2014.06.04 [ 信州大自然紀行環境保全研究所飯綱庁舎 ]
的岩~四阿山の麓の大岩~
6月になりました。
梅雨入り前のこの季節、山々は輝きを増します。
上信越高原国立公園にある四阿山(あずまやさん、標高2354m)の麓に、「的岩(まといわ)」という巨大な自然の造形があります。長野県上田市と群馬県嬬恋村との境にある鳥居峠。この峠から林道に入り、登山口から四阿山を目指して約30分ほど登ってゆくと、標高1780m付近の尾根に突然大きな岩の壁が現れます。これが「的岩」です。写真の中央奥に見える小さなピーク(実際の山は大きい)が四阿山になります。
的岩は、数十万年前に、地下にマグマが脈のように入り込み、固まったものです。そこだけが周囲よりも堅いために、後の侵食に耐えて突出しました。四阿火山をつくる火山岩と同様にマグマから出来た火成岩ですが、地下でゆっくり冷えかたまったので、結晶が成長しやや粗粒な岩石になっています。稜線に沿って背びれのようにそびえる岩は、厚さ3~4m、高さは高いところで20m、延長200mにも達するので、遠くからでもよく目立ち、国指定の天然記念物にもなっています。岩は亀裂によって数m大のブロックに分かれており、自然の砦か石積みのような姿をしています。また、一部のブロックが抜け落ちて、窓のように開いている穴があります。なんでも、そのむかし、源頼朝がこの岩を的にして弓を射った跡がその穴なのだそうな。ゆえに「的岩」という名になったということです。
四阿山へ向かう登山道は眺望が良く、とくに烏帽子岳~浅間山に連なる烏帽子火山群のやまなみがきれいに望めます。信州側と上州(群馬県)側との大きな地形の違いを見るのにもよいルートです。山の上部にはオオシラビソ等の針葉樹林とササ原が広がります。この季節、広くなだらかな山の斜面のあっちでもこっちでも、ウグイスが盛んに鳴いています。
四阿山にて
~ 山頂は孤島のごとく静まりて さえずりの海四方に広がる ~
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