2025.02.20 [ レポートインストラクタ自然公園生物多様性自然観察自然体験自然観察インストラクター自然保護活動等功労者知事表彰 ]
【上條 一則さんインタビュー】「故郷への愛着を育み、次世代へつなぐ」
長年にわたり自然観察インストラクターとして、東筑摩郡山形村を中心に、小中学校の自然環境学習の講師を務めるなど、地域の環境保全意識の醸成や植生等の保護活動などに取り組んでいる上條 一則(かみじょう かずのり)さん。その功績が称えられ、令和6年度自然保護活動等功労者表彰において、自然観察インストラクター部門で知事表彰を受賞されました。令和6年9月某日、山形村内の中学校で環境調査の授業に校外講師として参加した上條さんに、自然観察インストラクターの魅力や、上條さんが活動する上で大切にしていることなどについて伺いました。
–—自然観察インストラクターとして活動を始めたきっかけを教えてください。
上條さん:約40年前、私の子どもの保育園の保護者会で「最近、ゲンジボタルを見なくなった」という話題から、ホタルの保護活動が始まりました。その後、仲間と一緒にホタルの幼虫を放流するために水路を整備し、翌年にはホタルが群れで飛ぶ姿を見ることができました。この体験がきっかけで自然保護活動に本格的に取り組むようになり、現在の自然観察インストラクターの活動につながっています。
—-自然観察インストラクターの活動をする上で、どのようなことを心がけていますか。
上條さん:実際に(生き物などに)触れて体験することで得られる感覚や記憶は非常に貴重なものです。特に子どもたちにとっては、こういった体験が自然への興味や郷土愛を育む大切なきっかけとなります。例えば、昆虫の触り心地など、五感を通じて得られる情報は頭で学ぶだけでは得られない深い理解をもたらします。自然の素晴らしさや大切さを実感し、環境保護の意識も高まるのではないでしょうか。私も子どもの頃にお手伝いで田んぼに入ったときの泥の感触は今でも思い出しますし、感覚も残っていますよ(笑)。
–子どもたちが自然と直接触れ合うことで得られる感覚や記憶は、単なる知識以上の価値がある、ということですね。
上條さん:「(生き物など)採っちゃいけない、触っちゃいけない」という制約があると、子どもたちの興味を引き出すことは難しいです。だからこそ、実際に触れて体験することを優先する取組はとても意義深いと思います。子どもたちに採らせて、触らせて。山形村にはこんな生き物や草花があったのかと体験してほしいですね。当然、最後は(生き物たちは)自然に戻しますよ(笑)。
—-自然観察インストラクターの魅力や、やりがいについて教えてください。
上條さん:子どもたちが普段見せない表情を見せてくれる瞬間や、はしゃいでいる姿を見ると、本当にやりがいを感じます。学校の先生や保護者の方が驚くほどの笑顔や楽しそうな姿は、自然と触れ合うことでしか得られない特別なものだと思います。「こんな顔、うちで見たことがない」というほどです(笑)。それが一番のやりがいで、それがあるから続けてくることができたのかな、と思います。
—-自然観察会などの活動を通じて、子どもたちや地域の方に環境保全の意識や自然と触れ合う機会を提供するなど、長野県の生物多様性の保全にご尽力いただき、改めて感謝申し上げます。受賞についての感想をお聞かせください。
上條さん:受賞の知らせを受けたときは驚きと戸惑いがありました。小さいときから山で木の実を採ったり、野草を摘んでくれば母親が喜んでお浸しにしたり。そういったことの延長で「ただ好きなことを続けてきただけなのに、なぜ自分が?」という気持ちが強かったです。しかし、長年続けてきた活動が評価されたことは非常に光栄であり、うれしく思います。
—-最後に今後の抱負について教えてください。
上條さん:自然を守り、次の世代にその美しさや楽しさを伝えることで、故郷の山形村への愛着が育まれ、未来へつなげていくことができればと思っています。私ができることは知れていますが、その橋渡しの役目ができればと思っています。
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