中条村)には、ひとつの村の中に日本の棚田百選に選定されている棚田が3つもあります。

 数多い棚田のなかで、姨捨の月や棚田は歴史や文化とも深いかかわりをもってきました。古くは古今和歌集から、近世では松尾芭蕉の更級紀行でも取り上げられ、日本文学において特別の存在になっています。この棚田がこんなにも有名で、また人々に愛されてきたことには、それなりの理由があると思います。
たとえば、

第一に、善光寺平のへりにあり、旧北国街道西往還(別名善光寺街道)の宿場のすぐ脇に位置すること
第二に、北東~南東に向かってゆったり開けた斜面上にあり、眼下に千曲川と善光寺平、その背後に上信越から浅間山系に連なるなだらかな山々を配する眺望(月の出を見るのにも格別)
第三に、さわやかな大気と内陸性の気候による晴天率の高さ

が考えられます。これらを支えているものに、まず棚田の立地があります。周囲の絶妙な山と川と盆地の配置は、北部フォッサマグナの地形発達のたまものです。またここが比較的軟質な新第三紀層の地質からなる隆起山地の縁にあり、遠い過去に大規模な地すべりと土石流の歴史がありました。その事件が起こらなければ、そもそもここに棚田は出来ませんでした。姨捨の棚田景観には、そのような地史的事件のうえに、稲作という先人から伝えられてきた農の営みがあり、さらに文学的な情趣が重なっています。秋に「田毎の月」を眺めるときには、ぜひそれらのことを思い起こしてほしいと思います。ちなみに冬の棚田にも、冬ならではの味わいがあります。

 ~おばすての棚田くまなし 小正月~

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