自然と遊ぼう!ネイチャーツアー

~自然に触れる、学ぶ、そして守る~ 自然環境や生物多様性、自然体験型ツアーについての情報をお届けします。

よこね田んぼ(棚田という文化遺産)

 山国信州には、農業が近代化される前に傾斜地に開かれた水田が多くあります。かつては、大規模なかんがい設備を必要とせず、洪水による氾濫の心配のない山間地の棚田は、安定した米の生産の場として貴重であったことと思います。1999年に農水省が選定した「日本の棚田100選」では、選定された全国134箇所の棚田の内、長野県内のものが16箇所も選ばれていて、その数は全国一で突出しています。(http://www.acres.or.jp/Acres20030602/tanada/index.htm)。
もちろん名のついていない棚田も数多くあり、棚田は信州を特徴づける代表的な景観のひとつといってよいでしょう。

 下は、飯田市千代にある「よこね田んぼ」です。一部圃場整備で集約されたところもありますが、上部には曲線を描く田の畝(うね)もよく残っています。よこねの意味ははっきりしないようですが、一説には細長い大小の田を縁取る「横畝(よこうね)」が語源ではないかとも言われています。
 昔ながらの棚田は、景観として美しく印象的である反面、耕作機械が入りにくいこともあり、高齢化や過疎化のすすむ近年の山間地では水田を維持すること自体が難しくなっています。ここでは、地元の方々が中心となって1998年に保全委員会をつくり、その後県外からも体験者を受け入れて、棚田の保全をはかっています。



 山間地の地形にあわせて整えられた一枚一枚の田は、先人の知恵と苦労の跡を今に伝えていて、自然と人の営みが作り出した文化遺産でもあります。山の上流部から引かれてきた大切な水が、上の田から下の田へと順序よく入れられている様子は見事です。
 この日ははるばる大阪の中学生たちが、田植え体験をしにここを訪れていました。
 秋になれば、きっと一面の黄金色の景色に変わることでしょう。

        ~ 永き日の 水ゆきわたる棚田かな ~

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